竹内正実

テルミン奏者。1993年ロシアに渡り、テルミン博士の血縁のリディア・カヴィナにテルミン…

竹内正実

テルミン奏者。1993年ロシアに渡り、テルミン博士の血縁のリディア・カヴィナにテルミン演奏法を師事。

記事一覧

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024出演してきました

 クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024」のキオスクステージでの出演、終わりました。東京国際フォーラムで開催されるのは以前と変わりませんが、これま…

竹内正実
1日前
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自分の音の個性について

 浜松のカフェでテルミン、マトリョミンのコンサート出演でした。当日は雨にも関わらず、お友達やお弟子さんたちが集まってくださいました。  振り返れば、自分の人生に…

竹内正実
10日前
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私の中の「Perfect Romantic」を探して

 テルミン演奏活動を日本国内で本格化させた20世紀の終わり頃、田仲容子さんについて、知人のミュージシャンから知りました。  旅先のグアテマラで33歳の若さで急逝した…

竹内正実
1か月前
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バイクと私

 テルミンとの関わりは30年を超えますが、バイクについてはそれよりもずっと長く、18歳の頃からですから40年近い付き合いがあります。  あんなに暴力性に富んだ乗り物を…

竹内正実
2か月前
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和製ヘビメタと源氏物語

 和製ヘビーメタル音楽と源氏物語に代表される平安文学に相通じるものを感じているのは、きっと私だけでないと思います。  どちらも「なんでもあり」の現代の自由にどこ…

竹内正実
3か月前
9

小さな喫茶店

 かつて暮らした町の隣町は喫茶文化が盛んで、あちこちに小さな喫茶店があります。コーヒーとホットケーキで有名な小さな喫茶店は、ひさしぶりに訪ねてみれば昔と変わらぬ…

竹内正実
3か月前
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私の密かな楽しみ:レコード鑑賞

 数年前に中古のレコードプレーヤーを手に入れました。  FM放送のエアチェックに興じていた兄の影響を受け、小学校低学年頃にオーディオに興味を持つようになりました。…

竹内正実
3か月前
9

自由な時代に型にこだわる

 年末のテレビ番組を観ていると、紀貫之を特集しているものがありました。次作の大河ドラマ「光る君へ」と関連させているのでしょう。脚本が大石 静さんとのことで、大い…

竹内正実
4か月前
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鳴き竜はノイズ?

 テルミンを立って演奏する練習に取り組んでいることについてはこのブログでも書きました。これまでイヤホンでモニターしていたのは、美しくない音で奏でているのを誰かに…

竹内正実
4か月前
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立って弾く

 頭頂部のおできは無事取り除けましたが、入院している間、読書三昧だったり、マトリョミン練習したりと、リハビリをすっかりサボってしまいました。「一日休むと三日分下…

竹内正実
5か月前
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リインカーネーション

 私事ですが、つむじのあたりにできた腫瘍を取り除く手術を済ませ、縫合する手術完了を受けて、一連の治療は終わる予定です。2016年12月のクリスマスコンサート出演中に発…

竹内正実
6か月前
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「未読スルー」考

 SNSとの接し方は人それぞれ。別にSNSを使っていようがいまいが、どちらでも構わないのですが、普段の言動からSNSに対して無関心と思われたい、そう装いたい欲が透けて見…

竹内正実
6か月前
5

手術台に乗ってきました

 脳出血を発症する前からつむじのあたりにでき物があって、少しずつ大きくなってきたので、取り除くことにしました。兄も頬のでき物を取り除きましたが、そんな程度に軽く…

竹内正実
6か月前
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嫌いなのものと好きなもの

 テルミン演奏に取り組んで今年で30年になります。様々な人と関わりました。  私には天邪鬼ともいうべき難儀な傾向が心の中にあることを知っています。  テルミンの様…

竹内正実
6か月前
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心のままに

 私が主催する「認知症マトリョミン演奏サロン」を実施しています。9月から12月まで浜松市内で開催中ですが、メインイベントとなる浜松駅前のオープンスペース「ソラモ」…

竹内正実
7か月前
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スイッチはどこにある?

 9月21日は「世界アルツハイマーデー」   国際アルツハイマー病協会(ADI)が認知症への理解をすすめ、本人や家族への施策の充実を目的に制定されたもの。1994年9月2…

竹内正実
7か月前
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ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024出演してきました

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024出演してきました

 クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2024」のキオスクステージでの出演、終わりました。東京国際フォーラムで開催されるのは以前と変わりませんが、これまでの地下ホールEから、地上広場でのステージへと、演奏場所が変わりました。

 ホールEは赤パンチカーペットが敷かれた大きな舞台で、四方からご覧いただける客席が特徴的でした。
 地上広場での演奏は初めてでしたが、信じられないくらいの

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自分の音の個性について

自分の音の個性について

 浜松のカフェでテルミン、マトリョミンのコンサート出演でした。当日は雨にも関わらず、お友達やお弟子さんたちが集まってくださいました。

 振り返れば、自分の人生には常に「挑戦」が要りました。私がロシアに渡った1993年当時、テルミンは楽器未満と目されていて、音楽などできないと考えられていました。パフォーマンスや前衛音楽をやる人はいましたが、聞く人の心に触れる音楽をテルミンでやろうと考える人はほとん

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私の中の「Perfect Romantic」を探して

私の中の「Perfect Romantic」を探して

 テルミン演奏活動を日本国内で本格化させた20世紀の終わり頃、田仲容子さんについて、知人のミュージシャンから知りました。

 旅先のグアテマラで33歳の若さで急逝した画家 田仲容子。「涙が出るほどロマンチックな絵が描きたい」と言っていた彼女の遺作集。

 一度も実物のテルミンを見聞きすることがないまま、ロマンティックな想像を膨らませて描かれました。私もテルミン演奏で自分の中の永遠のロマンティックを

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バイクと私

バイクと私

 テルミンとの関わりは30年を超えますが、バイクについてはそれよりもずっと長く、18歳の頃からですから40年近い付き合いがあります。

 あんなに暴力性に富んだ乗り物を、アクセル一つでかっ飛ばせる自由を我が手の中に収めておける歓びといったらありません。
 バイクに長く乗っている人であれば転倒の経験もあるでしょう。峠でこけた経験は私にもあります。怪我もしましたが、それでも乗るのをやめられません。

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和製ヘビメタと源氏物語

 和製ヘビーメタル音楽と源氏物語に代表される平安文学に相通じるものを感じているのは、きっと私だけでないと思います。
 どちらも「なんでもあり」の現代の自由にどこか背を向けています。どちらかというと不自由な様式美を愛しているようにさえ見えます。ハードロックの一部はサイケムーブメントに乗って、ドラッグによりブーストされ性の解放へと一直線に飛んで行きました。それは祝祭的でしたが、一方、和製叙情派ヘヴィー

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小さな喫茶店

 かつて暮らした町の隣町は喫茶文化が盛んで、あちこちに小さな喫茶店があります。コーヒーとホットケーキで有名な小さな喫茶店は、ひさしぶりに訪ねてみれば昔と変わらぬお店の佇まい。美味しさも昔と変わりませんが、マスターの増えた白髪に時の流れを感じます。壁に貼られた「写真撮影ご遠慮ください」の文言に、マスターもご苦労されたんだなと、思いを馳せました。
 この町にはお気に入りのお店が他にもありましたが、お客

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私の密かな楽しみ:レコード鑑賞

 数年前に中古のレコードプレーヤーを手に入れました。
 FM放送のエアチェックに興じていた兄の影響を受け、小学校低学年頃にオーディオに興味を持つようになりました。その頃は言うまでも無くネットなどなく、メディアの王様はテレビであり、ラジオでした。未だに日野皓正の「CITY CONNECTION」を愛聴していますが、そのきっかけは70年代頃観たサントリーのテレビCMでした。私は音楽の聞き方が多様化した

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自由な時代に型にこだわる

 年末のテレビ番組を観ていると、紀貫之を特集しているものがありました。次作の大河ドラマ「光る君へ」と関連させているのでしょう。脚本が大石 静さんとのことで、大いに期待しています。

 紀貫之というと、かな文字や和歌の地位を高めたことで知られていますが、「型」も重んじたとは知りませんでした。最近の短歌や俳句などのテレビ番組を観ていると、自由律に脚光を当てているのをよく見かけます。一見すると不自由から

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鳴き竜はノイズ?

 テルミンを立って演奏する練習に取り組んでいることについてはこのブログでも書きました。これまでイヤホンでモニターしていたのは、美しくない音で奏でているのを誰かに聞かれたくないがためです。一度思い切ってスピーカーで鳴らしてみたところ、思いがけず音楽を奏でる興奮がよみがえってきました。身体の揺れは相変わらずですが、スピーカーから聞こえてくる音はどこか懐かしく、脳卒中発症前に自分が奏でていた頃の音の要素

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立って弾く

 頭頂部のおできは無事取り除けましたが、入院している間、読書三昧だったり、マトリョミン練習したりと、リハビリをすっかりサボってしまいました。「一日休むと三日分下手になる」と言いますが、リハビリも同じ。麻痺が残っているので癖がつきやすいようで、正すのに時間を要します。

 改めてテルミン演奏を身体の使い方という観点で眺めてみれば、動作を止めておくのと柔軟に動かす、まったく性格の違う運動要素の組み合わ

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リインカーネーション

 私事ですが、つむじのあたりにできた腫瘍を取り除く手術を済ませ、縫合する手術完了を受けて、一連の治療は終わる予定です。2016年12月のクリスマスコンサート出演中に発症した脳出血以前から居座っていた、私の中の邪悪を取り除くことできそうです。

 これも何かの節目と、昨年1月から利き手の役割を入れ替え「左利き」テルミン奏者として奏でてきたテルミンですが、これも原点たる右利きに戻すべく、Etherwa

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「未読スルー」考

 SNSとの接し方は人それぞれ。別にSNSを使っていようがいまいが、どちらでも構わないのですが、普段の言動からSNSに対して無関心と思われたい、そう装いたい欲が透けて見えることがあります。人は最も関心を寄せることほど無関心を装いたがるのは、今も昔も変わりません。

 そういう人たちに共通して見られた振る舞いが「未読スルー」。これはSNSこそが自分の居場所と考える人たちにとって、最も重い「罰」にあた

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手術台に乗ってきました

 脳出血を発症する前からつむじのあたりにでき物があって、少しずつ大きくなってきたので、取り除くことにしました。兄も頬のでき物を取り除きましたが、そんな程度に軽く考えていたら、ちょっとおおごとになってしまいました。

 近所の皮膚科にでもいけば簡単に切除できたかもしれませんが、私を担当することになった形成外科の先生によれば、下手に刺激を与えるのはよくないので、まずは腫瘍を取り除き、その際に切除した組

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嫌いなのものと好きなもの

 テルミン演奏に取り組んで今年で30年になります。様々な人と関わりました。

 私には天邪鬼ともいうべき難儀な傾向が心の中にあることを知っています。
 テルミンの様な演奏がとても難しい楽器に長年取り組んでいるからかもしれませんが、困難のハードルが高いほど自然に足が向いてしまう挑戦癖のようなところがあります。実際、関わった人の中には、性格的に難アリな人もいましたが、そういう人の話にこそ耳を傾け、優し

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心のままに

 私が主催する「認知症マトリョミン演奏サロン」を実施しています。9月から12月まで浜松市内で開催中ですが、メインイベントとなる浜松駅前のオープンスペース「ソラモ」でのイベントを開催しました(NHK静岡様にご取材いただきました)。

 「認知症マトリョミン演奏サロン」で演奏体験された方々の声を集めています。
マトリョミンの演奏特性については「繊細に反応するので驚いた」「難しかったが楽しかった」といっ

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スイッチはどこにある?

 9月21日は「世界アルツハイマーデー」 
 国際アルツハイマー病協会(ADI)が認知症への理解をすすめ、本人や家族への施策の充実を目的に制定されたもの。1994年9月21日、スコットランドのエジンバラで第10回国際アルツハイマー病協会国際会議が開催されたが、会議の初日であるこの日を記念日として定めた。

 鍵盤やフレットといった音の高さの基準が楽器の側にないテルミンのような楽器に長年取り組んでい

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