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【無料なのでコチラだけでも読んでくれたら嬉しいです】夢が覚めても君は消えない_プロローグ


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これは空想でもドラマでもなく、現実に実際にあった、たった一人の少女と金色の髪の王子様の話。

おーい、元気にしてるかい?
と言っても、君はすぐ側にいるのかもしれないから
そんなに大きな声で問いかける必要もないかもしれないけれど。

今から、君のことを考えるよ、そして少しの間、思い出そうか。
ちなみに、私は、「きんいろ」 ではなく、「こんじき」 と表現してこれを書いている。
その金色の髪を持つ君をもうそろそろ天に帰さなければならないからね。
急いで書くよ、そして、忘れる。
君がこの世から去ってから、いつのまにか、10年という月日が流れていたよ。


この10年間、君のことを忘れた事は、実は一度たりともなかったよ。
この時点で矛盾してるだろう。忘れた事は一度たりともないと書いたよね。
でも、忘れることに必死だったんだ。見栄をはっていた。もう平気だと。
そして少しづつ、君を思い出す時間は減っていったのは確かな事実。


君の独特な声や喋り方、そして、香水をつけないけれど、君がたっぷりと
使っていた柔らかな柔軟剤の匂いや、君の好きだったハードワックスの匂い。
そんな君が放っていた、いろんなものは、説明し難いくらいに時と共に
随分と薄れていって、もうほとんど思い出せないのも事実。


それが現実。時の流れだ。
でも、不思議なことに、君の放った言葉や、君の面影や、君の笑顔、姿形なんかは
決して一言たりとも、決して一瞬たりとも、薄れることはなかったよ。
そして、今も鮮明に思い出せるんだ。でも、それも、もう過去の一つの思い出として特別な思い出としてではなくて、懐かしいと思い出す、様々な過去の思い出の一つとして分類してしまおうと思うんだ。記憶の整理をここでしたいと思って、これを書いている。


だって、君にはもう触れることもできないし、君とまたパーティーをして
笑いあう事もできないんだから、そんなことをして過ごした二人の時間を
思い出すと辛い事はわかるでしょう?最高の幸せと最高の贅沢を与えて
最高の扱いをしてくれた君はもうこの世にいないし、君が再びこの世に現れる事もない。


だから、毎日毎日必死で忘れようとしてたよ。
でも、君は忘れようとすると、必死に私に自分のことを忘れるな、というように主張するというかさ、ふっと面影や、姿を思い浮かばせるんだよ。
でも、もうここで区切りをつける。
もう、見栄なんか張ってない。もう無理して平気と言っていない。
もう、本当に平気なんだ。君を忘れるのは、自分自身の意思だ。何故かって?
君にはもう君に相応しくない事はさせたくはないし、私は君の年齢を遥かに超えてたった20歳だったあどけない少女から、30歳の立派な大人へと蝶の如く羽ばたこうとしてるんだ。


一人で歩む姿は君の望んだ姿ではないかもしれない。
僕が側にいなきゃって思うかもしれない。
君はいつだって自分が側にいないと私のことが心配で仕方なかったし
まるで君は幼い子供と接するみたいにたっぷりの優しさと愛情を持って私と接した。


でも、もう今の私は違うんだ。ちゃんと結婚したよ、君じゃない人と。
そして、君がいない人生をもう10年も生きてきたんだ。君なしでちゃんと。

私は今、自分の歩むべき道を見つけて、こうして一歩づつその道を歩み始めてる。
だから、ここで、もう君の呪縛から解き放たれたい、というか、自分自身も
もっと飛躍する為に、一度君のことをリセットしようと思う。


決別であり、君も私も、もう開放されるべきだ。
私は全てを背負って、自分で決めた道をしっかりと歩みたいんだ。
そして、必ず成功させてみせるから。

悲しむかい?でも、安心して。人生は長い。魂はもっと長い記憶を持つ。
だから、これは一時的なのかもしれない。
君は安心して金色の髪を輝かせ、その美しく偉大な姿と誰もが見惚れるような圧倒的な魅力で、絶対的な王者のように、凛としてゆったりとした椅子に座って、待っていてくれないか。君は僕のものだ、とニヤリと笑って天の上から見ていてくれないかな、私がこれから歩む道での成功を見守りながら
「やっぱり君は最高だよ、そして最高にクレイジー、そして最高に素敵だよ」と言いながらさ。


私のことに執着なんかするよりも、天高く、気高く、誇り高く、あってほしいと願う。
そして、今も鮮明に思い出せるんだ。君はいつだって、肩で風を切るように堂々と歩く人だったでしょう。
自分が最高にかっこいいいと思っていたはずだよ。

だから、心配しないで、いつか私が天に昇ったならば、昇れたならば
そこで再会して、どんな風に君が私を見ていたのか教えてくれないか。
どんな風に君の目に映っていたのか、君のように気高くいれたのか
まだまだ君には到底及ばなかったのか、とにかく、そこで待っていてくれないかな。
また、会える日まで、今の人生を生きなければならない。
今の瞬間を大切にして生きていく為には
その都度君が現れると、全て過去に引きづられてしまうんだよ。
わかるでしょう。だから、しばしの間のお別れを告げる。

だが、この文章を書いている間は、君は心の中にいるし
読んでくれる人がいるならば、君はその人の事もきっと魅了するはずだよ。
でも、私がこれを書き終わったら、読んでくれる人がこれを読み終わったら、そっと立ち去って、君は王者の椅子に戻って、ゆったりとした時間を過ごせばいい。

そして、いつかまた会えたなら、その時に存分に話そうじゃないか。
感想はその時に全て聞く。それまでに、私が君のように優しく気高く
誇り高くあれたと思ったなら、椅子を用意しておいてくれないかな。
君が私に似合うと思った椅子でいい。
神様でなく、君が判断した椅子に座りたいんだ。
きっと、神様は二人だけの時間をいつか与えてくれるだろう。
何十年後であっても、半世紀後であっても
きっと、きちんと二人で話す時間を与えてくれるはずだから
その時は、お互い、あの小さなベットではなくて、お互い椅子に座って、ゆったりと話そう。

君はきっと輝き続けているだろうから、私も再会するその日の為に、己を磨く。
ああ、自惚れはあまりしないでおくれよ、君だけの為に輝くわけじゃない。
でも、君に負けないように輝く為に、あえて
これからの人生を生きる為に君と距離を取るんだ。

わかってくれるよね。そして、また出会えた時は、最高にはしゃごう。特別な思い出としてではなくて、懐かしいと思い出す、様々な過去の思い出の一つとして分類してしまおうと思うんだ。記憶の整理をここでしたいと思って、これを書いている。

君は22歳のままのカッコいいままだろうけれど、私は自らの時を止めない。
運命にも逆いたくない。だから、君が選んだ選択も今後しないと誓うよ。
だからって、決して廃れることなく、時のせいにしない。
自分に与えられた時間の分だけ、生きようと思う。その分、年はとるかもしれないけどさ
最高のクレイジーなばあちゃんになって、君って最高にcoolと言わせてやる。
きっと、君の中では、可愛い20歳のよちよち歩きの少女のままかもしれないけれど。

最高の再会にふさわしいBGMは、今度は私が用意するよ。
きっと話に夢中で聞かないかもしれないけど、BGM なんてそれぐらいがちょうどいいだろう。


君が生きた証をここに刻む。君は確かに存在したという事を。主張するというかさ、ふっと面影や、姿を思い浮かばせるんだよ。


今も、感じているよ。君が心にいる。この手は止めない。
止まった時には、書き終えた時で、君はその瞬間、立ち去る。天に戻る。
わかった?いいね?よし、いくよ。
さあ、二人の思い出話をしよう。

<第1話へ続く>

第1はコチラから 👉 https://note.com/tesoro0203/n/n25c4b351b457

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