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【活動日記】『細部にこだわる』~大宮戦後に直面した新たな課題~

僕は細部にこだわるという新たな課題に直面した。

7月6日。『ファジラボ』に掲載される監督と選手のコメントを完成させて大宮戦の業務が終了した。

「お疲れさまでした」

24時を回ってひと段落し、寺田さんと1日を振り返る。自分が感じた選手インタビューでの課題や改善点を伝えた後、僕が文字にしたコメントを確認して寺田さんからアドバイスをいただいた。

「監督コメントでカットしている部分があるけど、どうして?」

総括の最後の“時系列でなぞっただけですけども、そういう試合だったと思います”という部分を僕はカットしていた。その理由を説明する。

「監督が笑いながら自虐っぽく仰っていたので、必要ないと判断しました」

「なるほどね。総括は記者会見場で監督が冷静に試合を振り返ったものだから、基本はそのまま全文を文字にしていく。明らかな間違いはカットしたり修正したりするけども、こちら側の解釈を介入するものじゃない。拓未君がカットした部分が監督の伝えたかった部分でもあるかもしれない 」

カットした理由は自分の中で明確だった。しかし、自分の解釈でカットすべきではなかった。考え自体がズレていて、間違っていた。「○○かもしれない」とか「きっと○○だろう」っていう自分の解釈によって、監督の意図が伝わらなくなるかもしれない。そこまで考えることができず、勝手にカットしてしまったことを深く反省した。

選手コメントについても指摘があった。

「話し言葉を書き言葉に変えれていない部分があるし、順序があべこべになっている箇所もある」

「ほとんど選手が言ったまま文字に起こしたので、こうなってしまいました」

「選手は監督と違ってミックスゾーンに来てインタビューをする。だから、試合後に興奮した状態のまま答える選手もいる。感情的になったまま口から出た言葉は、想いが乗っていから大切なんだけど、文字にしたときに読みにくくなって思いが伝わらなくなることがある。たとえば、『もうちょい』を『もう少し』に変えたり、『もうちょい』を省いてしまった方が意味が伝わりやすくなるかもしれない。話し言葉を書き言葉に直して読みやすくすること、前後があべこべになっているところを順序通りに並び替えることで、伝わりやすくすることはとても大切なこと」

あらためて自分が作成したコメントを見ると、話し言葉の部分は読みにくく、行ったり来たりする部分は意味を理解しづらかった。

それは文字としてコメントを読む人の立場になることができていなかったからだと思う。読みやすいものにするためには、しっかりと読み返して確認することが必要になる。本当に読みやすい文章になっているのか。読んだ人にちゃんと意味は伝わるのか。しっかりと吟味しなければならなかった。

寺田さんは変換についても指摘した。漢字がベストなのか。ひらがなのままの方が良いんじゃないか。漢字が続くときは、ひらがなやカタカナの方が読みやすくなるときもある。句読点の位置にもこだわって、文脈的に読みやすくするだけでなく、視覚的にも読みやすい文章にしていく作業も必要になる。

監督と選手のコメントは、多くの媒体を通してファン、サポーターの皆さんに伝えられる。監督がどんなことを考えてチームを指揮したのか。選手がどんな気持ちでプレーしていたのか。映像を見ただけでは分からない内側の想いを読者に伝えるとても重要な役割を担う。

コメントには賞味期限があるから、試合の興奮が冷めないうちに読者に届けなければならない。そのために、早く、正確に、分かりやすく、文章にすることが大事になる。

もう1つ、とても大事なことがある。

大宮戦後のミックスゾーンにやってきた濱田水輝選手は、すごくうれしそうに話していた。単に話し言葉を書き言葉に直すだけでは、あのときの濱田選手の感情は伝えられない。リズム感に気を配り、時には“!”や“(笑)”などの記号を使う工夫もしていかないといけない。

記者席で仕事をするようになってから1カ月が経過した。できることは確実に増えている。しかし、記者席に行くたびに新たな課題に直面する。できないことや知らないことは、まだまだ山のようにある。目の前で分かりやすいコメント記事を高速で作成する寺田さんを見て、自分の未熟さをいつも感じている。寺田さんのように早さ、正確さ、分かりやすさを兼ね備えたコメント記事を作れるように、まずは細部にこだわるところから始めたい。

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