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140字小説集

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投稿した140字小説をまとめました
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2024年6月の記事一覧

140字小説「星に愛される男」

140字小説「星に愛される男」

男は『途切れた運命の糸』が落ちているのに気がついた

拾って、見てみると『運命の糸』は引き千切られていた

男は物悲しく揺れる『運命の糸』を見て
『運命の糸』の千切れた部分を地面に埋めて供養した

男は自分の手を見る

自分の『運命の糸』は、誰に繋がっているのか
まだ見ぬ運命の相手が、男は気になった

140字小説「下手の横好き」

140字小説「下手の横好き」

男達は会議室で話し合っていた

議題は問題のある社員についてで
様々な社員から報告が上がっている

「手柄を横取りされた」
「会社の備品を横流ししている」
「出勤時車を横付けしてきて危ない」
「会議でいつも発言に横槍を入れてくる」

成績も悪く、周りに被害が出てるとして

この社員をリストラ候補に上げた

140字小説「隣人ガチャ」

140字小説「隣人ガチャ」

男は今回のガチャ結果が外れだったと落胆した

まず、環境に合ってなく
望んだ条件も満たしていない
そして何より、男との相性がとても悪かった

これなら前回のガチャ結果のほうがマシだったと酷く後悔した

男はこのままでは生活に支障が出てしまうと思い

仕方なく、手間のかかるリセマラの準備に取り掛かった

140字小説「第1位は令和」

140字小説「第1位は令和」

旅行会社が今年の旅行先ランキングを発表した

国内は沖縄に根強い人気があり、国外のハワイやグアムと20位付近を競っている

他星では手近な月や環境の整っている火星がトップ10に食い込み、星間旅行の人気に衰えはない

そして昨年放送の大河ドラマにより、不動の1位『江戸時代』が僅差で2位となった

140字小説「栄養価は非常に高い」

140字小説「栄養価は非常に高い」

森の中に池がある

池の近くに住む村人は
昔から池に向かって秘密を吐き出していた

そうすれば他人に秘密が漏れないと信じており
実際秘密が漏れた村人はいなかった

村が酷い干ばつに襲われた年
村人たちは話し合い、池の水を農地に利用する事を決めた

秘密をたっぷり含んだ野菜を巡り

村が崩壊するまで後3ヶ月

140字小説「俺たちに気が付かない!!これだけいるのに!!」

140字小説「俺たちに気が付かない!!これだけいるのに!!」

女は新居で祖母の形見である手鏡を見ていた

新居は立地や間取りに対して家賃が安く
穴場の物件に入居できたと女は今も思っている

問題は形見の手鏡で
祖母はこの手鏡の事を声を写す鏡と呼んでいた

女は改めて形見の手鏡を見る

形見の手鏡には女の顔が見えなくなるほど
無数の声が写っていた

女に霊感は全くない

140字小説「誰も帰ってこない」

140字小説「誰も帰ってこない」

男は浜辺で地図の入ったビンを見つけた
冒険心をくすぐられ
男は地図を持ち帰り調べ始める

数年かけて調べた結果
地図の場所は
昔、財宝を求めた海賊が出没して
今は海賊の心配はない場所とわかった

男は冒険心を抑えられず
地図の場所に向かう準備をする

男は海賊船が尽く沈没し
地図だけ帰ってきた場所に向かう

140字小説「倒木」

140字小説「倒木」

隣人家族とは仲が悪い
いつも親同士が言い争っている

敷地に入ってきてるだの
危ないから処理をしろだの

家のペットは室内犬が一匹だけだし
言いがかりだと思う

子供同士は仲がいい時期もあった

一緒に庭の木を登ったり
木の枝でブランコを作ったりした

春、隣人家族が引っ越して行った

そして夏、大型台風が来た

140字小説「別名ウグイス笛」

140字小説「別名ウグイス笛」

鳥の歌声と呼ばれた幻の楽器があった

その楽器の音色を聞かせれば、聞いた者がどんな性格かわかったという
それは自分を殺そうとするのか、それとも助けてくれるのか、もしくは観察してくるのか

争いの絶えなかった時代
相手が敵対か中立か友好かが判別できた幻の笛は大変重宝されたという

「ホーホケキョ」

140字小説「迷宮のお腹を壊す方法15選」

140字小説「迷宮のお腹を壊す方法15選」

ある時、旅人は迷宮に呑み込まれた

迷宮は普段動かないが生きていて
入口に生物が近づくと無差別に呑み込む

迷宮に呑まれた旅人は
他の国で聞いた様々な迷宮攻略法を試す事にした
攻略法を試し、効果を日誌に書き込む

旅人は攻略法の中で
効果の高い方法を街で広める事に決めた

そして旅人は迷宮から排出された

140字小説「半年で滅亡」

140字小説「半年で滅亡」

古代予言が解読された
『黒髪の王族により王家滅亡』
王家は予言の内容を重く受け止め
王族に黒髪の赤子が産まれた場合、命を摘むと決めた

予言解読から数十年
王族に黒髪の赤子は生まれなかった

しかし年々国力を落とした王家は
遠方の大国と縁を結ぶ為
王族同士の婚姻を決めた

大国から黒髪の王女が嫁いでくる

140字小説「前任者は300年努めた」

140字小説「前任者は300年努めた」

男は「復讐の遺跡」にたどり着いた

この遺跡は最奥に至ると復讐を完遂できると伝承が残っている

遺跡に侵入すると、半透明な番人が現れた
番人は男に近づき触れようとするが男の体をすり抜ける

男は番人を無視して、遺跡の奥へと立入った

「復讐の遺跡」は復讐を遂げた魂を常に一人だけ番人として囚えている

140字小説「花瓶を持ったミイラ」

140字小説「花瓶を持ったミイラ」

美しい花瓶が売られている
店主曰く
この花瓶はバラしか挿せず
バラ以外を挿すと枯れるという

女はこの美しい花瓶を購入した

女は自室に飾った花からバラを花瓶に挿し直す
バラは問題なく飾れた

女は好奇心に負け別の花も花瓶に挿してみる

その花は枯れ
バラだけが花瓶に残った

女は花瓶の中が気になり

指を入れた

140字小説「浮気者の末路」

140字小説「浮気者の末路」

男は昔から危険な目に合う直前、悪臭を感じていた
食べ物が腐ったような気分の悪くなる悪臭
嗅覚を頼りに悪臭を避けると対人トラブルも乗り越えることができた

しかし今、男は恋人に追い詰められている

正面に座る恋人は微笑みを浮かべているが
恋人の手料理からは憎悪を煮詰めたような悪臭が漂ってきていた