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癒されるために、荒波の海に飛び込むんだよ。【魔法使いの哲学#8】【癒しについて】

天気の良い日の海水浴は最高だが、天気の悪い日に飛び込む海もまた格別だ。海水浴というよりも、文字通り「波に揉まれる」という状態になる。全身を荒波に揉まれまくることで、普段使わない筋肉を使わざるを得なくなる。鈍った身体が一瞬で目を覚ます。時折大きな波が来て、ほんのりと命の危険を感じる。そういう時僕は波から逃げるのではなく、反対に波に向かってまっすぐに体を向け、海底に潜る。荒々しく噴き上げる海面の波に対して、底の流れは意外と緩やかだ。自然界と命のやり取りをする。不規則にリズムと強さを変えて容赦なく押し寄せる自然の威力に打ちのめされて、淀んだ心が徐々に浄化されていく。

世の中ではいろいろな「癒し」が提供されている。マッサージ、セラピー、ヒーリング。自分もそれらを楽しむこともあるし、否定するつもりはない。しかし同時に、「もっと荒々しいことの中にも癒しはある」と思う。静の方向の癒しもあれば、動の方向の癒しもある。走ること。身体を動かすこと。爆音で激しい音楽を聴くこと。もっと言うと、死ぬことだ。本当に死んでしまっては困るが、それまでの自分が死ぬという意味だ。社会に殺されて心がボロボロに疲弊している時、たぶん僕らはどこかで死を欲している。それまでの自分が一回死んで、赤ちゃんのようにピカピカでツルツルな自分に生まれ変わることを欲している。

先日遠方からゲストハウスに来てくれたC様は、お仕事が忙しいようで見るからにお疲れのようだった。今の仕事はやりがいもあって大好きだが、自分でも仕事を立ち上げたくてセラピーやマッサージをお勉強されているそうだ。しかし自分が本当はどれをやりたいのかいまいちわからないという。おそらく方向性としては「人を癒したい」ということになるのだろうが、僕は直観的にこの人は動いている方が癒されるタイプだなと感じた。なので「海に飛び込んでみたらどうですか?」と提案した。静の方向の癒やしが合う人もいれば、動の方向の癒しが合う人もいる。人を癒すというのは、自分が受けた感動を次の人に繋いでいくということだ。自分が感動しなかったもので人を癒すことはできない。マッサージもアロマセラピーも、たぶん、本当の意味でその人を癒していないのだ。自分が心から癒される方法を知っている人だけが次の人を癒すことができる。数年後にはスカイダイビングのインストラクターでもやっているかもしれませんねーと僕らは笑った。

夢占いに於いて、「死ぬ夢」は吉夢である。古くなった自分が死ぬことで、新しい自分に生まれ変わるという暗示なのだそうだ。夢というのは面白くて、覚醒している時とはだいたい反対の意味になる。「怒りが爆発する夢」。「火事になる夢」。「殺される夢」。全部吉夢だ。そういう夢を見たあとはさっぱりとした気持ちになって、何かしらラッキーな出来事に恵まれることがある。「天気の悪い日に海に飛び込む行為」にも似たような効能があると思う。

心は水だ。ひとつのところに留まっているとだんだん淀んでくる。「荒い」は「洗い」。心の淀みを洗い流して癒されるために、荒波の海に飛び込むんだよ。

次回、11/5㈯更新。
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