【レビュー】『苦しみながら掴んだ8試合ぶりの勝利』~第12節ブラウブリッツ秋田VSファジアーノ岡山~

試合結果

2023 J2 第12節
4/29 14:03K.O. @ソユ―スタジアム
秋田(0-1)岡山
87分 ヨルディ・バイス

マッチレポート

粘り強く戦った岡山。バイスのPK弾で待ちに待った8試合ぶりの勝利。

選手やスタッフ、それに秋田まで駆けつけた岡山サポーターの感情が爆発した。秋田に1‐0で、6試合連続のトンネルを抜け出す待望の勝利をつかみ取った。

前半は秋田に押し込まれた。前線に躊躇なくロングボールを入れてくる攻撃に対して、ヨルディ・バイスと柳が力強いヘディングで跳ね返していくも、セカンドボールを拾うことができない。自陣低い位置で秋田の攻撃を弾き返し続ける展開を強いられた。13分に右サイドからゴール前の進入を許すと、青木にPA左からシュートを打たれる。しかし、バイスがコースを限定して、GK堀田がしっかりと正面でキャッチした。39分にはPA手前でフリーになった田中裕の鋭いミドルシュートが飛んでくるも、GK堀田がダイビングセーブで掻き出し、ボールがポストに当たってピンチをしのいだ。岡山のシュートは36分に右サイドから切れ込んだ河野が左足で放った1本に留まったが、前半を無失点で切り抜けた。

0-0で迎えた後半、岡山は木村を投入してシステムを[3-4-2-1]に変更した。中盤に人数をかけることでセカンドボールを徐々に拾えるようになり、敵陣でのプレーを増やしていく。67分に高木、75分にはルカオとステファン・ムークを投入すると、途中出場の選手が推進力を発揮してゴールに向かった。特にルカオは持ち味のパワーとスピードを発揮して、地上戦と空中戦ともに競り勝ってチームを押し上げる。77分にルカオが右サイドを突破してシュートを放ち、84分には高木のクロスを柳が頭で合わせるも、GKに防がれた。一心不乱にゴールに向かい続ける中で、85分に柳がPA前に浮き球を送ると、ムークが倒されてPKを獲得。これをバイスが左スミに鋭いシュートを突き刺した。雄叫びを上げるバイスのもとにピッチ内とベンチから選手が集まり、喜びを爆発させた。最後は秋田がGKも上がってゴール前にロングボールを入れてきたものの、岡山の集中力は途切れなかった。勝利に照準を当てて今節に臨んだチームは全員で粘り強く守り抜いた。

タイムアップの笛が吹かれると、岡山の選手はピッチ上で叫びながら抱き合い、ベンチにも歓喜の輪が生まれた。立ち上がりから押し込まれる苦しい展開だったが、粘り強く戦って約1カ月半ぶりの勝利。最後まであきらめることなく、ひたむきにプレーして今季3勝目をもぎ取った。

コラム

“勝利の立役者”ヨルディ・バイス。攻守で出色のパフォーマンス。

やはりヨルディ・バイスは役者が違う。岡山にかかわる全ての人が待ちわびていた8試合ぶりの勝利は、全員で粘り強く戦って手にしたものではあるが、背番号23が立役者となった。

これでもかと秋田が立ち上がりからロングボールを蹴り込んできたことで、岡山は自陣で守る時間を長く過ごすことになる。特に前半は岡山が1本もシュートを打つことができないほど防戦一方だったが、90分を通して無失点に抑えた。バイスが自分の名前を叫びながら空中戦を競り合うシーンが多くなる状況で、素早く落下地点に入って確実にヘディングで跳ね返していく。豊富な経験に裏打ちされたポジション取りで常に良い準備をして、慌てることなく次々と放り込まれるロングボールに対処した。

そして決勝点となるPKを決めてみせた。試合を通してなかなかシュートシーンを作れない中で、87分に迎えた千載一遇のチャンス。今節の勝敗だけでなく、勝ち切れない状況を左右する。まさにチームの命運が懸かった場面だったが、自信満々に強烈なシュートを左スミに蹴り込み、GKの逆を突いてネットを揺らした。

攻守両面で出色のパフォーマンスを発揮して、チームを勝利に導く。バイスの頼もしさがあらためて胸に刻まれた万感の勝利だった。

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