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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2018年8月の記事一覧

祖父の誕生日によせて

祖父の誕生日によせて

久しぶりに祖父に電話をする。背後で「喋らせろ」と喚く息子たちを宥めたりいなしたり諌めたりしながら、「誕生日おめでとう」を伝えた。

本当は秋に会いに行きたかったのだけれど、どうやら祖母の具合がよくないらしい。祖母はもちろん、祖父にも負担をかけるのは本意ではないから、「またの機会に」ということになった。

「いつ転ぶかわからないからおばあちゃんから目が離せない」と話す祖父に、「おじいちゃんは大丈夫な

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好きな人の「嫌い」とわたしの感情

好きな人の「嫌い」とわたしの感情

小学生のころ、Tちゃんという子がいた。なかなか個性的な子で、気が強くて、損してしまう言動を繰り返す子だった。わたしはなぜだか彼女に好かれていたらしく、何となく一緒に動くことが多かった。

あるとき、別の子に「若菜ちゃん、Tちゃんとよく仲良くできるな」と話しかけられる。「エラそうやん」「すぐ先生にチクるしさあ」。その後続いた理由をまとめると、要するに「Tちゃんのことがあんまり好きじゃない」という内容

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終わりを迎えるのは、まだ早い

終わりを迎えるのは、まだ早い

今日から長男は2学期だ。火曜日という何とも半端な時期。なぜ今日からなのだろう。

昨夜、学校の用意をしていなかった彼は、今朝バタバタと出かけて行った。……上履きを置いたまま。

1学期は通学に苦戦した長男。無理やり行かせるつもりはないけれど、行けることに越したことはないから、学校が彼にとって楽しい場であればいいなと思う。



2学期の開始だけが、何となくネガティブに捉えられがちかもしれない。

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そんなところで主張しないでほしかった

そんなところで主張しないでほしかった

頰の下あたりにシミが出来始めているのに気付いたのは、次男を出産してからのことだった。

「うわ」

薄っすらとしたシミに、思わず心の中で声を上げる。当時、まだ20代。シミの存在がショックだったこともある。でも、それだけではなかった。

わたしの母親には、まったく同じ箇所にシミがある。現れたきっかけは知らない。いつからそこに鎮座しているのかも知らない。だけど、わたしのシミとまったく同じ位置に、同じよ

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その線と無関係ではない

その線と無関係ではない

「人を殺してしまう人と殺さない人とか、“何か”をしでかすかしでかさないかの間にある一線って、案外脆いんやないかなあ」

高校生の頃、何かのニュース(傷害とか殺人とか)を見ながら母に何気なく言ったら、「そんな怖いこと言わんでよ」とドン引きされ、そこで会話も終わった。

まあ、確かに子どもがそんなことを突然言い出したら不安にもなるだろう。でも、わたしは今でも、物事の間にある一線は、深いようでいて、何ら

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感動と甲子園と24時間テレビ

感動と甲子園と24時間テレビ

甲子園が終わったらしい。「らしい」というのは、実際には見られていないからだ。テレビをほとんど見ていないため、主にラジオで情報を得ていた。

得ようとしていたというよりも、ふだん聴いているラジオで話題になっていたから、が正しい。

野球好きらしいパーソナリティがもうひとりのパーソナリティ(無知)に説明しているのを聴いたのだけれど、熱量が伝わりつつわかりやすい説明だったなあ。ああいう、「好き」を伝えな

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「意味」を伝えたいのか、「感情」を伝えたいのか

「意味」を伝えたいのか、「感情」を伝えたいのか

何かを伝えたいとき、その「何か」は一体何なのだろう。

わたしは、楽しいとき、うれしいときは、その「楽しさ」「うれしさ」をそのまま伝えたい。

逆に、憤りを感じたこと、いまいち納得がいかないなあと感じることは、「わたしはこう考えている」であるとか、「なぜその感情を抱いたか」といったことを伝えたいのだと思う。「こんなに怒っているんです!」「こんなに悲しいんです!」ではなく。

わたしたちはロボットで

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上や前を見ている視線を、時には後ろへ

上や前を見ている視線を、時には後ろへ

今月も下旬に差し掛かったところで、おおよその収入額を見ながら、先月と同程度あることに少し安堵する。

大体同程度の収入額が続いているようで、じりじりと上がっていく。こんな風に、この1年半やってきた。ここ数ヶ月は、大体同じくらいに安定している。ここからまた上がるのか、というか、上げていきたいと考えるのかは未知数。技量と縁とタイミングとキャパシティ次第だなあ。

この仕事に足を突っ込んだときには、はる

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白紙を埋めて、明日に向かう

白紙を埋めて、明日に向かう

子どもがほしいと願った理由のひとつは、死ねない理由を課すためだった。

そんな話を、この間した。

その昔、知り合いが自ら命を絶った。ふたりの子どもがいる母親だった。わたしは当時高校生で、希死念慮に捉われている死にたがりやだった。

それなのに、訃報を聞いたとき、自分のことは棚に上げて、「ひどい」と思った。子どもを置いて死んでしまうなんて、ひどい、と。

その憤りはきっと、わたしがまだ子どもの立場

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あの日の夏と、今日のわたしと

あの日の夏と、今日のわたしと

朝の空気が涼しくて、「あー、空気が変わったなあ」と思う。「秋になった」「秋がきた」というツイートが流れてくるけれど、外気温は25度。夏日。……夏のようです、まだ。

子どもの頃の夏休みは、「涼しい午前中のうちに宿題をやって、午後からは遊んだりピアノの練習したり自由研究など手間がかかる宿題をしたり」と過ごしていた。それでも真昼には「あづいー」とだれていたりもしたのだけれど、クーラーがなくても過ごせる

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ネットの海は、時として井の中

ネットの海は、時として井の中

ネットを手に入れて、きっと世界は広がった。

わたしは小六の頃に学校にパソコンがやってきて、授業で習った世代だ。家にパソコンがやってきたのもそれくらい。「パソコンのパの字から」という本が家にあったのを憶えている……(電源を押してオフにしちゃダメだよ、と書かれていた)。

高校生の頃には、ガラケーを持たせてもらえなかった代わりに、パソコンばかり使っていた。ほとんどが創作のためで、オフラインでの使用だ

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過剰な防衛反応が生む怒り

過剰な防衛反応が生む怒り

人には、それぞれ大なり小なり差はあれど、防衛本能が備わっている。体にも、そして心にも。

「刺さる」ことについて、ぼんやり考え続けていた。最近ではあまり見かけていないのだけれど、一時期「刺さりました」「刺さった」という言葉をよく見かけていたからだ。

このときの「刺さる」は、決してネガティブ感情ばかりではない。むしろ、感想として用いられる「刺さった」は、良い意味合いとして使われることの方が多い気が

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「女性」への落ち着かなさ

「女性」への落ち着かなさ

「女性」が、いつまで経ってもしっくりこない。

以前、ジェーン・スーさんの「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」を読んだ。「女子会」に「オトナ女子」。趣味ごとでも「〜女子」というネーミングがあるし、今日は「定年女子」という言葉も見かけた。女子、という言葉に若さを含ませるのであれば、いつまで女子と名乗っていいのやら、という思いはしないでもない。

でも、わたしは、どうしても自分のことを「女子」だと思

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会いたい人

会いたい人

会いたいなあと思っていた方と、立て続けに会えた。これまでも会いたい人に会えてきたけれど、今回うれしかったのは、相手からも「会いたい」と言っていただけたことだ。

いや、これまでにお会いした方も、別に無理やり会っていただいたわけではない、と思う。……思いたい。けれども、どちらかというとわたしが積極的に動いたことが多かったとは思う。

今回お会いした方々は、わたしがかねてよりお会いしてみたい、お話しし

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