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誰かに話したくなる語彙や雑学マガジン

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#法律

同性と不倫しても「不貞行為」だって判決のはなし

同性と不倫しても「不貞行為」だって判決のはなし

2021年3月16日東京地裁で同性との不倫も「不貞行為」って判決が出たらしい。

こういった判決は,不貞行為の定義の話やら,法解釈やら社会通念やらの話に踏み込む必要があって,物事を考える上でとても参考になる。

とは言え飽くまで地方裁では,同性との不倫であっても「不貞行為」であるという判決がでた,と。それまでの話。とかく別の思想の持ち主も騒ぎ立て荒ぶる必要はない。このタイプのトピックスについて,個

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「国家賠償法」の判例4つほど

「国家賠償法」の判例4つほど

昨日書いた内容の関連知識として。

関西水俣病訴訟(最判平16.10.15)
国及び熊本県に対し,水俣病発生及び拡大の防止につき規制権限を怠ったとして国家賠償請求を提起した事案。
権限を行使しなかったことが著しく合理性を欠くものであるとして,県が国家賠償法1条1項による損害賠償責任を負うとした判断が是認された。

高知落石事件(最判昭45.8.20)
国道に落石が生じ,走行中の貨物自動車に直撃して

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原発事故の避難指示遅れは行政の「不作為」責任か

原発事故の避難指示遅れは行政の「不作為」責任か

訴えの利益のある人々→東電
「東電が原発を管理できていないことによって損害を受けた」という訴訟はイメージしやすい。損害を与えたのは東電であって,損害を受けた人々は東電を訴える。

訴えの利益のある人々→国 過失責任
「国がちゃんと東電を管理すべきであったのにも関わらず,管理できていなかったので損害を受けた」という訴訟。国会中継なんかで総理大臣,各大臣が追及されている様子を見ると,あたかも国だけが悪

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「他事考慮」と「考慮不尽」って視点が使いやすい

「他事考慮」と「考慮不尽」って視点が使いやすい

物事を判断する際に,その判断が妥当か否かって検討する視点って人それぞれ,ある。

「スキ・キライ」というのもその一つの基準。
しかしながら,他者にその妥当性を説明する際にはそんな感情論ではなかなか理屈が通らない。

そんな理屈への補強に役立つ視点で,この二つ。

「他事考慮」
「考慮不尽」

判断の過程に
考慮すべきでない事項が多く含まれているため,その決定は妥当ではないですよー,とか
考慮すべき

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「中小企業金融円滑化法」って何かね

「中小企業金融円滑化法」って何かね

SNSのレコメンドで表示されて気になった「EXIT」
日本やばいよ,日本やばいよって話は聞くけれど具体的にどうやばいのかって,納得できるその概観を説明できるか?と問われると目を伏せてしまう。ちょっと知識を入れたくて購入した。

その中で出てくる「中小企業金融円滑化法/モラトリアム法」という法令がキーになっていたので,以下にまとめてみた。

物凄くかいつまむと

■1 リーマン・ショック(2009年

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「IT人材」がSIerに偏ってる表

「IT人材」がSIerに偏ってる表

日経に内閣府のデータを引用した記事があったので,データに目を通していた。

日本の派遣に関する問題点は法制度からしてしばしば指摘されるけれど,SIerはSIerで専門性があったり,派遣会社は派遣会社で,ある種雇用の受け皿になっていたりするから,悪い面ばかりではないというのが一つの見解。抜本解決を促す打ち手ってそうそう聞かない。

価値を生まずピンハネだけする構造がはびこることが健全でないのは全会一

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「得られる利益」と「失われる利益」

「得られる利益」と「失われる利益」

違憲審査基準でしばしばみられる考え方。

ビジネス上でも納得感を増す判断の基準として使いまわしが良い。

Aの施策は200人のユーザーが離脱しますが,3万人の新規ユーザー獲得が期待でき,失われる利益より得られる利益が増すという判断から,A施策の妥当性が担保されます。という感じ。

蛇足だけれど…
緊急事態宣言のような施策も宣言によって自粛がなされ経済が停滞するという失われる利益より,ウィルスの蔓延

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東京地裁で,二重国籍を認めない国籍法は「合憲」と

東京地裁で,二重国籍を認めない国籍法は「合憲」と

外国籍を取得したときに日本国籍を失うとした,国籍法第十一条1項が憲法二十二条2項に反するのではないかという事が争点であった。

「メルクマール」として判断する

「メルクマール」として判断する

行政法初学者から中級者あたりに人気のサクハシ「行政法」のどこかで書いていたのが最初だったと思う。

判例でよく見た「蓋し(けだし)」

判例でよく見た「蓋し(けだし)」

「蓋し(けだし)」は判例でよく見る語彙。

「思うに,かなりの確からしさで…」というニュアンスで使われる。

法律の勉強をしていた時のトピックスって色々印象に残っているものがあるのだけれど,ことに語彙へスポットを当てたとき「参酌」と今回の「けだし」が頭に浮かぶ。

平成10年くらいまでの判例で使われていたようで,最近はあまり使われていないとか。

上記の検索でも出てきているように,初めて見たときは

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「参酌」してこれをしなければならない

「参酌」してこれをしなければならない

(聴聞を経てされる不利益処分の決定) 行政手続法第26条 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、第24条第1項の調書の内容及び同条第3項の報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

「参酌」は行政法を勉強しているときに知った語彙。

「参酌」そのものの意味は,他の意見をしっかり参考にして取り入れるというような意味合い。
行政手続法26条は物凄く搔い摘むと「行政庁が

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