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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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2021年6月の記事一覧

『ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた』

『ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた』

長い題だ。手書きの文字とイラストが殆ど全部を占めている。医学書からのまとめや注意点が活字でまとめられているのが、ほっとするのか、違和感を覚えルのか、それは読者次第だろう。
 
森皆ねじ子。ナース世界では特に有名である。医療現場の人であり、漫画家である。その「手技」を解説した同様の本は、その世界では非常によく読まれている。なんといっても、看護師の技術や心得について、実にリアルに説明がされていて、分か

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華氏451度

華氏451度

放送が終了してからご紹介するというのは無粋だしルール違反となるだろうが、100分de名著は2021年6月、「華氏451度」だった。先日も少し触れた。
 
本というものを燃やす社会を描いた物語である。こうした作品は、何かを想定して批判をしたり警告を与えたりしているのが通例である。
 
ブラッドベリは、テレビが浸透し始めた頃に、この小説を書いている。まだテレビが人間にどのような影響を与えるかということ

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『夏の坂道』(村木嵐・潮出版社)

『夏の坂道』(村木嵐・潮出版社)

7月に文庫が発売される。単行本は2019年に出ており、電子書籍版もある。私はこの文庫版の知らせで本書を知った。南原繁の物語である。
 
戦後の東大総長を務め、日本国憲法の成立にも一役果たしたというが、なによりキリスト教を信じていた信念の人であったというところが、この物語の真骨頂であろう。無教会派として生きた人で、教会の教義や聖書の言葉を振りかざすようなことはしなかったが、聖書の精神に裏打ちされたそ

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今村天主堂

今村天主堂

外からだけ、見たことがあります。それだけでも感激ものでした。内側から見たステンドグラスは、きっと夢のように美しいことでしょう。鉄川与助という人物にも魅力があります。その腕によりこの絶妙な建築が可能になりました。この地域は、キリシタンの村でありつつ、いくらか寛大な措置を執られていたといい、キリシタンの伝統のある地で、今村切支丹資料館もお薦めです(いまも開いているのでしょうか)。明治期にここから、多く

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