裏路地ドクソ@退廃的詩人

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骨の聲

シャレコウベが語り掛けてくる 死を越えた先に楽園があったと 楽園は海辺の風を揺らして、宿り木の下、キスをする恋人たちを煽っている 情念だと言わずして、貴様らの行い…

ハート

本当に必要な物はもう揃っているという では、今の置いてきぼりな気持ちはどこから来ているんだろう 孤独を愛する人もいるけれど 僕はそんなに強くはない 涙を流しながら …

ライフ

何をどんなに持っていても 何をどんなに頑張っても 報われない人はいる した分の努力は人を裏切らないというけれど 今現在、不幸な人は この先どうやって生きていこうと震…

エンジェル

風のように去っていった え、なにが 青春さ 青い春と書いて青春 僕等ももう若者気分ではいられないってこと そうかなあ 胸を打つような太鼓の音 打ちあがる花火 縁日です…

スターゲイザー

あの星になりたい 君は一等星を指さしてそう言った じゃあ僕はその隣の小さな星にするよ 二人で顔を見合わせて笑い合った 小さく路上に咲く二輪草のように このまま笑い合…

エブリデイ

朝になる度に思うこと 一日がこのまま止まって始まらなければいいのに それ程までに憔悴した男は 鏡を見る度に拳を当てて 消えてしまえよと訴える 毎日仕事に向かって や…

少年H

少年がいた 少年が僕に言う 生きているってどういうことなの 僕は少し考えて 辛いことだと答えた 少年は辛い事ばかりなの と、僕に質問をした そんなことはないと答えを…

下を向いて歩こう

下を向いて歩こう 落としたものに気づけるかもしれないから 鬱屈した気分のトンネルを抜けて、世界は素晴らしいと言える自分を想像したとき 生涯かけてもそんな時期は来な…

ピクチャー

宝石になったあの子は幸せになれただろうか 誰かの指輪に添えられて 大事にしてもらっているところを想像する 石も記憶を持っていて あの子の辛さが、持ち主にも伝わってし…

ツナ缶

僕が僕であるために必要な事 それがこの世界には多すぎて 時々途方もない夢を見ているような気分になる 真っ新だった頃のことを思い出しながら 赤ん坊のように泣いている自…

偶像崇拝/散文詩

ロングヘア―の彼女は言った。この髪を伸ばすためにした努力はきっと報われない。最愛の人に届かない想いは浜辺の砂に吸い込まれていった。と、すれば暗雲立ち込める天気も…

カラスが鳴くから

隣り合うことの許されない僕等は どうしたら番になれることばかりを考えていて その実、相手の気持ちを無視していることにも 気がつかない 温かな日差しが目立つようにな…

定義

いつ君が来てもいいように 扉は開け放っておくよ 泥棒が入ってきてもわからないかもしれないけれど 盗るものなんて何もないから ガッカリするだろうね 路上生活している老…

コロニー

肌が触れ合うくらい近くにいるのに 心は一ミリも接近していないこと それは、誰が悪いとか 誰が原因とかではなく 僕と君との距離が適正であるという証しみたいなものだ 蛙…

涼暮月夜

ねえ。君の考えていることがわかるよ また一歩終わりまで近づいていることを喜んでいるんだね ねえ。僕の考えていることがわかるかな 実はね、毎日が始まることが零になる…

キツツキ

暫しの別れださようなら それを悠久のように思うこと無かれ 私がまた私に回帰するように 貴方との別れもまた 再会の為にあるだけなのだ 縁のある人と人は 再び会うことが…

骨の聲

骨の聲

シャレコウベが語り掛けてくる
死を越えた先に楽園があったと
楽園は海辺の風を揺らして、宿り木の下、キスをする恋人たちを煽っている
情念だと言わずして、貴様らの行いに意味を認めることなどできない
右目にはめ込まれたオブシディアンが
災厄を呼び込むために、必死に黒光りしている、まるで漆塗りの死骸だ

言葉を失った時に
初めて産声を上げた、本当の自分を知った
連弾でしか奏でられない音楽を
吹き曝しの耳で

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ハート

ハート

本当に必要な物はもう揃っているという
では、今の置いてきぼりな気持ちはどこから来ているんだろう
孤独を愛する人もいるけれど
僕はそんなに強くはない
涙を流しながら
辛い辛いと悲しんで
いったい何を得たというのか

蜻蛉が飛ぶ季節になった
どうしようもない心を
ゴミ捨て場に捨てた
そうしたら思ったよりも身体が軽くなり
行きたくも無い場所に行っても
何も感じなくなった

なんだ、最初から備わっていなけ

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ライフ

ライフ

何をどんなに持っていても
何をどんなに頑張っても
報われない人はいる

した分の努力は人を裏切らないというけれど
今現在、不幸な人は
この先どうやって生きていこうと震えている

朝日をゆっくりと見て
瞑想をして、自分を大切にしよう
あなたは決して独りではない
不幸の競争をするのはよくないけれど
朝日が綺麗だったと話すことはできる

そのうちひょろっと神様がやってきて
あなたに杖を振ると
あっという

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エンジェル

エンジェル

風のように去っていった
え、なにが
青春さ
青い春と書いて青春
僕等ももう若者気分ではいられないってこと
そうかなあ

胸を打つような太鼓の音
打ちあがる花火
縁日ですれ違う人々の汗の匂い
全てが懐かしいと感じる

僕は結果として歳をとってしまったけれど
あの頃に戻れるならば
いくら払っても構わないと思っている

そうかなあ、そうかなあ
今も青春の途中だと思うけど
それは君がまだ子供心を失っていな

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スターゲイザー

スターゲイザー

あの星になりたい
君は一等星を指さしてそう言った
じゃあ僕はその隣の小さな星にするよ
二人で顔を見合わせて笑い合った

小さく路上に咲く二輪草のように
このまま笑い合える時間が続くと良いね
僕等は小指を結びあって、いつまでも一緒にいようと約束をした
その願いは夜の風に冷やされて
まるで完璧な装いで凍ってみせた

50年かな
100年かも知れないね
あとどれだけ一緒にいれるかは
神のみぞ知る世界だけ

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エブリデイ

エブリデイ

朝になる度に思うこと
一日がこのまま止まって始まらなければいいのに
それ程までに憔悴した男は
鏡を見る度に拳を当てて
消えてしまえよと訴える

毎日仕事に向かって
やりたくも無い作業に追われ
疲労困憊で家に帰ると、迎えてくれる家族も無く
独り発泡酒を飲むことが楽しみだ

こうした人間は今やこの国にたくさん存在していて
いつからこんなに幸福度が下がったのだろうと
皆が首を傾げた
この国は治安が良いし

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少年H

少年H

少年がいた
少年が僕に言う
生きているってどういうことなの

僕は少し考えて
辛いことだと答えた

少年は辛い事ばかりなの
と、僕に質問をした
そんなことはないと答えを返した
でも僕はね、辛い事ばかり目につくから
人生を損していると思うんだよね

人生って難しいんだね
少年は、毎日友達と川に行ったり、校庭で遊ぶという話をし始めた
僕にもこんな時代があったのだろうか
真面目だと言われ続けたこの人生

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下を向いて歩こう

下を向いて歩こう

下を向いて歩こう
落としたものに気づけるかもしれないから
鬱屈した気分のトンネルを抜けて、世界は素晴らしいと言える自分を想像したとき
生涯かけてもそんな時期は来ないのではないかと
嘆いてしまうことってあると思うんです
自分に正直に生きることを選択できるといいですね

下を向いて歩こう
新しいスニーカーが見える
元気なんて出ないのに、歩いていればいずれ靴も朽ち果てる
それと同じで人間も一歩、また一歩

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ピクチャー

ピクチャー

宝石になったあの子は幸せになれただろうか
誰かの指輪に添えられて
大事にしてもらっているところを想像する
石も記憶を持っていて
あの子の辛さが、持ち主にも伝わってしまうことが不安ではあるけれど
新しい主人に恵まれて
行動を共にして
不幸せでないならそれでいいと願う

あの子にとって大事な人になれなかった自分が悔しい
そんな自己中心的な気持ちが間違って届かないといい
僕が君の髪を結う時に
いつも違う

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ツナ缶

ツナ缶

僕が僕であるために必要な事
それがこの世界には多すぎて
時々途方もない夢を見ているような気分になる
真っ新だった頃のことを思い出しながら
赤ん坊のように泣いている自分を
空から見下ろしている自分がいて
あやそうにも
手が届かないのが現状だ

子供が嫌なことがあると
お腹が痛いと訴えるように
僕も泣くことしかできないから
情けないなって思うんだ

ベランダを黒猫が通過した
いったいどうやってこの敷地

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偶像崇拝/散文詩

偶像崇拝/散文詩

ロングヘア―の彼女は言った。この髪を伸ばすためにした努力はきっと報われない。最愛の人に届かない想いは浜辺の砂に吸い込まれていった。と、すれば暗雲立ち込める天気も、気候をも誰かが操っている物にしかすぎなくて、自分の一部を成型するブロックの一部分でしかない事を表しているのかもしれない。幼少時代積んだ角張りの形跡は、きっと今も尚海の底に沈んでいるに違いない。好きだとか愛だとか語る前に、自分のことを多く理

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カラスが鳴くから

カラスが鳴くから

隣り合うことの許されない僕等は
どうしたら番になれることばかりを考えていて
その実、相手の気持ちを無視していることにも
気がつかない

温かな日差しが目立つようになった初夏に
鬱々とした男が独り街をうろついていくさまは
滑稽に映るか
それとも危険をはらんでいるように見えるのか
それは人々の心のみ知る所だ

今日もカラスが歌っている
不吉の貴公子はいつも電信柱の上にいて
僕等を憂鬱な気分へと誘う

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定義

定義

いつ君が来てもいいように
扉は開け放っておくよ
泥棒が入ってきてもわからないかもしれないけれど
盗るものなんて何もないから
ガッカリするだろうね

路上生活している老人が
わしも若ければ君のように
待つ人がいただろうにと
蜻蛉玉みたいな瞳から涙を零した
私は老人に千円札を渡して
これで美味しい物でも食べてくださいと言った

偽善も偽善
それでも私は
誰にでも生きる価値があるのだと言いたかった
素敵

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コロニー

コロニー

肌が触れ合うくらい近くにいるのに
心は一ミリも接近していないこと
それは、誰が悪いとか
誰が原因とかではなく
僕と君との距離が適正であるという証しみたいなものだ

蛙の声を聴きながら
川べりに座って口笛を吹いている
不思議と涙が流れてくるけれど
それは悲しみとは少し違う
人と人の間にある距離をしっかりと見極めて
二人の近づけない原因を探ってみる

口笛は宇宙に吸い込まれて
光と共に消えた
空にある

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涼暮月夜

涼暮月夜

ねえ。君の考えていることがわかるよ
また一歩終わりまで近づいていることを喜んでいるんだね
ねえ。僕の考えていることがわかるかな
実はね、毎日が始まることが零になる感覚があるんだよ
昨日の僕はもう、僕から離れた生命体で
一秒前ですら、頁が描き替えられた物語であるような気がしてる

雨を呼ぶ風たちが頬を撫でて
前に進むたびに勇気が湧いてくる
でもそんなのは嘘っぱちなんだ
だって一秒前の僕はもういないん

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キツツキ

キツツキ

暫しの別れださようなら
それを悠久のように思うこと無かれ
私がまた私に回帰するように
貴方との別れもまた
再会の為にあるだけなのだ

縁のある人と人は
再び会うことが決まっているように思う
それが良いことなのか悪い事なのかは
誰にも分らないけれど
それでも再会とは
美しい物とされることが多いように思う

啄木鳥が空けた空っぽの木脈に手を伸ばして
温かさを感じたのは
貴方の心が暖かいから
生きること

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