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日本人は英語を話さなくていいのか。

ー How did you learn English?

これは私は日本に住んでいた頃、よく外国籍の人から聞かれた言葉だ。当時の私は英語学習などしたこともなければ、留学経験など15歳から一人暮らしをしていた私にとって、縁すらなかった。しかし、英語に魅力を感じ、強い興味を幼いころから持っていたことはしっかり覚えている。幼少期、よく意味のない言葉を発し、英語を話せるふりをしていたものだ。

21歳になった頃、初めて自分の力だけでLAに5日間だけ旅行をした。これは親友と二十歳になったら海外に一緒に行こう。という一つの夢の為であった。海外=アメリカ、アメリカ=ロサンゼルス。という安直な発想を見事一年遅れで叶えたのだ。もちろん当時、英語力など中一レベルしか持ち合わせていなかった。どこへ行きたいのか、何をしたいのかを伝えることすら出来ず、ひたすらスマホを引っ張り出した。その5日間で私たちが唯一覚えた言葉、I want to ~ひたすらこの言葉を酷使した。

I want to go to Melrose.
I want to use the toilet.
I want to eat this.

今思うと最高のポテンシャルを持っていたと思う。何故なら返事は英語で返ってくる。ということに怯えずに発言し続けたからだ。そんな初めての旅を終え帰国すると、すっかり英語を話せるようになりたいと考えるようになっていた。

日本に帰国してからというもの、闇雲に英語音声+字幕のDVDを見漁った。TSUTAYAに週2で行ったほどだ。そしてディズニーアニメーションの大ファンである私は、字幕なしでディズニーを観るようになった。何故なら頭にストーリーもセリフも既に日本語で入っていたからだ。

そんな数か月を過ごし、次第に私は独り言で英語を話すようになっていた。

Ouch!!
Oh, where is that?
that's right!

などと自分の頭の思考に声を出して返事をしていた。そして2度目のLAへ親友と向かった、今度は10日間。この時私たちは決めた、日本語をこの10日間封印しようと。実に難しかったし、煩わしかったのを覚えている。通行人にもよく笑われたものだ。しかし私たちは英語でのアメリカ生活を楽しむところまで来たのだ。

そして帰国後、英語に枯渇し、プライベートで会話する相手は意識的に英語話者ばかりにしていった。様々なアプリを使い、観光客に東京の案内を英語でしてみたり、食事を共にしてみた。当時は話せている気でいた。そして言われるようになった。

-How did you learn English?

これは私の英語がボロボロなのにガンガン英語を話すから聞かれたのか、それとも”日本人は英語を話せない”という固定観念からの質問かは不明だが、英語を話せる人にカテゴライズされている自分に気持ちよさを覚えた。

そしてフリーランスになり、海外と仕事するようにもなった。交際相手も外国籍の日本在住者だった。いつからか英語の方が素直に自分の気持ちを伝えられる。そんな気にすらなっていた。

今思えば、あの頃の英語なんて今の1/10程度しか話せていなかった。しかし私は全く気が付いてなかった。

日本にいる非日本語話者にとって、それでも英語を話してくれる私という存在が貴重であり、その程度の英語で十分だっただけ。ということに。

ーWhat language is your second language?

そんな英語に対し、履き違えた自信をもってヨーロッパへ引っ越してきた私。第一に聞かれるようになった質問がこれだ。暗に「どこの国の言語なら話せるん?」と聞かれるようになったのだ。英語を話してるのに英語でこの質問をされたとき、私は2つのことに愕然とした。1つはもちろん、私の英語が足りてないから何が言いたいんかわからんわ。って言われてること。もう一つはヨーロッパに住んでる者にとって第二言語を持っているのが当然であるということだ。

血の気が引いた。

ヨーロッパに引っ越したその瞬間から、ゾッとしたのだ。目を閉じれば聞こえる複数の言語、様々なアクセントの英語。日本語など一切聞くことは無い。この時初めて、自分の選択に恐怖を覚えた。

過去記事を読んでくれている方ならご存じだが、私はベルギーという公用語を3ヵ国語持つ小さな国に住んでいる。こんな不思議な国だからこそ、この国では、私たちの世代の90%が英語が話せる。そして当たり前に、2ヵ国語以上を話す。こんな人たちに囲まれて言わなきゃいけないのだ

ー My second language is English.

真っ赤な嘘だ、話せない。

英語が話せるなんて幻想、市役所で50秒で捨てた。何よりも読めない。書けない。文法なんて知らない。書類が理解できない。何が必要で、いつまでに用意しろと言ったの?私は真っ赤な嘘を掲げ、頭と顔面は真っ白になり何ともめでたい奴と化した。

幸い、パートナーと同棲するために彼の国へ引っ越してきたので、パートナーに任せることになり、その場を収めた。

そして彼の意向もあり、いつかは日本で同棲すると決め込んでいたので、私は日本で外資系、もしくは国際的な仕事ができるように英語を学ぼう。と決断した。(現在ベルギーに長期定住決定)

ベルギーの教育は日本に比べるとかなり良い、費用で見てもかなり良い。半年の英語学校が100€(CEFRの認定書込み、週1スクーリング、日本円で16,000円)、合わせてBerlitzも入会しオンライン自宅学習も行った。正直Berlitzは高額で割りに合わないのでおすすめはしない。これならマッチングアプリで会った人と英語で話していた方が制限なしに様々な方向から学べるからだ。

しかし学校に関していえば、初日は帰宅して泣いたが、行ってよかったと言える。何故30代にもなって初登校に泣かされたのかというと…

  • 先生がめちゃめちゃイギリス英語。

  • ホワイトボードの字が筆記体。

  • 話すのも授業も高速で、英語でメモをとれない。

  • グループディスカッションで足を引っ張る。

  • テキストの音読が、読めない、知らない単語が多すぎる。

もちろんクラス分けのテストに受かって、そのクラスに参加したのだが、まったく通用しなく、挙句の果てにはグループの男子に「こいつと組みたくない。こいつは別のクラスのレベルだろ」と言われてしまう。絶望した。

早く辞めて帰りたい。

そんな1日を終え帰宅、号泣し彼に経緯を話した。すると能天気に「半年まだあるから、終わる頃にはわかるようになるよ♪」といわれる。少し腹も立ったが、彼はこのテンションで日本語検定をゼロから始め、N1を取った。後に続くしかない。

やるだけやってみよう。続けることに罪はない。と次の授業までの間、教科書の音読、解らない単語を調べ、Berlitzでテンプレートの様な会話をし、筆記体のドリルのようなものも購入し、何度も書いた。そして自宅学習は筆記体でノートを取り準備をした。

毎週少しずつ自信に繋がっていった。気が付けば宿題は誰よりも早く提出し日本人の真面目さと努力すら褒められるようになった。

最終試験はプレゼンテーションと筆記試験。

人生初の英語でのプレゼンテーション。むしろ学校でプレゼンすらしたことがなく、初めてばかりで、玉砕。しかし、試験と日頃の評価、提出物、会話力でCEFRのB1を獲得した。もはや調子に乗るのは特技と言ってもいいが私は次のクラスも受講しB2まで獲得を遂げた。

B2英語力の目安
「自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。」

TOEIC 公式サイトより

今でも自分の英語に自信は持つことができないが、胸を張って第二言語は英語です。と言える。

タイトルでもある日本にいる以上英語を話せなくてもいいのか?についてだが、正直あなたの生き方次第だ。

しかし、都内に出れば気が付くだろう、英語の必要性を。世界に出れば気が付くだろう日本の義務教育じゃ足りないことを、そして国を出て気が付くだろう、自分の通用しない英語の乏しさに。

英語を最低でも我々は3年以上義務教育で学んでいる。しかし何故こんなに英語は難しく、何故日本人は英語を話せないんだろう。

独立島国だから?文法が真逆と言えるほど違うから?私の答えはこうだ。

英語を日本語で学ぼうと固執しているから。

ベルギー人たちは英語を英語で勉強している。私もここで英語で英語を学んだ。しかし思い出してほしい、我々は日本語を別の言語で学んだだろうか?いいえ、日本語で説明されて日本語で覚えていったはずだ。

私は形容詞、副詞、助動詞、接続詞を日本語であまり理解していない、present perfect を日本語でなんというかも知らない。

そもそも日本語にしかない表現を英語に当てはめたり、英語にしかない表現を日本語に捏ね繰り回して当てはめるのは、理にかなっていない。無駄な労力とプロセスを挟んでしまっていることで、英語脳と日本語脳で摩擦を生んでしまうのだ。

しかし、現代の小中学生の今後の英会話への見通しが明るいことも事実だ。今はお金を出せば

IT×英語
プログラミング×数学×英語 

等と多くの優秀な子供たちを輩出するカリキュラム校も増え、選択肢も増えてきた。将来英語を話せないと困る。が定着してきたからだ。

両親が日本人、日本育ちであっても、独学で英語を学んでる人も、学べるコンテンツも増えてきた。

要するに日本人だから英語を話せなくて当然。が通用しなくなってきているのだ。いつか自分の子供に聞かれるかもしれない。

洋画見てるのに英語わからないの?
この洋楽のどこが良いといってるの?
話せないのに、どうやって海外に行くの?
日本のニュースだけみて世界情勢を偏りなく情報をどうやって得るの?

現在格安留学、ワーホリ、海外旅行も簡単に行けるようになり、日本から得る情報だけを持ってることすら危険信号ともいえる。

英語を話せないが故に、社会や新時代のお荷物扱いされる日が来るかもしれない。いいや、既にされているのかもしれない。

それでも尚、いいや、日本人で日本に住んでるから関係ない。という人もいていいでしょう。しかし、外国から日本に来るのです。

そして私の家族のように突然、外国人が義理の息子/娘になり、親戚が第二言語は英語です、世界共通語でしょ。と言ってくるかもしれないのです。

現在妊娠中の私、息子はオランダ語、英語、そして日本語を話せるようになる事でしょう。しかし、もし彼がオランダ語と英語しか話せなければ?

初孫を迎える五十代後半の父、そして八十代後半の祖父。日本は独立島国だ、英語だと!?というタイプでしたが、そんなことパタリと言わなくなり、父は孫のために英語を猛勉強中です。

-Why do Japanese Have Difficulty Speaking English?

これは世界でよく検索されるワードです。

”なぜ日本人は英語を話すのが難しいのか”  日本で英語を話す心理的弊害などしっかり分析までされてしまっています。それほど日本は世界から関心を持たれているのです、先進国として、G7加盟国として、平和で規律的な国の代表国としても。

しかし不名誉にも日本人の英語力はどのくらいか国際語学教育機関「EFエデュケーション・ファースト」が2022年に発表したランキングでは、日本人の英語力は112ヵ国中80位という結果でした。

あなたはどう思いますか?

世界は思ってるよりも身近で、日本は思ってるよりも世界に影響を与え、関心を持たれ世界の中心の国なのです。

英語はすでに第二言語として日本でも常識化してるのかもしれません。

以上が「日本人は英語を話さなくていいのか。」でした。
それでは Tot de volgende keer !



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