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スターゲイザー

あの星になりたい
君は一等星を指さしてそう言った
じゃあ僕はその隣の小さな星にするよ
二人で顔を見合わせて笑い合った

小さく路上に咲く二輪草のように
このまま笑い合える時間が続くと良いね
僕等は小指を結びあって、いつまでも一緒にいようと約束をした
その願いは夜の風に冷やされて
まるで完璧な装いで凍ってみせた

50年かな
100年かも知れないね
あとどれだけ一緒にいれるかは
神のみぞ知る世界だけれど
凍った粒が降り注ぐさまを見て
僕等の決心は間違ったものではないと
二人、確信していた

大事な物は、いつも目に見えない
大事な人は、いつもそばに寄り添っている
大事な事柄は、いつも足元に転がっていて
それを見過ごさずに拾い上げることが
人生において大事になってくるという話を聞いた

あの星になりたい
君は一等星を指さしてそう言った
じゃあ僕はその隣の小さな星にするよ
二人で顔を見合わせて笑い合った

僕が小さな星を選んだのは
君に近いという理由もあるけれど
二人並んでいる時に
君の光が強く光っている時の方が
嬉しいから

夢を語り合いながら
今宵もシガーの香りを嗅いで
二人、指を結ぶことが恒例となった
今日も一緒にいられたね
明日も一緒にいられるね

そう思えることが
今の僕の勇気に繋がる
どうか、どうか
この関係がいつまでも
続きますようにと
星空に祈る

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