私の密かな楽しみ:レコード鑑賞
数年前に中古のレコードプレーヤーを手に入れました。
FM放送のエアチェックに興じていた兄の影響を受け、小学校低学年頃にオーディオに興味を持つようになりました。その頃は言うまでも無くネットなどなく、メディアの王様はテレビであり、ラジオでした。未だに日野皓正の「CITY CONNECTION」を愛聴していますが、そのきっかけは70年代頃観たサントリーのテレビCMでした。私は音楽の聞き方が多様化した現代においてアナログのレコードを聞くのを愉しんでいますが、この嗜好の根っこにあるのはマニア性の探求でなく、ミーハーな世俗へのノスタルジーにあることを知っています。
オークションサイトで70年代のレコードを探し出し、テクニクスのレコードプレーヤーで聴くのが私にとっての趣味です。テクニクスというと当時、オーディオメーカーとしては後発で、故にポップなCM戦略に打って出たのでしょう(テクニクスのレコードプレーヤーといっても有名なSL-1200でなく、私が愛用しているのはSL-1600)。JBLでもマッキントッシュでもデンオンでもなく、私にとってのオーディオブランドといえばテクニクスなのです。ブルドッグのアニメーションが強烈に印象に焼き付いています。子供の頃の刷り込みは未だに私において有効なのです。
久しぶりにレコード針を交換してみました。代替品でなく正規品が未だに安価に手に入るのが嬉しいし、メーカーの矜持を感じます。非接触で再生できるCDやデータからすれば針交換など手間もかかるし、レコード針が盤面を擦って音が鳴る構造から、再生する度に劣化します。劣化のないデジタルのほうが音質の安定という点で良いのは分かっていますが、アナログレコード再生には失われていく生命の儚さや、一瞬の生きる輝きが感じられるようで好きです。
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