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「お父さん、ちょっと聴いてよ〜!」。

ソファにもたれていた娘が、突然体を起こして、
私の方を見て言った。

「意味がわからんねん、もうっ!」。

昨日、中学3年生の娘は、修学旅行のことで突然、
下校前に体育館に集められたという。学年全員が
集められ、5月末にある修学旅行について、急に
話が始まったらしい。

「新幹線に乗る練習を、今からします!」。

学年主任の先生が、真面目に宣言したという。

生徒側はみんな「?」「?」「?」・・・・。

説明によると、スケジュール的に新幹線に乗る場
面で、待機時間が2分程しかないことが発覚し、
その場面をスムーズに行動するための予行練習を
しようということになったそうだ。

真面目な雰囲気の中、練習が始まった。

「まず、先生のフォーメーション!ピッ!」

笛が鳴ると、突然、先生達が急にドタバタと動き
だし、それぞれの立ち位置らしき場所まで移動す
る。

続いて、笛が鳴る。

次は生徒が、新幹線の座席通りに、ホームで整列
する場面を想定し、行動が求められた。一応、理
解した生徒達は、それなりに移動する。

そして、次の笛が鳴る。

最後に新幹線に実際に乗り込むところまで想定し、
体育館のドアを新幹線のドアに見立てて、次々に
乗り込む程で外へ出ては、また体育館内に戻って
くることを求められた。

「ん、そんなところまで、せなあかんの・・・?」

娘だけではなく、他の生徒も思っていたらしい。
「修学旅行」という楽しいワードの元に集まった
中学3年生達は、違和感を覚え始めた。

学年主任の声が大きくなる。

「タイムを測りましたが、

 それでは間に合いませんっ!」。

それから、数回練習が繰り返された。

真剣な雰囲気。

繰り返す度にタイムが測られる。

タイムが縮まるたびに、
先生側はガッツポーズを繰り出す。

再び、マイクを手にし、学年主任の先生が
全生徒に声をかける。

「よしっ、あともう一息だっ!」。

この言葉の熱量で、可能性を秘めていたお笑い
テイストへの期待が完全に否定された。

その言葉を聞いた生徒達は、繰り返される練習
の意味をあまり感じられず、だんだんとだらけ
てくる人が増えてきた。

学年主任の先生が、少し怒りの表情を見せなが
ら、再びマイクを取る。

「しっかりやれば、2分を切ることができるし、

 ダラけてやれば、2分を切ることはできない!」

娘は思った。

「その熱量で、そんな当たり前のこと言う???」

「何回もやらせるから、こうなるねん・・・」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私は何度も娘に聞き直した。

「ほんまの話っ?笑』

「先生達、笑かそうとしてたんちゃうの?笑」。

どうやら最後まで、本気だったらしい。

ぷりぷりしている娘。

ソファに座りながら、どういう気持ちでこの出来
事を処理していいのかわからない娘の気持ちに寄
り添い、私は言った。

「大人になって、修学旅行の話になった時に、

出てくる内容の中で、新幹線に乗る練習をした

話はなかなか出てこない。これはオリジナルの

話になると思うよ!ラッキーやでこの経験は!」

私のレベルの低い恋バナの失敗談も、今は会話の
中で実際に役に立っていることも併せて伝えると、

完全に納得した訳ではなかったが、

「ま〜、そう思うことにするわ〜 笑」。

と、最後には笑顔を取り戻した。




父親を早くに亡くし、父親像がなかった私は、

結局、私なりにできることをするしかないの

だと、今はそんな気持ちに辿り着いている。


ぷりぷりする娘よ。

自分の気持ちを素直に伝えられることに、

とても成長を感じる。


君の笑顔は、とびきり可愛い。


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本日 5月19日(金)21時〜

「笑っていい妄想!」ライブ。

ゲスト:柿葉さん

ちょっと寝不足気味の柿葉さんとのこと
ですが(笑)、寝落ちしないように楽し
くサポートしたいと思います🎙️✨。

皆さん、柿葉さんを起こしに来てください!。
🐑✨🦍笑





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