Dior展での忘れられない出来事 - 1
2019年、ロンドンはヴィクトリア&アルバート博物館でのディオール展 "Christian Dior Designer of Dreams" に行ったことは当時noteに書き留めたのだが、
このチケットを入手した時のこと、一つ忘れられないエピソードがあり、それもこのnoteに記しておこうと思う。今となっては丸2年半も前のことになってしまうが、不思議というか何というか狐につままれたような出来事で、今でもあの時のことを思い出す度、あれは何だったんだろうと不思議な気分に包まれる。
件のディオール展に行こうと腰を上げたのは7月。閉幕が9月の上旬だから、何かあっても2ヶ月弱あればこの期間内に何とか行けるだろうと踏んでのことだった。当時私はイギリスのブリストルに住んでおり、開催されているロンドンは日帰り可能な圏内。下調べをしたところ前売り券はwebで販売されているがオープンになると10分程度で売り切れてしまうらしく、文字通りの争奪戦。それならと窓口で販売される当日券を目指すことにした。ただし、日帰り圏内と言ってもしょっちゅう行けるものでもないので、ブリストルの自宅を始発のバスで出発して朝から並ぶという作戦で行くことに。事前の下調べでは当日券を求めて並んでいる人はやはりいるが、長蛇の列でもないらしい。それに閉幕までにはまだ時間がある。混雑もまだそこまでではないのでは?と私は予想していた。私の現地到着予定時間は9:30頃。美術館オープンは10時、並ぶには心許ない時間だが、何とかなるのではないかという根拠のない自信と、それに閉幕まで2ヶ月弱と時間はある。開催国のイギリスにいるのだから、まずは行ってみよう、と。
かくして、当日は早朝4時起きで予定通り始発のバスに乗り、少し遅れて9時半過ぎにV&A博物館に到着した。私にとってこの日は初めてのロンドンで、7月13日、寒いコーチ(長距離バス)のクーラーに身を潜めつつ到着したロンドンは快晴のいいお天気、明るい朝の陽射しを背に、待ちきれない気分で辿り着いたのだった。
私がこのディオール展に行きたいという理由は二つ、
長らくファッションの世界で働いており、Diorもクライアントの一つで、また親しみのあるメゾンでもあった。
前年にパリで開催された同展にも行っている。しかし、そこでも2時間待ちの上入場後約30分で観なければならなかったので、今度こそはゆっくりじっくり観たいと思っていた。
かくして強い決意を胸に到着してみると、長蛇の列。事前にwebで調べたところ、ディオール展ではなくただ単に入館のために並んでいる行列もあるとあったので念のため、最後尾の方にディオール展に並んでいるか聞いてみると答えは「Yes」。見たところ目算で50人以上は並んでいるように見える。まぁでも何とかなるだろう、たぶんチケットは入手できる。なんだかんだ割といつもそのパターンが多いので、私は楽観的に構えて列に並んだ。(続く)
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