鯛野タイ

こんにちは。映画や音楽についての文章を書いています。たまに公開予定作品のレビューとかも。

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映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ

11/23(木)から劇場公開です。当時の公開時のことは全く知らないけど、今年に入ってから何となく界隈で"リバイバルの機運"を感じていた作品。夏にはパッケージの再販もさ…

鯛野タイ
6か月前
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5/10(金)公開『胸騒ぎ』映画評(小)

5/10(金)公開予定『胸騒ぎ』のちょっとした小レビューです。 公式サイトに掲載されている以上のネタバレは控えますので、鑑賞前に読んでいただいても大丈夫かも。 ・・…

鯛野タイ
1か月前
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5/17(金)公開 『ありふれた教室』映画評と『システム・クラッシャー』(おまけ)

『ありふれた教室』 「スコラスティック・スリラー」って言葉、はじめて聞いた。 たしかにこの作品の大人たちが右往左往していく様はまさに「スコラスティック」、衒学的…

鯛野タイ
1か月前
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WOMEN'S MOVIE BREAKFAST @下高井戸シネマ 4作品レビュー

「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト」出版記念の特集上映@下高井戸シネマに参加しました。6月に後追いの公開を控える『エンジェル・アット・マイ・テーブル 2Kレス…

鯛野タイ
1か月前
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『日々をつなぐ』特集5作品 感想

4/20(土)〜4/26(金)まで下高井戸シネマで実施された『日々をつなぐ』というドキュメンタリー作品の特集上映に参加しました。 特集概要 3月に公開された清原惟監督作『す…

鯛野タイ
1か月前
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2023年 映画まとめ - その2 下半期に観た旧作と新作ベスト10

Part1はこちら。下半期に見た2023年新作の感想です。 Part2は2023年下半期に見た旧作32本と、今年のベスト10を書きます。 2023年下半期に見た旧作たち ★が付いている…

鯛野タイ
5か月前
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2023年 映画まとめ - その1 下半期に観た新作

2023年下半期は新作58本を観た。うち3本くらいは上半期公開でした。旧作を含めると劇場で観たのが80本くらい?配信分も含めると150本くらい?年間通算だと250本くらいかな…

鯛野タイ
5か月前
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映画『正欲』のお話 物足りなさ 不愉快 救い

『正欲』観ました。受け入れられないシーンもあれば、この作品に出会えてよかったと思えるシーンもあって、鑑賞後にぐるぐると考える時間がいつもより多かった。ぜひ残して…

鯛野タイ
7か月前
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映画「バービー」感想 ラストシーン以外すべて皮肉?

感想です。あまり推敲できてないですが。 まず、古来からバービーランドで女性が主体なのも、ケンダムでケンが支配欲を満たすのも最終的に虚構に終わったのがすばらしい。…

鯛野タイ
10か月前
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北欧映画「イノセンツ」波立つ子供たちの心

7/28(金)公開の「イノセンツ」という北欧発の映画を観ました。 大友克洋作「童夢」からインスピレーションを受けたと話題になっているらしいのだけど、未読なのでそこは…

鯛野タイ
10か月前
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Homecomingsがくれる"よるべ" / 「New Neighbors」を聴きました

Homecomingsのニューアルバム「New Neighbors」が発売。 いま一番好きな音楽を聞かせてくれる人たち。先行配信されていたシングル曲はもちろん、アルバム発売に合わせて初…

鯛野タイ
1年前
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映画「ザ・ホエール/THE WHALE」にまつわるとある告解

「ザ・ホエール」良かったなあ。とある気付きを得た。すべて正直に書くというチャーリーのポリシーを信じてみる。感想ではなく、この映画をきっかけとした回顧的なもの。 …

鯛野タイ
1年前
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『まじめな会社員』を読んだ呪われし一般男性の呻き

『まじめな会社員』という漫画を一気読みしました。ツイッターでバズってたのか紹介ツイートを見かけたのか、ぼんやり読みたいなと思っていたところ全4巻でこないだ完結し…

鯛野タイ
1年前
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映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ

映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ

11/23(木)から劇場公開です。当時の公開時のことは全く知らないけど、今年に入ってから何となく界隈で"リバイバルの機運"を感じていた作品。夏にはパッケージの再販もされ、思わず購入した。今年はたくさんの復活上映が人気だけど、1番賑わせるのはこの作品で間違いないと思っている。「アメリ」とは2001年も今年も公開時期が被ってて、めっちゃ素敵だよね・・

15歳とは到底思えない擦れ方をしているスカーレッ

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5/10(金)公開『胸騒ぎ』映画評(小)

5/10(金)公開予定『胸騒ぎ』のちょっとした小レビューです。
公式サイトに掲載されている以上のネタバレは控えますので、鑑賞前に読んでいただいても大丈夫かも。

・・・

まず鑑賞後真っ先に鋭さを感じたのは、英題の"SPEAK NO EVIL"というフレーズだ。直訳すると「悪を言わず」で、三猿のひとつ「見猿」が由来になっている。
主人公一家がデンマークからイタリアにバカンスを楽しんでいるところから

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5/17(金)公開 『ありふれた教室』映画評と『システム・クラッシャー』(おまけ)

5/17(金)公開 『ありふれた教室』映画評と『システム・クラッシャー』(おまけ)

『ありふれた教室』

「スコラスティック・スリラー」って言葉、はじめて聞いた。
たしかにこの作品の大人たちが右往左往していく様はまさに「スコラスティック」、衒学的で高慢だった。

本作、スリラーとしての起承転結の流れは分かりやすいものの、画面上では描かれない大人たちの腹心とオスカーの最後の行動について考えれば考えるほど、教育現場の心理を丁寧に描写する傑作だと思える作品だ。

ルービックキューブが示

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WOMEN'S MOVIE BREAKFAST @下高井戸シネマ 4作品レビュー

WOMEN'S MOVIE BREAKFAST @下高井戸シネマ 4作品レビュー

「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト」出版記念の特集上映@下高井戸シネマに参加しました。6月に後追いの公開を控える『エンジェル・アット・マイ・テーブル 2Kレストア版』より先に4作品をすべて鑑賞できたので、以下感想をまとめます。

普段からフェミニズムのことを考え、そういった題材の映画には心を奪われがちである。一方でフェミニズムとは女性だけの物語ではないし、女性が出ていればフェミニズム、という

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『日々をつなぐ』特集5作品 感想

『日々をつなぐ』特集5作品 感想

4/20(土)〜4/26(金)まで下高井戸シネマで実施された『日々をつなぐ』というドキュメンタリー作品の特集上映に参加しました。

特集概要

3月に公開された清原惟監督作『すべての夜を思い出す』の映像美が印象的だった。無機質で淡々とした生活を繋ぎ合わせるようなドキュメンタリーチックなショットに惹かれて、その撮影監督である飯岡幸子さんが主宰される企画ということで、全作品観てみた。

とても素晴らし

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2023年 映画まとめ - その2 下半期に観た旧作と新作ベスト10

2023年 映画まとめ - その2 下半期に観た旧作と新作ベスト10


Part1はこちら。下半期に見た2023年新作の感想です。

Part2は2023年下半期に見た旧作32本と、今年のベスト10を書きます。

2023年下半期に見た旧作たち

★が付いている作品は劇場で見ることができて良かったなあ、というお気に入り。

アメリ

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア

エクソシスト ディレクターズカット版

★おーい!どんちゃん

牯嶺街少年殺人事件

★ゴースト

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2023年 映画まとめ - その1 下半期に観た新作

2023年下半期は新作58本を観た。うち3本くらいは上半期公開でした。旧作を含めると劇場で観たのが80本くらい?配信分も含めると150本くらい?年間通算だと250本くらいかな???そんな感じです。

さて、下半期に見た新作映画の感想をちょっとずつ載せます。50音順です。

あまりにも長くなってしまいそうなので、作品のリンクは貼らないことにした。

1. 658km,陽子の旅

菊地凛子の演技をまじ

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映画『正欲』のお話 物足りなさ 不愉快 救い

『正欲』観ました。受け入れられないシーンもあれば、この作品に出会えてよかったと思えるシーンもあって、鑑賞後にぐるぐると考える時間がいつもより多かった。ぜひ残しておきたい。原作は未読、というか朝井リョウの小説自体読んだことがないし、特に読もうとも思っていないけどそれは許してください。

○フェティシズム
まず特殊な性的指向が物語の鍵となる一方で、それが「水」にまつわるフェティシズム(こうは呼称したく

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映画「バービー」感想 ラストシーン以外すべて皮肉?

感想です。あまり推敲できてないですが。

まず、古来からバービーランドで女性が主体なのも、ケンダムでケンが支配欲を満たすのも最終的に虚構に終わったのがすばらしい。二項対立に留まらない!性差は存在するけどね!という人間世界の婦人科のラストはシンプルながら良いですね。

でも、だとするとケンに支配されたバービーランドの再起に向けて奔走していた時間はなんだったのか、という根本的な疑問が残る。この疑問はこ

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北欧映画「イノセンツ」波立つ子供たちの心

北欧映画「イノセンツ」波立つ子供たちの心

7/28(金)公開の「イノセンツ」という北欧発の映画を観ました。

大友克洋作「童夢」からインスピレーションを受けたと話題になっているらしいのだけど、未読なのでそこはよくわからなかった。ただ「AKIRA」で見られるスペクタクルな見せ方(人物を小さく、背景をデカくなど)はリスペクトされているように思えたし、インスピレーションされたんだね、ということくらいは「童夢」未読でもわかったかな。

この映画、

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Homecomingsがくれる"よるべ" / 「New Neighbors」を聴きました

Homecomingsがくれる"よるべ" / 「New Neighbors」を聴きました

Homecomingsのニューアルバム「New Neighbors」が発売。

いま一番好きな音楽を聞かせてくれる人たち。先行配信されていたシングル曲はもちろん、アルバム発売に合わせて初公開となった楽曲もまた、すばらしいものばかりだった。

当初はアメリカのカントリーサイドを彷彿とされる曲が多かったのだけど、アルバム「WHALE LIVING」あたりから、日本語歌詞が増えてきた。

今回のアルバム

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映画「ザ・ホエール/THE WHALE」にまつわるとある告解

映画「ザ・ホエール/THE WHALE」にまつわるとある告解

「ザ・ホエール」良かったなあ。とある気付きを得た。すべて正直に書くというチャーリーのポリシーを信じてみる。感想ではなく、この映画をきっかけとした回顧的なもの。

・・・

少し前に自分が付き合っていた恋人は、自分が同性愛者かアセクシャルか、自分でも分からないアイデンティティに悩んでいることを僕に告げて、お互いの関係を解消した。それが主な理由か、そもそももっと表層で恋人としての感覚が合わなかったから

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『まじめな会社員』を読んだ呪われし一般男性の呻き

『まじめな会社員』を読んだ呪われし一般男性の呻き

『まじめな会社員』という漫画を一気読みしました。ツイッターでバズってたのか紹介ツイートを見かけたのか、ぼんやり読みたいなと思っていたところ全4巻でこないだ完結したのでいい機会かな、と。

A子さんの恋人みたいな感じなのかなって思ってたけど、実態はもっと救いようのない物語でした。A子さんの物語にも登場しそうではある、でも絶対に主人公にはなれず、クリエイティブにもなりきれない一般人にスポットが当たった

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