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ショートストーリー

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#小説

仔猫のバニラ(ショートストーリー)

仔猫のバニラ(ショートストーリー)

高校へ入学して半年ほどが過ぎ、いつの間にかケンジの成績はまた中の中になっていた。

これは、今に始まったことではなく、物心ついたときからケンジは、存在感の薄い子どもだった。

ケンジは、校内ではひっそりとした生活をしていた。

しかし、この学校で唯一気に入っているところがあった。それは、川原が近いこと。

この学校には、下校するまで校外に出てはいけないという校則があるらしいが、ケンジは、昼

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54字の物語(17)『心残り』(ショートストーリー付き)

54字の物語(17)『心残り』(ショートストーリー付き)

その日は、昼から小雨が降っていた。昼夜を問わず、人で溢れ返っているこの街。その中で一人、私が辿ってきた道のり。誰の記憶にも残らない、小さな蝋燭の灯火のような私の生涯。父の顔を知らずに育ち、男出入りの激しい母は、中学の卒業を待たずに家を出て行った。年をごまかし、夜の街で働いた。寂しくて、SNSで知り合った男の家を転々とした。暴力と虚構の中で生きるしかなかった。でも、これでやっと終わる。密かに心を寄せ

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tomoshibi《灯》

tomoshibi《灯》

小さな飲み屋が軒を連ねる路地裏で、薄汚れたやや急な階段を降りると、古びたドアがあり、少し傾いた小さな札には、消えかかる文字で「灯」と書かれていた。店内は、カウンター6席とボックス席が1つ。薄暗い店内は、天井の数個のダウンライトだけで照らされていた。

開店も閉店も、店主の気分次第…。この店では、店主が出すウイスキーを、ただ味わうというのが暗黙の了解だった。様子を察して出されるウイスキーは、不思議と

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