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これも「お茶」だと言い続ける

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毎日点てるお茶,茶人の修士論文,バーチャルろくろ。バラバラに見える活動に共通していたのは,ある主張でした。
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#論文

共著の英語論文が公開されました。

共著の英語論文が公開されました。

大学院時代の指導教官との共著論文が先日ようやく公開されました。

論文の概要掲載されたのはNational University of Singaporeが発行する『Asian Journal of Social Science』で、
タイトルは「Body-mind discipline for life: The non-conformity of contemporary Japanese t

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題辞(エピグラフ)

題辞(エピグラフ)

(この記事は修士論文の一部ですが、このnote単体でも読めるようになっています)

ついこのあいだ、ある理想のために殉教した人たちのことについて話していたとき、
私にこんな質問をした人がいました。
「その人たちが命をささげたのは、なにもかもむだだった、
無意味なことだった、なんて、ひどいとお思いになりませんか」。

私は、無意味だとは思わないと答えざるをえませんでした。
たとえ無意味に思えても、命

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共著の英語論文を出します

共著の英語論文を出します

ニュートンの三大実績は全てペスト禍の18ヶ月で為されたらしいが、論文を書くのはいい「おうちじかん」の過ごし方だ。

たとえば過去のGW、2017年は修論締め切り前(6月卒業)で排泄以外は部屋から出ず、2018年は修論をnoteにアップし続けるだけで連休を終え、2019年は祝日休みではない職場で普通に連勤だった。

今年は尻から根を生やしつつ論文を書いていたが、世界中の人が一緒に自粛してくれていたの

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修論をnoteで公開してよかったこと

修論をnoteで公開してよかったこと

修論をnoteで公開するまで修論が完成したのは去年で,学術誌に載せるように指導教官に勧められ,査読が通って2018年の春に出版されることになった。

いざ春になると,出版された学術誌3部と,自分の記事部分だけが印刷された抜き刷り30部が送られてきた。
「30部も!」と思ったが,ふと我に返る。

学術誌は全国の大学図書館などに置かれるはずで,興味のある人には読まれるはず(現代の一般茶道修練者の研

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なぜ「お茶が好き」と言えないのか。

なぜ「お茶が好き」と言えないのか。

好きだという自覚がなくとも熱中できたり,考え続けることができたり,気分が最悪な日もお茶を点て続けたりできる。1日の過ごし方を考えることは,1日のどこにお茶の時間を設けるかを考えることであり,プライベートでもお茶がきっかけの人々と会っている。

しかし,別に「お茶が大好きです」と話したことはない。少なくとも,自分からそのようなポジション取りをしたことはない。

ではなぜ現代茶道を(学士から修士まで)

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「正しいと思うことをする」ということ

「正しいと思うことをする」ということ

2017年7月26日。京都に滞在中,神社の住所を伝えてタクシーを呼ぶと,車内で宗教の話になった。ドライバーさんは,お坊さんから聞いた話を教えてくれた。

「色んな宗教があるけど,お坊さんたちの間では,どの宗教が正しいことやってるっていうのはみんな分かってるらしいんですわ。

だから私聞いたんです,なんで正しいと思ってる宗教をせんのですかって。
そしたら『もうここまで民衆騙してしもたら,もう後には引

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賞賛も批判もせずに「解釈」するということ

賞賛も批判もせずに「解釈」するということ

批判的な文章が溢れているのは学術界ではなく,ネット上だ。

例えば論文では,先行研究のような他の研究者が書いた文章に対し,どの視点が足りないなどと指摘し,自分の観点をその上に重ねる。この過程とネット上の批判は,どのように異なるのだろう。

自分には理解できない出来事に出くわした際に,私たちはどのような態度をとれるだろうか。

3つのアプローチ方法
ある人々の文脈を汲み取ろうとする文化人類学や社会学

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