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チームワークの5つの条件と4つの成果

サイボウズ チームワーク総研で、コンサルタントをしているなかむらです。
3月以降、特に都市部においては、急遽テレワーク、リモートワークが私たちの「日常」になってきました。

緊急事態宣言が出た直後は、「どのようにリモートワークすればよいか」「何が必要か」と言った情報を求めている人が多かったのに対し、リモートワークが日常化してきた現在は、「マネジメントの悩み」の記事の通り、「チームメンバー全員が集まることができない中で、どのようにチームを機能させればよいか」といった問い合わせが増えてきています。

サイボウズの事例の記事で、マネージャーがチームを機能させるためにやっていることを書きました。私たちが対応できたのも、日頃からチームワークを考えていて、それをリモート環境に合わせて強化しただけ。そこで今回は、そもそも「チーム」とは何か、「どうすればチームワークが良くなるのか」といった本質的な理論の部分を一度おさらいしておきたいと思います。

チームとは

私たちがチームビルディングの研修を行う際に、最初にやることとして、「グループ」と「チーム」の違いを考えてもらいます。
ほぼ8割の人に、「違いなんて考えたこと無かった」と言われます。
チームワークは日本人が得意とするものだ、とよく耳にしますが、「和」や「一致団結」がチームワークだと思っている方がとても多いんですね。

グループとチームの違いは、そこに「理想(目標)」がある集団かどうかです。
チームは「理想を達成するための集団」で、チームワークとは「理想を達成するために役割分担して協働すること」です。

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チームには「理想」が必要です。このチームは何をするために存在しているのか。商品・サービスを売るため? バックオフィス部門だと、社員が気持ちよく働くためのサポートをする、などがあるでしょう。ビジネスの場合は最終的には売上となる場合も多いかもしれませんが、おそらく企業理念で「売上」を掲げているところは少なく、何かの社会的価値を生むためとなっている理念が多いのではないでしょうか。

みなさんの「チームの理想」はなんですか? マネージャーはまずこれを考え、言語化し、メンバーとともに話し合いながら決めることが大事です。なぜなら、チームは「理想を達成するための集団」だから。

これらを踏まえ、チームが機能(ワーク)するために必要なものが5つあります。

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この5つは、チームワークのチェックポイントとして使うのに最適です。
職場やそれ以外の様々な場においての「チームワーク」で、何かうまくいかないときに、この5つを見てどれがうまくいっていないのか確認できます。
自分の役割を認識していない人がいる、コミュニケーション(対話、会話)不足、情報(仕事の情報、資料やノウハウなど)が共有されてない…色々出てきそうです。
ぜひ以後使用してみてください。

ちなみにチームワークが良くなると、どんな良いことがあるのでしょうか。これも既に研究結果があります。
ドイツの学者によると、チームのアウトプットには「効果」「効率」「満足」「学習」の4つがあると言われています。目に見えやすい「効果」「効率」だけでなく、メンバーの「満足」「学習」もチームワークのアウトプットだといわれている点が特徴です。良いチームで仕事をしたときの自分の満足感や成長できたという実感は、アウトプットの1つといえるでしょう。

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この4つすべてが成果として出たら・・・結果も出てメンバーも満足し成長した・・・超ハッピー状態です。そういう状態になりたいですね!
しかし、4つすべてでなく、例えば「負けた(結果は出せなかった)けど、このメンバーでここまでやれたことに満足している」とか「メンバー全員が上手になった。スキルがついた」ということもあるでしょう。これは、チームとして「効果」のアウトプットは出せなかったが、「満足」や「学習」のアウトプットが出せた、ということなのです。

・チームとして何を目指すか (例:「結果を出すこと(効果)」なのか、「メンバーの満足」なのか)
・メンバーはこのチームに何を期待しているのか 

を考える際に、この4つの指標を基にするととてもわかりやすくなると思います。

チームワークの5つのポイントと4つの成果、を頭に入れておくと、「チームワーク」が構造的に捉えられます。
「チームワーク」はふわっとしたものではなく、構造的に語れるものなのです

現在のリモートワーク時のマネージャーがすべきこと

今回は、一般的な「チーム」「チームワーク」の理論を紹介しました。
これまでの理論を踏まえて、現在のリモートワーク状態のチームをどう機能させればよいか考えてみましょう。

・まず ”このチームは何をするチームか” を明確にしておく
 本部や部署などで、期初などに立てた目標などがあるでしょう。それらを今一度整理しておく。「このチームはこういうためにいる(ある)よね」と話をするなど、リーダーとしての想いを伝えることはとても大切です。
リーダー、マネージャー自身が、「どこういうチームにしたいんだよね」とメンバーと話す、共有する時間を多く作りましょう。
「リーダーにはそういう想いがあるのか」と驚く人もいるかもしれません。でもそこから協力関係が生まれていくのです。

・チームで得たいものを確認する
 チームの4つのアウトプットを参考にして、「この仕事やチームから何を得たい?」と話してみましょう。「結果出したいス!」という人もいれば、「こういう知識を活かしたいです、学びたいです」と言う人もいるでしょう。メンバーの得たいものと、一人ひとりの多様性を認識しておくこともリーダーの重要な仕事です。

・現在のチームに足りないもの、できていることを確認する
 チームが機能する5つのポイントを参考にして、現在のチームで「うまくできていること」「不足していること」を分けてみましょう。明確でなければ、「今の役割分担でいいと思う?」とか「チームでのコミュニケーションについて気になることはある?」とかメンバーの率直な意見を聞いてみましょう。「マネージャーが聞いてくれる」と安心感を持つことで、「実は…」と話してくれるメンバーも出てくると思います。


いかがでしょうか。

5つのポイントと4つの成果を活用することで、メンバーとの会話のタネや、チーム改善のコツが見えてくれば嬉しいです。
特に現在はリモート環境であるからこそ、「対話」が重要になってきます。
オフィスでもそんなことは話したことなかったという方も多いでしょう。
チームメンバーがリアルで会えず、リモートワークの人もいれば出社している人もいる今だからこそ、そして、このオンラインとオフラインのハイブリッドな状態がしばらく続きそうな中でも「強いチーム」となるために、まずはチームの整理とメンバーとの対話から始めてみることをお勧めします。

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