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「〇〇です」と答える子は、要注意!

1、ある言葉


塾生たちとは必ずスモールトーク(雑談・世間話)を

するように心がけています。


スモールトークは子供の心の状態を探るためには

必要不可欠なスキルです。

 

↓ちなみに、アメブロの記事で
心理の読み方について簡単に触れてみました。

「授業中、生徒の何を観察しているか?」

https://ameblo.jp/55164hiroshi/entry-12837939136.html


気分がいいのか、悪いのか

元気なのか、疲れているのか

学校で楽しいことあったのか、

なかったのか、etc...


その時の生徒の心の状況によって対応を変えています。

特に、スモールトークの中で「ある言葉」が多く出てきたら

私は無理に勉強させていません。


その言葉とは「普通」です。


例えば、今日学校で何かあった?と聞いても

昨日の休みは何をしてたと聞いても

「普通」と答える場合。


会話として成り立っていない上に

気怠い感じで「普通」と口にする様子を見て

さて、どの話題を切り出せば子供が乗ってくるのかと

頭をフル回転させています。


  2、「普通」という言葉の意味


「普通」と返答する場合、2通りの意味があると捉えています。


1つ目は、質問に答えるのが面倒くさい。

2つ目は、自分の周囲で起きた出来事に関心がない。


◆1つの目の理由について

思春期なら質問に答えるのが面倒だというのは

自分自身の経験からも理解できます。


「うるせぇ〜な、今そんな気分じゃねぇーんだよ。」


↑過去の私がまさにこれでした。


これは単に人間として未熟で、コミュニケーションの大切さを

全く理解していない表れですね。


ですが、これはまだ良い方なのです。

いずれ社会に出たら必ず痛い目に遭いますので

その時にコミュニケーションの大切さを学ぶはずですから。


◆2つ目の理由について

いくつかのケースが考えられて・・・

例えば、遺伝的な要素によって

周りの様子が気にならない性格であったり

あるいは、成長期は黙っていても体が発熱していますから

常に疲れやすい状態になっており

ボ〜ッとしている時間が長くなります。


このような身体的な理由によって周囲に関心が向かず

細かく説明する気力もないので

「普通」と返答してしまうケースは多々見受けられます。


これらのケースは成長すれば改善されると思いますので

さほど心配いりません。


ですが、その一方で、斜に構えて、冷たい目で物事を見て

喜怒哀楽を出さずに、能面みたいな表情で

「普通」と返答する子はかなり心配になります。


おそらく何かをきっかけに精神的に強いショックを受けて

無反応に近い状態になっていると思われます。


  3、「普通」は無い


学校教育では「普通」「平均」という概念を

徹底的に植え付けています。(テストが、そうですよね)


そして私たち大人のほとんども「普通」「平均」という概念を通して

色々なものを見る癖がついてます。


なぜ多くの日本人が普通や平均という概念を大切にしているかというと

それは日本の生活文化に起因しています。


日本の国土を考えた場合、人が住める平野部の割合は

他の国にくらべてかなり狭いのです。


世界で人口が密集しているヨーロッパと比較してみると

ヨーロッパの人口密度は1キロ平方メートルの中に

約100人住んでいて、

それに比べて日本は約340人。


日本では狭い場所に大勢の人たちが住んでいるのが

数字でもハッキリ分かりますよね。


ですから、この状況において誰か一人でも社会のルールを乱すような

自分勝手な生き方をされたら、回りの人たちは大迷惑を被るわけです。


そういう理由で皆がやってること(平均、普通)から

大きく逸脱する行為は嫌われるのです。


つまり、普通であることが平和なのです。


ところが、生活上、ルールを守ることが普通であっても

その「普通」という考え方がどんどん色々なところに波及していき

今は一人一人の人格や個性にも「普通」という考え方を

取り入れるようになってしまいました。


子供は勉強するのが普通

学校へ通うのが普通

進学するのが普通

良い大学へ行くのが普通

就職するのが普通…


もう中学生なんだから、自分ひとりで何も出来るのが普通。

もう大人なんだから、お母さんの手を煩わせないのが普通。

お母さんが子育てをするのが普通。


さぁ皆さん、よく考えてみてください!

個人の生き方や各々の家庭の在り方に普通はありますか?


そうですね。あるわけがない!


なのに実際には多くの人たちが

これについて深く考えていません。


 

4、「普通」と言われたら


塾生との会話の中で「普通」という言葉が出てきたら

私は必ず「普通って何?」と聞き返すようにしています。


いや、先生!普通は普通でしょ!

先生、普通って知らないんですか?

・・・と反論してきたりします。



ですから私は必ず

「普通って何が基準かよく分からないし

それに君の普通と先生の普通は違うと思うので

君の普通について、もっと詳しく説明してもらえる?」

と言ってます。


そこで頭の良い子は「ハッ!」と気付いて

「そう言われれば、そうだなぁ」と

普通という言葉の意味について深く考えるようになります。


それ以降、少なくとも私の前では

「普通」という言葉は使わなくなります。


ですが、まだまだ成長真っ只中で

理解力が乏しい子供には

私が意図することを自分の行動に反映できません。


「普通」という言葉を使いがちな生徒には

粘り強く「普通って何?」と何度も聞き返えします。


そして成長と共に少しずつ「普通は無い」という意味を

理解してくれるようになります。


「普通」という言葉はとても便利な言葉なんです。


細かいことを説明しなくて良いですし

なんとなく漠然とした意味でも

相手がなんとなく納得してしまう

「魔法の言葉」なんですね。


その一方で、どんな風に「普通」という言葉を

使っているかによって、その子の心理状態が分かってしまう

「心を表す言葉」とも言えます。


ですから皆さんも

お子さんが「普通」という言葉を使ったら

何が普通なの?と聞き返すのが良いです。


もちろんご自身の口から「普通」という言葉が出てきたら

今なぜ「普通」という言葉を使った?

それはザックリし過ぎる言葉じゃないか?

と自問自答してみてください。


そうすると自分の中の「こだわり」や

「思い込み」があることに気づき

もっと別の考え方があるのでは無いかと

思考を転換出来るようになります。


皆さんも機会があったら、是非試してみてください。


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