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『ガンパウダー・ミルクシェイク』見た直後の雑記

MOVIX三郷で『ガンパウダー・ミルクシェイク』を見ました。



すんげー、キッチュで最凶のガーリー・アクションムービー!!


主人公サムは12歳のころにママと別れて、殺し屋を取りまとめる会社・ファームの人事部長ネイサンに預けられ、殺し屋となる。


ストーリーの二転三転、殺し屋家業らのドロ仕合い。

全体的にピンクやライトグリーン、ライトブルーをふんだんに使った色彩、衣装、室内美術、照明で、独特な世界観を作り上げている。色使いやファッションはどことなく『8人の女たち』や『しあわせの雨傘』等のフランソワ・オゾン監督作品に近いが、それ以上に主人公サムの世界観はガーリームービーの主人公のような感覚である。


加えて、サムのオシャレグッズが武器・凶器になる感覚は『キングスマン』シリーズの紳士グッズが武器・凶器になる感覚に通じるものがある。かと思うと、銃や斧がポンポン出てくるし、ゴア描写もお見事。


冒頭のシーンをはじめ、何度かダイナーのシーンが出てくる。雰囲気的にはタランティーノの『パルプ・フィクション』のようでいて、外が雨だったり、色彩感覚から、どことなく『シェルブールの雨傘』っぽいものが微かに感じられる。劇中でフランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」が使われていたりもするので、この作品のフランス文化の香りはたしかである。それだけでなく、闇医者の病院の廊下に盆栽が飾られていたり、サムが着ているTシャツに日本語で「マシュマロ」と書かれていたり、日本文化もちょい混ぜされている。


ダイナー以外でもボーリング場や子供が運転するカーアクションや図書室での壮絶なバトルなど、普通のアクション映画ではあり得ない組み合わせ、設定が多い。キャラクターとアクションのギャップ以外にもシチュエーションにおけるギャップのおかしさ、面白さが随所にあるが、それ以外にも極端にエキストラを排し(いるシーンもある)、人がいない場所を主人公、登場人物らのみがいる空間が多く、あらゆる角度から非日常の世界観を作り上げている。


この映画の監督がインタビュー記事で「好きな映画のいいところ取りをしてミックスした」と堂々と言っていたから、考えてみれば納得である。

音楽の使い方もフランス・ギャル以外にも秀逸。バトルシーンでジャニス・ジョプリン(Big brother&The holding company)の「Peace of my heart」やアニマルズの「It's all over now,baby blue」を使うセンスは『キングスマン』のバトルシーンでの「Freeburd」の使い方に通じるものがあり、非常に面白い。


主演のカレン・ギランの可愛くもアクションが凄いというギャップがまたいいし、ミッシェル・ヨーやカーラ・グギーノといった熟女たちもまた可愛く着こなし、激しいアクションをやってのける。

野郎の中ではネイサン役のポール・ジアマッティが彼らしい、というかめちゃくちゃマッチしていた。


全体的なオシャレさ、キッチュさは独特で、ウェス・アンダーソンやミシェル・ゴンドリー、昔のフランソワ・オゾンにも並ぶハイクオリティな世界観。これとクエンティン・タランティーノやマイケル・マンなどのノワール映画を大胆にミックスさせたキッチュ・ノワール、ガーリー・ノワールである!

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