七代目

ろくでなしによる行き場のない創作置き場

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記事一覧

現代文としての『サウダージ』 解答と解説

 著作権の関係で本文(歌詞)を全て載せることはできないため、各自で見ながら解いてください。  私個人の解釈に基づいて問題と解答を作成したため、どこかが間違ってい…

七代目
5か月前
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短編集3 夢のはなし

001  こんな夢を見た。  小さな子どものような黒い影が私の前に現れた。影は両手に小さな黄色いバケツを抱えていた。私は左手に木槌を持っていた。影は私に黄色いバケツ…

七代目
1年前
5

【ラジオドラマ台本】恋と雑談とストーカー

 本記事は私が高校時代に制作した創作ラジオドラマの台本に加筆修正を行ったものです。高校放送コンテストのラジオドラマ部門の規定は、上映時間8分程度のものなのですが…

七代目
1年前
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意識高い系になりかけた話

はじめに  こんにちは。七代目です。ふざけた名前ですね。  さて、今回お話するのは私が意識高い系になりかけて、そして意識高い系になるのをやめた話です。ここで一つ…

七代目
1年前
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死ぬまでにやりたい100のこと

シベリア鉄道でモスクワまで旅をする ドイツに行って万年筆を買う 小説書いて応募する 自分より背の高い冷蔵庫を買う 猫を飼う バンジージャンプ スカイダイビング フライ…

七代目
1年前
5

「さいごの宿題です。遺書を書いてください」

 ……では、授業をはじめましょう。号令はいりません。そのまま座っていてください。今日は、3月4日。3年生であるみなさんが中学校で受ける、最後の国語の授業です。3…

七代目
1年前
6

【短編小説】薄暮の夢

 嫌な夢を見た。  そこでは、私はまだ詰襟の学生であった。夕暮れ時。校舎に残る者は少なかった。私はふらりと彼のいる教室に出向き、窓際の席に座っていた彼に向かって…

七代目
1年前
4

【短編小説】山椒魚

 山椒魚は悲しんだ。彼は彼の棲家から外に出てみようとしたのであるが、頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである。  無理矢理出ていこうと試みれば、彼の…

七代目
3年前
5

短編集 2

深夜  街中が海の底に沈んだような湿っぽい夜だった。黒々としたコンクリートの上で信号機が律儀に明滅している。私は上弦の月に睨まれながら横断歩道の白を踏んだ。だれ…

七代目
3年前
4

メロンソーダ論考

 さて諸君、メロンソーダである。私はこの飲み物が好きだ。毒々しい緑色。わざとらしい甘さ。しゅわしゅわ。どれをとってもたまらなく愛おしい。私はメロンソーダをメロン…

七代目
3年前
6

【短編小説】夜もすがら語りて

 こんばんは。只今の時刻は午前一時です。夜明けまで五時間程度でしょうか。暇ですね。何もすることがありません。時間を持て余してしまいます。それでは勿体ないですから…

七代目
3年前
6

【短編小説】セリグマンの黒猫

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、黒猫とは一切関係ありません。  かつて一人の男がいた。名をセリグマン。心理学者である彼は、黒猫を用いてとある実験…

七代目
3年前
6

短編集

1.嘘つきの国  僕は嘘ばかりの国で生きている。国民はみんな嘘しか言わず嘘つきじゃないのは王様くらいだ。嘘ばかりの国だから何をしても嘘になる。仕事をしても嘘。恋を…

七代目
3年前
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現代文としての『サウダージ』 解答と解説

 著作権の関係で本文(歌詞)を全て載せることはできないため、各自で見ながら解いてください。
 私個人の解釈に基づいて問題と解答を作成したため、どこかが間違っている可能性があります。解釈違いを起こすかもしれません。そんなときはあなたの中の『サウダージ』を大切にしてください。どんな解答でも正解です。
 これは学校での現代文のテストでも同じことが言えます。
 現代文のテストは、「事前情報がない状態で文章

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短編集3 夢のはなし

短編集3 夢のはなし

001

 こんな夢を見た。
 小さな子どものような黒い影が私の前に現れた。影は両手に小さな黄色いバケツを抱えていた。私は左手に木槌を持っていた。影は私に黄色いバケツを差し出した。ところどころ土で汚れており、劣化もしていた。私は「バケツを壊さなければいけない」と悟った。私は影からバケツを受け取り、地面に置いて、木槌を振り下ろした。影は嬉しそうに笑った。
 影はまた何かを持ってきた。それはガラスでで

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【ラジオドラマ台本】恋と雑談とストーカー

【ラジオドラマ台本】恋と雑談とストーカー

 本記事は私が高校時代に制作した創作ラジオドラマの台本に加筆修正を行ったものです。高校放送コンテストのラジオドラマ部門の規定は、上映時間8分程度のものなのですが、自分で声に出して読んでみたら30分程度かかりました。結局世に出すことも形になることもなかったため、この場で供養いたします。

※車内の会話。
SE:車の走行音

A:高校生
B:高校生
C:教員
D:高校生

午後7時。部活で帰りが遅くな

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意識高い系になりかけた話

意識高い系になりかけた話

はじめに

 こんにちは。七代目です。ふざけた名前ですね。
 さて、今回お話するのは私が意識高い系になりかけて、そして意識高い系になるのをやめた話です。ここで一つ前置きといいますか、ご留意いただきたい点をお話します。

 この記事に頻出する「意識高い系」という言葉はインターネットにおいて、自分の経歴や人脈、稼ぎなどを過剰に演出する自己顕示欲にまみれた若者を揶揄する言葉です。意識や志を高く持ち、日々

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死ぬまでにやりたい100のこと

死ぬまでにやりたい100のこと

シベリア鉄道でモスクワまで旅をする
ドイツに行って万年筆を買う
小説書いて応募する
自分より背の高い冷蔵庫を買う
猫を飼う
バンジージャンプ
スカイダイビング
フライボード
ガチの拳銃撃つ
ラオスで象使いの資格を取る
骨髄移植ドナー登録
献血100回
先斗町で飲み歩き
下鴨納涼古本まつり参戦
フィンランドでサウナ
アイスプラネットを見る
推しイメージの香水を作る
Google認定教育者レベル1,2

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「さいごの宿題です。遺書を書いてください」

「さいごの宿題です。遺書を書いてください」

 ……では、授業をはじめましょう。号令はいりません。そのまま座っていてください。今日は、3月4日。3年生であるみなさんが中学校で受ける、最後の国語の授業です。3年間いろいろなことがありましたね。私は皆さんと過ごせてとても楽しかったです。
 それでは原稿用紙を配ります。一人一枚とってうしろに回してください。……高木くん。そんなに嫌そうな顔しないで。大丈夫、一枚だけですから。中学校生活最後の国語ですし

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【短編小説】薄暮の夢

【短編小説】薄暮の夢

 嫌な夢を見た。
 そこでは、私はまだ詰襟の学生であった。夕暮れ時。校舎に残る者は少なかった。私はふらりと彼のいる教室に出向き、窓際の席に座っていた彼に向かって手招きをする。彼は立ち上がり、私のもとまでふらふらと歩いてくる。私は彼の手を取り、廊下を進んだ。彼は困ったような、悲しいような顔をして、私について来た。そして立ち止まり、大きな窓から遠くの海を眺めた。彼が私に何か言い、私はそれにつまらない冗

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【短編小説】山椒魚

【短編小説】山椒魚

 山椒魚は悲しんだ。彼は彼の棲家から外に出てみようとしたのであるが、頭が出口につかえて外に出ることができなかったのである。

 無理矢理出ていこうと試みれば、彼の頭は出口を塞ぐコルクの栓となるにすぎなかった。それはまる八か月の間に彼の身体が発育した証拠にこそなったが、彼を悲しませるには十分であった。

 「あぁ、なんということだ!」

 とは、言わない。彼は喋らない。彼は目を閉じたまま、じっとして

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短編集 2

短編集 2

深夜
 街中が海の底に沈んだような湿っぽい夜だった。黒々としたコンクリートの上で信号機が律儀に明滅している。私は上弦の月に睨まれながら横断歩道の白を踏んだ。だれもいない。静寂。これこそが深夜である。身を細めた無慈悲な夜の女王が君臨する夜空は吸い込まれそうなほど広かった。地球に引き止められることがなければ、どこまでも浮かんでいってしまいそうだった。

早朝
 肺を引っ掻き回すような咳が昨晩から続いて

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メロンソーダ論考

メロンソーダ論考

 さて諸君、メロンソーダである。私はこの飲み物が好きだ。毒々しい緑色。わざとらしい甘さ。しゅわしゅわ。どれをとってもたまらなく愛おしい。私はメロンソーダをメロンソーダたらしめる全ての要素を愛している。特にドリンクバーから勢いよく注がれた際に生じる泡が好きだ。メロンソーダ本体だけでなく、その泡さえも緑色なのだからたまらない。コップの際までのぼった泡から、しゅわしゅわと跳ねるメロンのしぶき。それがグラ

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【短編小説】夜もすがら語りて

【短編小説】夜もすがら語りて

 こんばんは。只今の時刻は午前一時です。夜明けまで五時間程度でしょうか。暇ですね。何もすることがありません。時間を持て余してしまいます。それでは勿体ないですから、何かして遊びましょうか。ということで、突然ですが、貴方に問題です。挑戦です。ぜひ受けてください。受けて立ってください。それでは、問題です。私は誰でしょうか。.......あぁ、ご心配なく。ヒントくらいは差し上げます。ヒントなしで答えていた

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【短編小説】セリグマンの黒猫

【短編小説】セリグマンの黒猫

※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、黒猫とは一切関係ありません。

 かつて一人の男がいた。名をセリグマン。心理学者である彼は、黒猫を用いてとある実験を行おうとしていた。
 電気が流れる二つの箱に、それぞれ黒猫を入れる。一方の箱は、電気が流れた際、箱の中のスイッチを黒猫が押すと電流が止まる仕掛けが施されている。もう一方の箱は何をしても電流が止まらない箱である。電気を流したとき、両者の間

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短編集

短編集

1.嘘つきの国
 僕は嘘ばかりの国で生きている。国民はみんな嘘しか言わず嘘つきじゃないのは王様くらいだ。嘘ばかりの国だから何をしても嘘になる。仕事をしても嘘。恋をしても嘘。何をしても本当はやっていないという事になる。この国でただ一つ信じられるのは、国民みんなが嘘つきだってこと。だからこそ唯一の嘘つきじゃない王様は最も信じてはいけない存在なんだ。さて、そろそろ革命でも起こそうかな。なんて、嘘だけど。

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