【読書感想文】『分類して組み合わせる』~蹴球学~

本書は日本代表やプレミアリーグを中心とした欧州サッカーの試合分析をYouTubeにアップしているYouTuberで、自身が立ち上げた東京都社会人サッカークラブ「シュワーボ東京」の代表兼監督を務めるLeo the footballさんが、知性にフォーカスしたサッカーの新たな原理原則を作り、1冊にまとめたものである。著者が膨大な数の試合を見て気づいたこと、実際に現場で指導して感じたことなどを体系化し、日常でのサッカー観戦やプレー、指導に落とし込みやすい形になっており、どれもロジカルなため、頭の中で場面をイメージしながら読み進めていかなければならない。『蹴球学』というかっちりとしたタイトルではあるが、図が適宜に使用されているので受け入れやすかった。

紹介されているものはどれも納得できるもので、新しい気づきもあった。その中で、講義5の“属性表でわかる最高攻撃ユニットの作り方”が印象に残った。

プレーしている選手はどんなタイプなのか、選手の組み合わせで大きな力を発揮できるという視点は持っていた。しかし、得意なプレーや苦手なプレーをはじめ、選手の属性を明確に分類して新しく名前を付けることで、よりイメージしやすいものになるということを強烈に感じた。

例えば、1.5列目でチャンスメイクを狙いつつ、前線にも飛び出してゴールを狙うセンターフォワードの選手を“フォローストライカー”とし、外側からディフェンスラインと駆け引きし、ゴール前に飛び込むのが得意なウイングを“クロスランナー”とする。中央のフォローストライカーがDFを引き付けたことで空いたスペースに、外側からクロスランナーが飛び込んでいく。このような補完関係を築くことで、選手の特長を最大限に引き出し、ユニットとして力を発揮するという考え方だ。

このような考え方はチームを率いる人が使うものというイメージもあるが、見る人も十分に使うことができると思う。選手を特長ごとに区別する中、うまくいっているのは相性の良い属性の選手が近くでプレーしているからなのか、逆にうまくいっていないのは同じ属性の選手が互いの強みを消しているのかもしれない、と仮説を立てることができる。それがさらなる理解につながっていく。

分類して組み合わせを考えるということは、普段の生活にも生かすことができる。自分が得意なこと、苦手なことを分類し、どういう人間なのかタイプを定義する。そして、それにあった仕事は何か。どういう人と一緒に過ごすことで幸せに生活していけるのかを考えていく。仕事を探すとき、パートナーを見つけるときなどに既に使われている考え方だった。今までも決断を迫られたとき、無意識のうちにそういう考え方をしてきた。そこでぼんやりと分類するのではなく、新しく名前を付けることでもっとイメージしやすくなるし、○○=●●とすることで、自分以外の人と共有することもできるようになる。分類と組み合わせという考え方に、イメージしやすい新しい言葉を加えることで、一気に使いやすくなる。既存の言葉でどのように説明するのかも大事だけど、キャッチーな新しい言葉を作ることも取り入れていきたい。それにしても、筆者が細かな選手の個性を表した新たな言葉は分かりやす過ぎた。

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