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自由貿易—外国からものを買う必要性

みなさんこんにちは。今回は自由貿易についての記事です。

多くの経済学者は「自由貿易」を支持しています。ちなみに私も賛成派です。この記事では、自由貿易による利益とコストについて解説していきます。

自由貿易とは

関税の引き下げや貿易規制を緩和し、政府の影響力を弱めて、自由に貿易を行うことです。
貿易では、国が互いに財やサービスを売り、両国同士で利益を得ます。貿易は実体的な資源だけではなく、観光業などのサービス業にも及ぶ。貿易によって利益を生むが、しかし貿易にも万能ではないので、どこまでが貿易を認めるか世界中で議論されている。

世界の貿易は拡大している

世界貿易の現状

では、次に世界経済の貿易の現在の現状を見てみましょう。世界貿易の貿易量は、年々増加傾向にある。2008年のリーマン•ショックにより貿易量は一度大きく下落したものの、その後の回復により、リーマン•ショック以前と同じ水準まで回復した。

世界の貿易量の推移

世界貿易額では、2019年時点での貿易額では38.8兆ドルであり、1960年と比べて大きく増加している。GDP(国内総生産)に占める割合では、2019年は45.2%となっており、1960年は20%以下であったが、今では大きく伸びている。そうなった背景では、企業活動のグローバル化、関税•自由貿易協定といった貿易円滑化への環境整備が進んでいることだ。

世界の貿易額とGDPに占める割合の推移-経済産業省より

世界の輸出額ランキングでは2021年時点で、1位が中国、2位がアメリカ、続いてドイツ、オランダ、日本となる。

日本の貿易の現状

日本の貿易は、2021年の貿易総額は約168兆円。この金額は日本の国家予算である2021年度一般会計約106.6兆円を大きく上回る金額です。しかし、日本の貿易は貿易赤字を抱えており、決して日本の貿易が良いとは限りません。

日本の主な貿易相手は、2020年で輸出分野では1位が中国、2位がアメリカ、続いて韓国、台湾、香港となっている。
輸入分野では、1位が中国、2位がアメリカ、続いてオーストラリア、台湾、韓国となっている。

貿易により各国の得意分野が活性化させる

貿易を上手く活用すれば、産業に利益を得ることができます。その仕組みは2つあります。それは「絶対優位」と「比較優位」である。この2つが貿易に大切です。

絶対優位

絶対優位とは、ある国が別の国より高い生産性で財やサービスを生産することを指します。各国の得意分野を活かして、お互いに交易にすることで、両国とも利益を得ることができるとされている。

例えば、A国とB国の二カ国があるとする。A国は米の生産に絶対優位を持っており、B国では小麦の生産の絶対優位を持っていることにする。A国は米を効率よく生産を行うことができ、B国は小麦を効率よく生産することができます。
このとき、A国がB国の小麦を手に入れることができれば、A国に貿易のメリットが生まれる。一方で、B国がA国の米を手に入れることができるのであれば、B国にも貿易するメリットが生まれる。両国が自国の得意産業を生産し、それを交易すれば、全体的な生産性は高くなります。強みを生かすことで互いに利益を得るのです。

比較優位

このように絶対優位があるときは分かりやすいが、世の中には複雑なケースがあります。それは「比較優位」です。自身の最も優位な分野に特化または集中することで、それぞれの生産性が増大され、互いにより高品質の財やサービスと高い利益を獲得できるようになることである。

例えば、あるゆる分野の生産性が高いC国と、あるゆる分野の生産性が低いD国があるとする。C国は全て財やサービスをD国よりも効率的に生産できます。また、教育水準や設備の充実度もD国よりも高い。一方、D国はそうした環境がなく、産業の生産性も低いです。しかし意外なことに、こうした状況でも貿易のメリットを受けることができます。C国がIT製品の生産が非常に得意で、織物の生産が少し得意とします。どちらにしてもC国の方が生産性が高く、IT製品の方が生産性の差が大きいとする。このとき、C国が両方を自国で生産して、D国とは全く交易しない方がいいのだろうか。しかしそうではありません。C国がIT製品に専念して、織物の生産が足りないもはD国の織物で埋めれば、全体の生産性は大きくなります。そうすれば、貿易するメリットが生まれ、両国とも利益を得ることができます。

貿易による利益

絶対優位と比較優位は国の生産性や経済規模に大きな違いがあることを前提します。しかし実際には、同じ生産性で作れる国が世界には多く存在します。アメリカやカナダ、日本、韓国、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、ニュージーランドといった先進国は、同じ財とサービスをお互いに輸出したり輸入したりしています。例えば、アメリカは日本の自動車を買い、日本に自動車を販売しています。日本はアメリカのパソコンを買い、アメリカにパソコンを販売している。先進国同士なら生産性は基本的に大きな違いはありません。では、貿易するメリットはあるのでしょうか。

貿易するメリットの1つ目は、小さい国土でも競争力が強くなることです。
例えば、日本のような小さな国が、自動車の輸出や輸入を行わないとしましょう。日本国内のいくつもの自動車会社があるとしたら、国内だけでは供給と需要に限りがあります。これでは利益を得ることができず、企業の競争力は強くなりません。そこで役立つのが「貿易」です。
大量生産すれば、一つ当たりの商品が安くなります。だが少量だと生産コストに高くつきます。企業が国内外の両方をターゲットにして、大量の商品を生産すれば、効率的な供給が可能になります。

2つ目は種類が豊富になることです。
例えば、日本国内の自動車需要が、一般車両だけ需要があるとしよう。日本国内の自動車会社は、少ない種類の自動車を集中的に生産をするかもしれません。そうすると、スポーツカーなどの他の需要がある消費者は不便になります。
しかし貿易をし輸入をすれば、他の需要がある消費者に商品を行き届くことができます。また、逆に自動車会社が海外事業を展開し、他の自動車を生産することになれば、その影響により国内にも様々な種類の自動車が生まれ、商品の多様化に繋げることができます。

3つ目は産業の分業化が進むことです。
1つの工場で生産するのではなく、様々な場所で商品の生産の作業を分担して生産するやり方です。
自動車の例でいうと、1つの自動車はたくさんの部品でできています。その部品の資源は世界中にあり、国内だけでは手に入れることはできません。そこで様々な場所で生産を分業し、様々な場所で生産された部品を、貿易で持ってきて、自動車の組立をします。1つの分野に特化して生産を行い、それを交易することで、お互いに国の生産性を高めることができます。

自由貿易が進んでいても国境の壁は大きい

貿易により、国同士で取引をしてきた国は、経済成長を成し遂げています。自由貿易の拡大によって、豊かになった国は存在しないといってもいいでしょう。グローバル化をし、貿易を拡大したアメリカ、ドイツ、日本、韓国などの先進国や、中国やインド、ブラジル、タイなどの新興国では、経済成長に大きなきっかけを与えています。一方でアフリカや中東を含む発展途上国は貿易や市場が普及していないため、先進国と比べ、一人当たりのGDPは少ない傾向です。
ただし、貿易を拡大すれば経済成長ができるかというと、必ずそうではありません。貿易は経済成長が起こる要因の1つにすぎません。市場が閉鎖的で投資が少なく、教育水準も低く、インフラも整備しおらず、政治家や官僚による汚職も酷い国で、いくら自由貿易を推進してもあまりたいした経済成長は見込められません。自由貿易による恩恵はありますが、必ずしも高い成長ができるとは言えません。

グローバル化が進んだといっても、世界中で完璧に進んだとは言えません。21世紀でも国境の壁は大きいのです。取引の規制や税制の違いがあり、また文化や言葉の影響もでかいです。もちろん犯罪を防ぐために貿易の法律は必要です。しかし、様々な法や文化の違いにより、貿易に影響を受けています。充実した安心安全のグローバルな世界はまだまだ遠い存在です。

以上。

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