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イップス克服に向けて026:弾道のイメージについて何かアドバイス、助言を

(※諸事情により、一部ご質問内容を割愛している箇所があります)
 
吉田様
 
お世話になります。※※と申します。
 
『究極のテニス上達法』を購入しております。
確かに、ボールへの当たりや勢いは改善傾向にあります。
 
リズム合わせも理解しているつもりです。
 
しかし、勢いは良いものの、どこに飛んでいくかは分からない状態です。
 
バックハンド(両手)は打つ前に弾道のイメージは出来ています。
 
前衛の足元に沈ませるとか、ネットのこの高さを通すとか。
 
大体はイメージ通りに飛んでいきます。
 
ファオハンドのイップスになってから悩んでいて、改善傾向にあるものの、弾道のイメージが全く出来ません。分かりません。ボールの勢いはあるものの、高さ、方向は定まらず、どこに飛んでいくか
私自身全く分からない状態です。
 
考えないという考えは分かります。
 
イップスになる前は、弾道がイメージ出来ていましたし、現にバックハンドは出来ます。
 
フォアハンドのイップスは1年前くらいから感じています。
 
ラケットを変えたタイミングか、フォアのスライスを使い始めてか、変化点はその位かと。
 
フォアハンドがダメ、緩い球がダメです。速い球は考える時間がないので案外、上手に打てます。
 
弾道のイメージについて何かアドバイスがございましたら、助言を頂きたいと思います。
 
弾道のイメージ又は、弾道が良くないと、ただ、思いっきり振っている、振り切っているだけになってしまっています。
 
お忙しい所、申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
 
どこかで同様のご質問がございましたら、参考のページをご教授お願いいたします。

回答


▶バックアウトとネットミスが繰り返される「そのワケ」は?


ボールは当然「打点の高さ」から飛び出しますけれども、ややもすれば、ここにイメージのズレが生じます。
 
私たちはうっかり、自分が見ている目の高さ「自分目線」からボールが飛び出すと、勘違いしがちなのです。
 
そのために大抵の場合、弾道が低くなりすぎてネットミス、なおかつ直線的になりすぎてバックアウトともに、多くなります。
 
ですから実際にボールが飛び出す高さの「打点目線」から、目の前に展開するコートの風景を観察してみて、ネットの高さやベースライン、サイドラインなどが、現実的に(頭の中の想像ではなく)どのようにレイアウトされているかを、「視覚」を通じて、あるいはそれぞれをブラインドで指さし確認してみる「体感覚」を通じて、高さや方向性について、体に覚え込ませます。
 
視覚や体感覚を通じて、脳にコートの「空間」「認知」させて定着を図るのが、「空間認知力」です。

▶頭の中の「想像」と現実に対する「イメージ」は違う

 
この話が分かりやすいように、あえてフォアハンドストロークから離れて、ローボレーで弾道イメージについてご説明します。
 
ネット間際から、高さがヒザ元くらいのローボレーを打ち返す場合、多くのプレーヤーが正確な弾道イメージを持ち合わせていません。
 
なぜなら現実に基づくの弾道イメージを、実際に見た経験がないからです。
 
そのために、頭の中でする想像に頼って、処理してしまっているのです。
 
確かに混同されがちかもしれませんけれども、「想像」と「イメージ」は違います
 
後述する自己肯定感について、「自分を肯定すればいいんでしょ!」などと頭による想像で理解しても、実践が伴わずイメージがズレたままだと気持ちがついていかなくて、かえって損ねる危険さえあるのと同じです。
 

▶ローボレーは「プローン」のポジションで、イメージがすぐ書き換わる

 
ネット間際の足元から打つローボレーの「打点目線」を確認するには、プローンの(コートに這いつくばる)伏臥位で弾道イメージを見上げればイッパツなのですけれども、コート上でそんなことをしている人は、滅多にいないでしょう。
 
足元に来たローボレーの高さに対して、(エラそうに!?)ボールを見下す「上から目線」で見ているケースが多いのです。
 
繰り返しになりますけれども、実際に飛びゆく弾道イメージを、見た経験がないのですから、頭の中で想像はできたとしても、あくまでも想像
 
入学でも入社でも交際でも、経験してみて「想像とは違った!」というギャップを経験したことは、少なくないのではないでしょうか。
 
経験してみないことには、実際のところは分からないのです。
 
想像による弾道イメージは、現実どおりのそれとは、どうしても乖離があります。
 

▶ローボレーは「フォーム」を意識しなくても打てる

 
逆に言えば実際にボールが飛び出す「打点目線」から見てみれば、イメージを書き換えることができます。
 
すると比較的難しいと言われるローボレーも、「ヒザを曲げる」とか「腰を落とす」とか「だけどラケットだけは立てるために手首はコックする」とか、そういった一般的に指導されるフォームは一切意識しなくも、あとはボールに集中しさえすれば、打てるようになるのです。
 
ヒザを深く曲げて腰を落としつつ、ラケットヘッドを持ち上げる(窮屈な)フォームは、ローボレーを上手く打つための「本質」ではありません。
 
窮屈だからこそ、むしろテニスをプレーするうえで大切な対応力を損なうのです。

▶マッケンローは天才だから例外なの!?


本質は例外を認めないと、コチラで説明しました。
 
だとしたら、ジョン・マッケンローのローボレーが、突っ立ったままラケットヘッドだけ落としてコントロールされる理由が見つかりません。
 
「マッケンローは天才だからできる。そうではないアマチュアは、筋力的に大変だとしてもヒザを曲げて、ラケットヘッドを起こさないと打てません」などと例外を認めると、それこそが本質ではないことの証左になってしまうのです。
 
またなぜか、そんな大変な思いをすれば上手くいくと思い込むのも、テニスが(あるいは人生も)ハードモード化する理由です。
 
野茂英雄もイチローも、フォームを変える努力をしなかった「イージーモード設定」だから上手くいったのです

もちろん状況にもよりますけれども、突っ立ったまま、ラケットヘッドだけ落とす横着ボレー(!?)で、怒られる筋合いはない。
 
ヒラリと舞い放つマッケンローのボレーは、窮屈でない「イージーモード設定」だからこそ、自由自在の対応力が発揮されます。


▶「一時にひとつ」も例外を認めない「本質」


フォームを意識しなくても打てるようになると、前述しました。
 
むしろイメージの設計図が、プローンの姿勢となってせっかく現実どおりに書き直されたとしても、フォームを「意識」したら、「無料ガイドブック『テニス上達のヒント』」で説明されている、認識できる対象は「一時にひとつ」の原理原則にそぐわなくなりますから、ボールに集中できなくなってミスが多くなります。
 
「一時にひとつ」は原理原則の法則である以上、例外を認めない誰にとっても当てはまる「本質」です。
 
それが証拠に、また同じ例を何度も繰り返しますけれども(KTK法)、これを読んでいる今、鳴っていたとしてもエアコンの「音」は聞こえませんでしたよね。
 
だけどこうして指摘されると、ハッとして聞こえ出すのです。
 
1.ですからまず『テニス・ベースメソッド』でプレーの設計図となる現実どおりのイメージを実装。
 
2.そのうえで『究極のテニス上達法』を使って、ボールに対する集中力を発揮します。


▶直線的な弾道イメージだと、相手コートに入らない

 
もちろん、打つボールの強さやスピードによっても、スパーンなのか、フワッなのかストンッなのかにより、弾道イメージは変わるでしょう。
 
という長きに渡るストーリーを踏まえたうえでフォアハンドストロークに話を戻すと、多くの場合、フォアハンドストロークもローボレーの場合とは程度の差こそあれ、「自分目線」で見てしまっているために、実際に打ち出す機会が比較的多い、ヒザや腰や胸の高さの「打点目線」とは、乖離が生じやすいのです。
 
そのために「自分目線」から見た空間認知に基づく直線的な弾道イメージで打っても、相手コートに入る錯覚をしがち。
  

▶打ち上げてもバックアウトしない

 
しかしそれは、因果の履き違えです。
 
実際には「打点目線」から目の前に展開するコートのラインやネットなどのレイアウトを確認すると、もっと高く打ち上げる必要がある放物線の弾道イメージと分かるはずです。
(※私、西岡兄弟によるこのやり取り、主観的に大好きです。4分58秒からのくだり。ご興味のある方はぜひ、全編をどうぞ)。

打ち上げる必要があると、前述しました。

とはいえ、「打ち上げるとバックアウトする」と、心配になるかもしれません。
 
それは思い込みで、バックアウトする(テニスでミスする原因)は、打球タイミングを外すのが唯一であり、打球タイミングを外すと、ネットミスもするし、サイドアウトもするのです。
 

▶イメージが揺らぐとき

 
しかしこう言うと、「バックハンドストロークは打てているのだから、ストローク自体のイメージは正しく備わっているのでは!?」と、思われがちですけれども、イメージは揺らぐから、やっかいです。
 
分かりやすいのは、球種ですね。
 
当然、たとえ同じバックハンドを打つにしても、違う球種のスピンとスライスとフラットでは、弾道イメージは変わります。
 
あるいはたとえフォアハンドで同じ球種を打つとしても、練習なら平気で打てるけれど、試合になるとイップスになるという人もいます。
 
これも、同じフォアハンドでも状況の変化に影響を受けて、イメージが揺らいだと説明できます。
 
このあたりは、仰せの「フォアのスライスを使い始めてか、変化点はその位」と顧みるエピソードと符合するかもしれません(もちろん、フォアのスライスを打ったら、必ずスピンやフラットの弾道イメージが揺らぐという話ではありません)。
 
イメージは感覚的に機能しますから、1時間について現実である「60分の長さ」のイメージがあったとしても、楽しい時は早く、退屈な時は遅く「感じられる(揺らぐ)」のに似ています。
 

▶頭では理解しても気持ちがついていかない「自己肯定感」は、「逆転発想法」で高くなる

 
「イメージがすべて」と言ったのは、テニス界のレジェンドであるアンドレ・アガシでした

イメージには、あらがえません。
 
それは自分自身に対する心のイメージであるところの「自己肯定感」も、イメージにはあらがえないのと一緒です。
 
「ありのままの自分を受け入れればいいんだろう!」などと理屈を頭では何となく想像しても、実際の気持ちがついていかないのです。
 
むしろ「ありのままに言いたいことを言ってしまった……。相手にどう思われるだろうか?」などと不安になって、かえって自己肯定感を損なう恐れさえあるのです。

ですから自己肯定感を高めるためには、後述する「逆転発想法が効く」のです。

▶人生を幸せに生きる「戦略」を達成するための合理的な「戦術」

 
ですから自己肯定感も、頭で想像するだけではなくて、日々の実践です。
 
理不尽な他人を、許せなくなる(なりそうな)ときもあるでしょう。
 
ここも何とか踏みとどまって、また一切の我慢を自分に強いるのでもなく、例外を作らないのが「本質」
 
「罪は罪でも人は憎まず」です。
 
「何でも許しましょう」という、道徳の話ではないのです。
 
自己肯定感を高めて「人生を幸せに生きるための戦略」を達成する、「合理的な戦術」なのです。
 
自己肯定感というと、その名前から「自分」に関心を向けがちですけれども、正比例の相関である他者肯定感を高める実践が、コチラで確認した「逆転発想法」といえるのです。

▶飛んで「来る」弾道イメージにもズレがある!?

 
もうひとつ「イメージがない」原因として疑われるのは、自分が打ち出す弾道イメージというよりも、対戦相手から飛んで来る弾道イメージに、現実に対するズレがある可能性も疑われます。
 
それがそもそもズレていると、ズレた弾道イメージに基づく動き方を体はしますから(頭では間違っていると理解しても、イメージにはあらがえない)、打ち返す弾道イメージもズレます。
 
すると仰せのとおりコントロールは、「勢いは良いものの、どこに飛んでいくかは分からない状態」になるため、打ち返す弾道イメージが定まらず、四方八方へ分散するから「ない」ように思えるのです。
 

▶飛んでくるボールが「鉄の玉」だったら

 
少し話は違うように思えますが本質的には同じで、コチラでたとえました、外見はテニスボールとまったく同じなのに、中身が「鉄の玉」だったら?
 
ドスッと落ちてバウンドで止まる(あるいはハードコートの場合はゴロゴロ転がる)から、私たちは自分にとって打ちやすい打点に上手く入れません。
 
実は弾道イメージのズレも、これと似ているのです。
 

▶驚異! ラケットを持たずに「見送る」体験

 
このような場合は、ボールを客観視する取り組みが有効です。
 
たとえば『新・ボールの見方』で紹介している、飛んでくるボールを、ラケットを持たずに「見送る」体験。
 
「ボールを打たずに、しかもラケットを持たないなんて素振りにもならないから練習の意味がない!」などと、拙速に切り捨てないでくださいね。
 
これは、ラケットを持たないからこそ客観視が叶うため、ボールの回転がよりよく見えるようになる体験ができるとともに、打たないからこそ、現実どおりの弾道イメージが実装されるのです。
 
先のローボレーの「打点目線」を、プローンで確認した話と同じです。
 
コートに這いつくばりながら、まさかローボレーは打ちません。
 
打たないからこそ、見て取れる現実があるのです。
 

▶ボールの見方に迷子になったら、「矢吹ジョー」を真似する

 
ラケットを持つとつい、私たちは自分でも気づかないうちに「打つ意識」をしてしまいがちです。
 
これが、客観視を難しくするのです。
 
ボールの回転が見えなくなって、飛んでくるボールの弾道イメージを「見切る」こともできなくなります。
 
ですからたとえ試合中でも、ボールの見方に迷ったら、ラケットを持たずにボールを見送る見方に立ち戻る。
 
そのオプションとしてよくご紹介するのが、矢吹ジョーの「ノーガード戦法」よろしく、ラケットを構えず下にダラリと垂らして、身構えないようにする。
  

▶「ノーガード戦法」は虚構ではなく実戦

 
こんな構え方をすると、フォームを矯正する常識的なテニス指導では、否定されるでしょうね。
 
何しろグリップと合わせてレッスンの初日に習うのが構え方だからです(すると、テニスを始めた初日からつまづく)。
 
ラケットを下にダラリと垂らす「ノーガード戦法」。
 
試してみると「打つ意識」が希薄になって客観視に立ち戻るきっかけになりやすいのです。
 
もちろん「構えないと反応が遅れるのでは!?」などと心配する向きもあるかもしれませんけれども、ボールが見えなくなるのに比べれば、その負の影響は微塵でしかありません。
 
ノーガード戦法は、マンガ『あしたのジョー』を盛り上げる演出のための虚構などではなくて、力石徹のパンチを「見切る」ための実戦的な、人間の意識の働きが描写された脳科学といえるのです。
 

▶「考える」が、ジャマやストレスになるとき

 
すでにご自身は分かっていらっしゃいます。
 
「速い球は考える時間がないので案外、上手に打てます」というくだり。
 
つまり、相手のボールが緩い時には時間があるから、考えてしまう。
 
一般的には、速い球よりも緩い球のほうが、簡単に打ち返せそうな印象。
 
しかしそうとは限らないのがイップスなのです。
 
この「考える」という活動は、もちろん必要なシチュエーションもあるのですけれども、気づかないうちにフォアハンドで緩い球を処理するときのジャマになっていたり、日常生活でも根拠のない不安を喚起するストレスになっていたりします。
 

▶考えるときは「客観的」に

 
考えるせいで連想ゲームに火が着き、イライラしたり、不安になったり、落ち込んだりします。
 
考えなければそのようなストレスとは、基本的に無縁でしょう。
 
とはいえ考えなければならない仕事の企画や営業戦略やトラブル対応や試験対策などには、それこそボールを見送ったのと同じように「客観視(客観思考)」すればいいと思います。
 
「ああなったら、どうしよう」「こうなったら、心配だ」「このフォアは入るだろうか」などと根拠のない「主観思考」に囚われると、ボールの回転が見えなくなるのと同様に、かえって打開策や突破口が客観的に見出せないのです。
 
イップスも同じで、飛んできた緩いボールをフォアハンドで打ち返すときに、「バックアウトが怖い!」「ネットミスしないように気をつけよう!」あるいは「弾道イメージを湧かせなきゃ!」などと「考える」せいで、意識が「今のボール」ではなく、結果や予測などの未来へ飛びます。
 

▶雨を「鬱陶しい」などと決めつけて評価しない

 
考えを止めるなんて、果たして可能なのでしょうか?
 
『究極のテニス上達法』がそれを可能にしました。

弾道イメージについても、事前に「打点目線」から実際に目で見て確認し、イメージを書き直したら、あとは実際に打つ段になったら「考えない」
 
ショットの正否はどうあれ、上手く打てても打てなくても、どちらでも構いませんから、結果を評価せずに(主観視せずに)、淡々と「リズム合わせ」をし続ける。
 
ミスはただの現象です。
 
「ミスは悪い」などと、主観で評価しません。
 
雨を「鬱陶しい」などと決めつけて評価しないのでしたね。
 

▶間髪入れずにリズム合わせへ「逸れたら戻す」

 
そうはいっても特にミスが続くようなときには、恐らくリズム合わせを「忘れる」場合もあるでしょう。
 
そのときは連想ゲームに火が着いて、思考の煙に巻かれ、現実が見えなくなっています。
 
その思考の火事に気づいたら、「しまった!」「集中しなきゃ!」などと「考える」ことなく、間髪入れずにリズム合わせへ「戻って」きてください。
 
逸れては戻す、逸れては戻す、逸れては戻す、逸れては戻すの、反復作業の繰り返し
 
それをテニスで実現する考えないための具体的なメソッドが『究極のテニス上達法』です。


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