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さぁ、“楽“習の時代へ

column vol.871

昨日は働き方改革をテーマにし、最終章学校について触れさせていただきましたが

最近、ますます素晴らしい教育の形を目にする機会が増えています。

例えば、「コネクテッド・ラーニング」はまさにその好事例だと感じます。

“興味” と “仲間” をテクノロジーで繋ぐ

コネクテッド・ラーニングとは、子どもたちがデジタルメディアを使いながら、他の人と社会的な繋がりを持ち、学んでいく、次世代の教育のための新しいアプローチ。

〈Forbes JAPAN / 2022年12月16日〉

テクノロジーの進化により、オンライン学習など、学びにおける多様なチャネルが生み出されました。

学びたいことが学べる。

そして、共通の関心やアイデンティティを持つ集団内で相互に学び合うことがコネクテッド・ラーニングの趣旨となるのです。

上記フォーブスジャパンの記事を執筆したカリフォルニア大学コネクテッド・ラーニング・ラボを率いる伊藤瑞子准教授は、2015年にNPO「Connected Camps」を設立。

そこでは、マインクラフトのゲームの中でコミュニティをつくり、歴史生物などを学べたり、コーディングゲームデザインを身につけることができます。

つまり、学校教育のような画一的な勉強ではなく、自分の興味のある対象を通じて、好きなことを好きな人と一緒に「楽しんでいる」という感覚で学ぶことができるというわけです。

さらにメンターとして、彼らに年の近い学生に関わってもらい、子どもたちの興味・関心をさらに引き出す役割を担ってもらっています。

伊藤さんは

子どもたちのさまざまなアイデンティティ、興味を理解しつつ、全ての若者が自分の居場所があると感じられるような社会的繋がりをデザインすること、そして、良い文化や知識、行動がオンライン上でも生み出され、若者がそれに参加できる環境をつくることがますます求められている

と語っていらっしゃっています。

この取り組みには、従来の学校には適応できなかった自閉スペクトラム症ADHDなど特別なニーズの子どもたちも参加することができており、まさにインクルーシブ(包括的)な教育としても、ますます注目が集まりそうです。

答えのない問いを探す「演劇教育」

インクルーシブな教育として、もう1つ注目しているのが「演劇教育」です。

欧米などでは、公教育に演劇教育(ドラマ教育)が組み込まれていますが、日本ではまだ馴染みがないかと思います。

台本通りに演じることが目的ではなく、現実とは切り離した「演劇」という手法を使って、相手に分かるように感情を伝えることや相手の感情を受け取る “コミュニケーションの練習” を目的としており、子どもたちは授業を通して多角的な視点や考え方を学びます。

私も大学の頃、芝居に打ち込んでいたのですが、エチュードという即興芝居を行う練習で、相手のやりたい芝居をいち早く察知し、その場で一緒にストーリーをつくり上げ、さらにはそれを見ている仲間たちに理解させる
ことをひたすらトレーニングしました。

この練習は、間違いなく社会人になってからも非常に活きている

そんな演劇教育が学べる場所を提供しているのが、一般社団法人「プレイキッズシアター」代表のむらまつひろこさんです。

さらに、同団体がサポートする「こがねい子ども創作舞台プロジェクト」にも注目が集まっています。

〈東洋経済オンライン / 2022年12月12日〉

こちらは、東京都小金井市在住の保護者教育関係者が中心となり、2021年に発足。

市内の子どもたちが仲間と舞台作品を作り、発表する活動を地域ぐるみでサポートしています。

このプロジェクトの “応援団長” とご自身で公言されている小金井市の大熊雅士教育長の次のお言葉に演劇教育の真髄があると感じます。

演劇教育は、答えのない問いを探すのにとても大切なツールです。子どもたちは、今回のような体験を通し、自分の中にあるモヤモヤを言語化し、言葉や動作などで表現することを学びます。そこで大切なのは、『自分の表現が相手に伝わっているか』について考えるということ。相手に伝われば、相手の心が動き、その子なりの表現が新たに生まれますが、相手の心を動かしていないと感じた場合は、自分の表現方法を変える必要があります。

試行錯誤を重ねながら、『どうやったら相手に伝わるか』を考え続けること。

そして、自分の考えと相手の考えを掛け算してより良い舞台にしていくこと。

演劇教育を通してこのような経験を積み重ねていくことが、問題解決能力の向上に繋がると仰っているのです。

社会に出ると、その場の登場人物自分の役を考え、その場に応じて臨機応変にストーリーを紡ぎ出さなけれなりません。

予測不能なVUCA時代は、答えが常に変容していく。

展開の早い舞台の中で、どのようにお客さまを楽しませ続けていくのか

確かに演劇教育には、そういったビジネスのエッセンスを楽しくポジティブに学べますね

PTAが主導する起業家教育に注目

そして、自分の興味を軸に仲間と学び、そして答えの中ところに答えを生み出すトレーニングを積んだら、その先に意識したい1つが「起業」なのではないでしょうか?

最近は「起業家教育」の事例が増えていますが、今回はちょっとユニークな取り組みがあったので共有させていただきます。

それは、何とPTAが主導する起業家教育なのです…(驚)

舞台となっているのは、千代田区立麹町中学校

校則や宿題をなくし、定期テストも廃止するなど、思い切った改革を進めることで「私立のような公立」と称される、大注目の中学校です。

〈Forbes JAPAN / 2022年12月15日〉

PTAが主導する起業家教育の名は「麹中ベンチャーズ」

スタートアップ支援を手掛ける「ガイアックス」が提供している「起業ゼミ」を、生徒たちが受講する形で、今年8月から取り組みをスタートさせています。

起業ゼミでは計3回の講義(2回補講も実施)で事業を立案することを目指し、PTAやガイアックスの担当者らとアイデアの発案やビジネス用語の学習、企画のブラッシュアップなどを行ってきたとのこと。

その集大成として10月にピッチ大会が開催されたのですが、何と凄いのが最優秀賞の生徒にはガイアックスから200万円と法人設立費用が贈呈されるという内容だったのです…(驚)

9人の生徒が参加し、今回は残念ながら賞金の該当者はいなかったそうですが、希望者には「継続的な起業支援」が行われることに。

かなり本格的な取り組みになっています。

PTA会長の中間貴恵さんは

普段、友達同士で環境問題や睡眠の課題を話す機会ってなかなかないですよね。仲間内で話す内容って大体決まっていて、今だときっとそれぞれの『推し』の話をしたりする。
でも何気なく社会に対して課題意識を抱いている子もいます。その想いをためらいなく言えて、真剣に向き合ってくれる人がいる場所をつくれたのは良かったのではないかと思います

と手応えを語っていらっしゃいます。

確かに、社会のこと、ビジネスのこと、そして未来のことを、生徒同士で話し合うきっかけをつくるだけでも大きな価値だと感じます。

真剣なことを楽しく学びながら考えていく。

学習というより“楽”習という表現の方がふさわしい今回の好事例たちだったのではないでしょうか?

しかし…毎回、最新の教育を目にする度に、今の子が羨ましくなる…

子どもたちが素晴らしい教育にたくさん触れながら、希望溢れる未来をつくっていって欲しいと願いたいですね〜

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