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2024年上半期新作映画まとめ&ベスト10
2024年上半期はちょうど50本の新作を観ることができた。昨年と比べるとパルムドール受賞作『落下の解剖学』を皮切りに、『オッペンハイマー』など大作が2~4月に目白押しだった印象だ。そして『悪は存在しない』が公開されるまで『夜明けのすべて』の一強状態でパッとしなかった邦画のラインナップも、6月に『あんのこと』が加わってくれて、河合優実主演作品『ナミビアの砂漠』の公開が控える下半期を万全の状態で迎える
もっとみる『Shirley シャーリィ』映画評 ただのシスターフッドではない
7/5(金)公開の映画『Shirley シャーリィ』。公開希望の小ささも影響しているのか、突き抜けた評価を得ている印象はなかった。しかし、公開から1週遅れて劇場に足を運んだが、その評判を軽く覆すほどのおもしろさだった。
社会派作品としてフェミニズムは食傷気味だという意見と、単純にストーリーの流れが分からないという意見が散見される。どちらの観点からみても、この作品は良くも悪くも観た者の想像力が試さ
『クレオの夏休み』映画評 こどもが死生観を知る映画
『クレオの夏休み』いい映画でした。
ことし公開された『リンダはチキンが食べたい!』に通じる、こどもの死生観が芽生えるようすを描いた秀作だ。
クレオはフランスで様々なバックグラウンドを持つ子供たちに囲まれて育った。記憶の芽生えよりも先に実母を亡くし、乳母を雇ってはいるものの、父親が子育てと労働の二軸でクレオのことを支えている。
そうした先進国然としたフランスのとある家庭に家事手伝いとして参加した
2024年上半期に劇場で観た旧作まとめ(備忘録)
2024年これまでに劇場で観た旧作45本のまとめです。★付の作品は特にお気に入り。感想は省略します。最後に、上半期に観た新作+トップ10を感想付でまとめたnoteも載せますのでぜひご覧ください。
イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K
ペパーミント・キャンディ 4Kレストア
★シークレット・サンシャイン 4Kレストア
★オアシス 4Kレストア
バーニング 劇場版4K
ピーター・グリーナウェイ
5/10(金)公開『胸騒ぎ』映画評(小)
5/10(金)公開予定『胸騒ぎ』のちょっとした小レビューです。
公式サイトに掲載されている以上のネタバレは控えますので、鑑賞前に読んでいただいても大丈夫かも。
・・・
まず鑑賞後真っ先に鋭さを感じたのは、英題の"SPEAK NO EVIL"というフレーズだ。直訳すると「悪を言わず」で、三猿のひとつ「見猿」が由来になっている。
主人公一家がデンマークからイタリアにバカンスを楽しんでいるところから
5/17(金)公開 『ありふれた教室』映画評と『システム・クラッシャー』(おまけ)
『ありふれた教室』
「スコラスティック・スリラー」って言葉、はじめて聞いた。
たしかにこの作品の大人たちが右往左往していく様はまさに「スコラスティック」、衒学的で高慢だった。
本作、スリラーとしての起承転結の流れは分かりやすいものの、画面上では描かれない大人たちの腹心とオスカーの最後の行動について考えれば考えるほど、教育現場の心理を丁寧に描写する傑作だと思える作品だ。
ルービックキューブが示
WOMEN'S MOVIE BREAKFAST @下高井戸シネマ 4作品レビュー
「ウィメンズ・ムービー・ブレックファスト」出版記念の特集上映@下高井戸シネマに参加しました。6月に後追いの公開を控える『エンジェル・アット・マイ・テーブル 2Kレストア版』より先に4作品をすべて鑑賞できたので、以下感想をまとめます。
普段からフェミニズムのことを考え、そういった題材の映画には心を奪われがちである。一方でフェミニズムとは女性だけの物語ではないし、女性が出ていればフェミニズム、という
『日々をつなぐ』特集5作品 感想
4/20(土)〜4/26(金)まで下高井戸シネマで実施された『日々をつなぐ』というドキュメンタリー作品の特集上映に参加しました。
特集概要
3月に公開された清原惟監督作『すべての夜を思い出す』の映像美が印象的だった。無機質で淡々とした生活を繋ぎ合わせるようなドキュメンタリーチックなショットに惹かれて、その撮影監督である飯岡幸子さんが主宰される企画ということで、全作品観てみた。
とても素晴らし
2023年 映画まとめ - その2 下半期に観た旧作と新作ベスト10
Part1はこちら。下半期に見た2023年新作の感想です。
Part2は2023年下半期に見た旧作32本と、今年のベスト10を書きます。
2023年下半期に見た旧作たち
★が付いている作品は劇場で見ることができて良かったなあ、というお気に入り。
アメリ
インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
エクソシスト ディレクターズカット版
★おーい!どんちゃん
牯嶺街少年殺人事件
★ゴースト
映画『ゴーストワールド』異星人シーモアを解剖しようぜ
11/23(木)から劇場公開です。当時の公開時のことは全く知らないけど、今年に入ってから何となく界隈で"リバイバルの機運"を感じていた作品。夏にはパッケージの再販もされ、思わず購入した。今年はたくさんの復活上映が人気だけど、1番賑わせるのはこの作品で間違いないと思っている。「アメリ」とは2001年も今年も公開時期が被ってて、めっちゃ素敵だよね・・
15歳とは到底思えない擦れ方をしているスカーレッ
映画「バービー」感想 ラストシーン以外すべて皮肉?
感想です。あまり推敲できてないですが。
まず、古来からバービーランドで女性が主体なのも、ケンダムでケンが支配欲を満たすのも最終的に虚構に終わったのがすばらしい。二項対立に留まらない!性差は存在するけどね!という人間世界の婦人科のラストはシンプルながら良いですね。
でも、だとするとケンに支配されたバービーランドの再起に向けて奔走していた時間はなんだったのか、という根本的な疑問が残る。この疑問はこ
Homecomingsがくれる"よるべ" / 「New Neighbors」を聴きました
Homecomingsのニューアルバム「New Neighbors」が発売。
いま一番好きな音楽を聞かせてくれる人たち。先行配信されていたシングル曲はもちろん、アルバム発売に合わせて初公開となった楽曲もまた、すばらしいものばかりだった。
当初はアメリカのカントリーサイドを彷彿とされる曲が多かったのだけど、アルバム「WHALE LIVING」あたりから、日本語歌詞が増えてきた。
今回のアルバム
映画「ザ・ホエール/THE WHALE」にまつわるとある告解
「ザ・ホエール」良かったなあ。とある気付きを得た。すべて正直に書くというチャーリーのポリシーを信じてみる。感想ではなく、この映画をきっかけとした回顧的なもの。
・・・
少し前に自分が付き合っていた恋人は、自分が同性愛者かアセクシャルか、自分でも分からないアイデンティティに悩んでいることを僕に告げて、お互いの関係を解消した。それが主な理由か、そもそももっと表層で恋人としての感覚が合わなかったから