勤続年数の長い人は宝である
column vol.964
あっという間に…、2022年度も今週一週間で終わりを迎えます。
今の会社に中途で入って21年。
22年目が始まろうとしています。
やはり!22なので “ニコニコ” の年に……!
…ゴホン…失礼いたしました…
良い年にしていきたいと思っているのですが、年数を重ねることで、少しプレッシャーを感じることもあります。
一年一年長くいる分の貢献ができているのかと…(汗)
そんなミドル世代の私を勇気づけてくれる記事に出会いました。
ハーバード・ビジネス・レビューの【従業員の勤続年数を過小評価してはいけない】です。
〈Harvard Business Review / 2023年3月24日〉
非常に興味がそそられますね〜
勤続年数がプラスを生む理由
労働者の特性や経営慣行、企業の業績などに関する調査結果についての記事なのですが、勤続年数は、財務およびオペレーションの面で大きなプラスになることが分かったそうです。
しかし、従業員の年齢そのものは、企業のパフォーマンスに影響を与えないとのこと。
なるほど、ポイントは年齢の高さではなく「勤続年数」なのですね。
また、経験値には2つの価値があるそうなのですが、ここでも注目ポイントがあります。
まずは2つの価値について説明しますと、1つは「総合的な人的資本」。
これは、生涯にわたる仕事や働くことから得られる知識、スキル、学習した能力、行動パターンといったものから構築されます。
これは本人が転職先に持っていけるもので、多くの人にとって価値があり、それが欲しければ企業は雇用市場で手にできるというわけです。
一方、もう1つは「会社特有の人的資本」。
これは特定の組織で、サプライヤーや顧客、テクノロジー、製法、知的資本、そして同僚と触れ合いながら仕事をした経験がもたらす知識や社会的ネットワーク、熟練性、ノウハウから構築されます。
会社特有の人的資本は、一つの組織にとって価値を持つものになります。
もちろん、両方とも価値ある経験です。
それは前提として、ある意味で前者は中途採用で手に入れられる経験値。
例えば、ホームページを制作するスキルは、どの会社でも通用するものなので、ホームページをつくれる人が必要であるならば、中途採用を通して仲間になってもらえば良いのです。
一方で、後者は自社にあって価値を発揮します。
「会社特有の人的資本」は勤続年数に比例
分かりやすいところで言えば「コネ(人間関係)」がそうです。
ウチのようなクライアントビジネスでは、10年以上音沙汰がなかったクライアントから急に依頼が来たりします。
当然、10年前にお付き合いしていた社員がいなければ、連絡はつながらないわけで、そういった社員がいたからこそ関係が復活したわけです。
他にも王道の仕事以外に、普段頼まれないような仕事を受けることもあり、これまた10年以上経って、別の会社から似たような仕事を発注されることもあります。
そういう時に以前似た仕事を経験した社員がいると、スムーズに対応することができるわけです。
例えば、これがメーカーならば、昔流行った商品がリバイバルヒットすることがあるはずです。
そういう時に当時の古参社員がいると心強い。
つまり、その会社で経験したからこそ持っている経験値は、リクルートでは手に入らないというわけです。
また、勤続年数の長い社員が多くいれば、短い社員からすると「この会社は長く働ける」という安心感が芽生えますし、社員一人一人が長期視点で自社でのステップアップ(キャリアデザイン)を考えることもできるわけです。
最近は終身雇用の崩壊や成果主義によって、転職した社員が転職した初日から次の転職を探し始めるというパターンもあると聞きます。
当然、勤続年数の長い社員が少ない企業であるならば、就職した社員も「ここではそんなに長くないだろう」と思うはずなので、得られる成果と成長を得たら「はい、次へ」となるはずです。
これでは、なかなか自社へのロイヤリティーは高まりませんね…(汗)
ということで、勤続年数の長い社員の持つ価値を挙げていけばキリがありませんが、経営者としてはそういった社員を宝と見て、いかに活かせるかが腕の見せ所になるでしょう。
管理職の適材適所も考える
例えば、管理職としての力の発揮の仕方も、人によって違うわけです。
その一例として挙げられるのが「リーダー」と「マネージャー」の違いでしょう。
電通の事業開発プロデューサー、アーロン・ズーさんが双方の違いをとても分かりやすく整理されているので共有させていただきます。
〈現代ビジネス / 2023年3月24日〉
マネージャーとは「管理する人」。
つまり、複雑な状況にうまく対応するのが仕事です。
計画や予算管理から製品の品質、さらに組織の秩序や一貫性の維持において欠かせない存在。
一方でリーダーの重要な役割は「変化に対応する」こと。
ビジョンを描き、それを達成するための「動機づけ」や「メンバーのモチベーション維持」、大きな障害に直面しても「チームを正しい方向に導く力」を発揮します。
前者は仕組み化や効率化が得意で、生産性を上げることで利益を生み出していく。
一方で後者は新しい価値や付加価値を創造し、利益を生み出していきます。
それぞれタイプは大きく異なりますが、どちらも必要な人。
これは極端な分け方ですが、組織を束ねる上でさまざまなタイプがいた方が上手くいく。
今は「管理職」ということに限定しましたが、人は一人として同じ人はいないので、もちろん職位や職種で共通して求められることはあったにせよ、やはりいかにその人の唯一無二を引き出し、組織の中で活かしていくかが経営者の務めでしょう。
また、そうした姿勢で一人一人の社員に対して臨むことで、「長くいたい会社」という社員の意識を生み、それに乗じて勤続年数の長い社員がいることでの「会社特有の人的資本」という恩恵を多く受けられることになるはずです。
まずは一人一人の社員に何を期待しているかをしっかりと伝え、その中で自分にしかない会社への貢献の仕方を模索してもらい、そうして会社全体がポジティブに成長していけることが理想的である。
そんなことを思う今日この頃です。
もう間もなく22年目の一年が始まりますが、一人一人の社員の付加価値をより一層高められるようなリーダーシップを磨いていきたいと思います。
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