裏路地ドクソ@退廃的詩人

裏路地ドクソ@退廃的詩人

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偶像崇拝/散文詩

ロングヘア―の彼女は言った。この髪を伸ばすためにした努力はきっと報われない。最愛の人に届かない想いは浜辺の砂に吸い込まれていった。と、すれば暗雲立ち込める天気も…

カラスが鳴くから

隣り合うことの許されない僕等は どうしたら番になれることばかりを考えていて その実、相手の気持ちを無視していることにも 気がつかない 温かな日差しが目立つようにな…

定義

いつ君が来てもいいように 扉は開け放っておくよ 泥棒が入ってきてもわからないかもしれないけれど 盗るものなんて何もないから ガッカリするだろうね 路上生活している老…

コロニー

肌が触れ合うくらい近くにいるのに 心は一ミリも接近していないこと それは、誰が悪いとか 誰が原因とかではなく 僕と君との距離が適正であるという証しみたいなものだ 蛙…

涼暮月夜

ねえ。君の考えていることがわかるよ また一歩終わりまで近づいていることを喜んでいるんだね ねえ。僕の考えていることがわかるかな 実はね、毎日が始まることが零になる…

キツツキ

暫しの別れださようなら それを悠久のように思うこと無かれ 私がまた私に回帰するように 貴方との別れもまた 再会の為にあるだけなのだ 縁のある人と人は 再び会うことが…

オレンジジュース

今日は晴れているから 散歩なんてどうだろう 寝てばかりいたら身体に悪いよ 人の生き死にに興味なんて無いと 君は言う そんな言葉を吐く君が一番現世に執着していること …

ぬくもり

あなたの目ってビー玉みたいだね それって、実際には見えていないってことかな そういうことじゃなくて 綺麗に見えるってことだよ ラムネの入り口に浮かんでいるビー玉は …

トンビ

トンビが飛んでいる 当り前のように飛んでいる 当り前みたいに羽があって 当り前のように鳥であって 美しい生き物だという自覚も無く 優雅に空を泳いでいる 飛べたらどん…

ポエム

夢を追いかけていると 笑い声が聞こえてくることもあるでしょう 夢を追いかけていると 暗い隘路に迷い込むこともあるでしょう それでもあなたはどうか あなたのことを信じ…

厄介

愛という名の老廃物は 天国に行くまで私の掌を汚し続ける 素晴らしき世界の 素晴らしき物語に いつも描かれている愛情というのは そのほとんどが幻であると、 言い切れない…

スカー

薄暗い部屋の扉を押す 本日は快晴、僕の気分とは裏腹に 人はどうして生きるのだろう 辛い事ばかりが脳裏に浮かぶのに 楽しい想い出は影に隠れてしまう 月の裏側が見えない…

シンプル

世の中の淵を眺めている 果たして自分に価値があるのかと 淵から飛び降りるようにして 初めから何も存在していないような感覚を得れば 今、鬱屈としたこの気持ちも晴れるの…

望みごと

失った物を探すようにして 明日に希望を投げ捨てた 炎の中で燃え尽きた愛に 意味なんてあるんだろうか そう思った当日に 描いた絵を全てシュレッダーにかけた 燃えカスにな…

ラプソディ

無機質な唇から、有機物への流出 血液は宙を染めるように、勢いを以て死を繋ぐ チアノーゼを起こすような感情のルーレットが示すのは パンゲアに位置していた領主達の墓の…

顛末

一本、また一本と 指を折ってゆく 痛いなんて軽々しく口にはできない程の激痛だ 人が終わりを迎える時って どういう状況なんだろうね 僕はなんとなく天の国があり そこに…

偶像崇拝/散文詩

偶像崇拝/散文詩

ロングヘア―の彼女は言った。この髪を伸ばすためにした努力はきっと報われない。最愛の人に届かない想いは浜辺の砂に吸い込まれていった。と、すれば暗雲立ち込める天気も、気候をも誰かが操っている物にしかすぎなくて、自分の一部を成型するブロックの一部分でしかない事を表しているのかもしれない。幼少時代積んだ角張りの形跡は、きっと今も尚海の底に沈んでいるに違いない。好きだとか愛だとか語る前に、自分のことを多く理

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カラスが鳴くから

カラスが鳴くから

隣り合うことの許されない僕等は
どうしたら番になれることばかりを考えていて
その実、相手の気持ちを無視していることにも
気がつかない

温かな日差しが目立つようになった初夏に
鬱々とした男が独り街をうろついていくさまは
滑稽に映るか
それとも危険をはらんでいるように見えるのか
それは人々の心のみ知る所だ

今日もカラスが歌っている
不吉の貴公子はいつも電信柱の上にいて
僕等を憂鬱な気分へと誘う

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定義

定義

いつ君が来てもいいように
扉は開け放っておくよ
泥棒が入ってきてもわからないかもしれないけれど
盗るものなんて何もないから
ガッカリするだろうね

路上生活している老人が
わしも若ければ君のように
待つ人がいただろうにと
蜻蛉玉みたいな瞳から涙を零した
私は老人に千円札を渡して
これで美味しい物でも食べてくださいと言った

偽善も偽善
それでも私は
誰にでも生きる価値があるのだと言いたかった
素敵

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コロニー

コロニー

肌が触れ合うくらい近くにいるのに
心は一ミリも接近していないこと
それは、誰が悪いとか
誰が原因とかではなく
僕と君との距離が適正であるという証しみたいなものだ

蛙の声を聴きながら
川べりに座って口笛を吹いている
不思議と涙が流れてくるけれど
それは悲しみとは少し違う
人と人の間にある距離をしっかりと見極めて
二人の近づけない原因を探ってみる

口笛は宇宙に吸い込まれて
光と共に消えた
空にある

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涼暮月夜

涼暮月夜

ねえ。君の考えていることがわかるよ
また一歩終わりまで近づいていることを喜んでいるんだね
ねえ。僕の考えていることがわかるかな
実はね、毎日が始まることが零になる感覚があるんだよ
昨日の僕はもう、僕から離れた生命体で
一秒前ですら、頁が描き替えられた物語であるような気がしてる

雨を呼ぶ風たちが頬を撫でて
前に進むたびに勇気が湧いてくる
でもそんなのは嘘っぱちなんだ
だって一秒前の僕はもういないん

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キツツキ

キツツキ

暫しの別れださようなら
それを悠久のように思うこと無かれ
私がまた私に回帰するように
貴方との別れもまた
再会の為にあるだけなのだ

縁のある人と人は
再び会うことが決まっているように思う
それが良いことなのか悪い事なのかは
誰にも分らないけれど
それでも再会とは
美しい物とされることが多いように思う

啄木鳥が空けた空っぽの木脈に手を伸ばして
温かさを感じたのは
貴方の心が暖かいから
生きること

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オレンジジュース

オレンジジュース

今日は晴れているから
散歩なんてどうだろう
寝てばかりいたら身体に悪いよ

人の生き死にに興味なんて無いと
君は言う
そんな言葉を吐く君が一番現世に執着していること
僕は知っているよ

今を生きるのには、少し勇気がいる
その勇気を持ちえなかった人々で溢れているのは
神様最大の失敗だったんじゃないだろうか
もう、消えてしまいたい
そんな言葉で埋め尽くされたSNSを見る度に
自分も一緒だなんて
軽く納

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ぬくもり

ぬくもり

あなたの目ってビー玉みたいだね
それって、実際には見えていないってことかな
そういうことじゃなくて
綺麗に見えるってことだよ

ラムネの入り口に浮かんでいるビー玉は
事実上エー玉に劣る
完全な円形ではないからだろうか
それは人間にも言えると思う
殆どの人がビー玉として生涯を終えることになるから

夢が流星として降りしきる夜に
僕と君は祈るようにして願い事を唱えた
私のことを好きな人が
私のことを好

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トンビ

トンビ

トンビが飛んでいる
当り前のように飛んでいる
当り前みたいに羽があって
当り前のように鳥であって
美しい生き物だという自覚も無く
優雅に空を泳いでいる

飛べたらどんなにいいだろう
自由に行きたい場所へ行って
好きな人のところを周るだろうか
そしたら眠れない夜も
楽しい時間になるかもしれない

父と母は相変わらず私のことを愛している
私はそれに報いることができるだろうか
空を自由に飛べたなら
今す

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ポエム

ポエム

夢を追いかけていると
笑い声が聞こえてくることもあるでしょう
夢を追いかけていると
暗い隘路に迷い込むこともあるでしょう
それでもあなたはどうか
あなたのことを信じて下さい

有名になりたい
結構な事です
誰もに好かれたい
結構な事です

それに準じた努力はきっとあなたを裏切らない
でも、寒くて蹲ってしまうこともあると思います
そうした時は
独り、静かに詩を認めている青年を思い出してください
幸運

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厄介

厄介

愛という名の老廃物は
天国に行くまで私の掌を汚し続ける
素晴らしき世界の
素晴らしき物語に
いつも描かれている愛情というのは
そのほとんどが幻であると、
言い切れないのが厄介だ

人と人は
愛の為に生き
愛の為に死んでゆく
いつからだろうか
それが性欲以外のものになったのは
手を繋ぐだけで
心が通じ合ってしまうようになったのは
とても、とても厄介だ

クジラの歌が地上までは届かないように
私達の営

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スカー

スカー

薄暗い部屋の扉を押す
本日は快晴、僕の気分とは裏腹に
人はどうして生きるのだろう
辛い事ばかりが脳裏に浮かぶのに

楽しい想い出は影に隠れてしまう
月の裏側が見えないように
衛星は良くない想いだけを映写して
人間達を追い立てるのだ

大丈夫、大丈夫
僕が辛いときは、君が毒針を刺してくれる
大丈夫、大丈夫
君が辛いならば、その時は僕が毒針を刺してあげる
大丈夫、大丈夫

終わりの景色は美しいなんて誰

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シンプル

シンプル

世の中の淵を眺めている
果たして自分に価値があるのかと
淵から飛び降りるようにして
初めから何も存在していないような感覚を得れば
今、鬱屈としたこの気持ちも晴れるのだろうか

かつて大切な人から貰ったバケットハットは
風に舞っていった
自分の一部のように思っていた物でも
連れ添うことができない場所がある
そんなことを暗示するように

人の感情の縫い目に
ライターで火をつける
いとも簡単に燃え尽きた

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望みごと

望みごと

失った物を探すようにして
明日に希望を投げ捨てた
炎の中で燃え尽きた愛に
意味なんてあるんだろうか
そう思った当日に
描いた絵を全てシュレッダーにかけた
燃えカスになった努力は
あまりにあっけなく風に舞っていった

君のことを愛していただなんて
口が裂けても言うべきではない
もう燃え尽きたのだ
そんな時にも
スマホを見つめながら
君から連絡がないかなんて確認してしまう
それはきっと、僕という人間の

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ラプソディ

ラプソディ

無機質な唇から、有機物への流出
血液は宙を染めるように、勢いを以て死を繋ぐ
チアノーゼを起こすような感情のルーレットが示すのは
パンゲアに位置していた領主達の墓の方角であるべきだ
心と心を越える時に
お互いの体温を知ることになる刹那の夜に
切り裂かれた魚体から共食いの音がする

奇跡を待っていた聖職者たちは大きく声を上げ
死を肯定するための呪詛の雨を降らせる
雨はいつしか惑星を包み、墓を作るような

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顛末

顛末

一本、また一本と
指を折ってゆく
痛いなんて軽々しく口にはできない程の激痛だ

人が終わりを迎える時って
どういう状況なんだろうね
僕はなんとなく天の国があり
そこには仲の良かった家族や友人の姿があり
生前に最も執着していたことの
延長線上に終わりがあると思っている
都合の良い考え方だと笑われたこともあるが
終末が幸福でなければ、今まで耐えてきた
あらゆる顛末に納得がいかない

花を踏みながら歩い

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