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ピクチャー

宝石になったあの子は幸せになれただろうか
誰かの指輪に添えられて
大事にしてもらっているところを想像する
石も記憶を持っていて
あの子の辛さが、持ち主にも伝わってしまうことが不安ではあるけれど
新しい主人に恵まれて
行動を共にして
不幸せでないならそれでいいと願う

あの子にとって大事な人になれなかった自分が悔しい
そんな自己中心的な気持ちが間違って届かないといい
僕が君の髪を結う時に
いつも違う髪形を試してみている時に
私で遊んでいるでしょうと
微笑んでくれたことを忘れない
あの時間は、今でも僕の宝物なんだ

どうしようもない心配事が襲ってくる深夜に
膝を抱えて泣き明かした
涙を流すことは精神上よろしいことだと教えてくれたあの子が
今はもう涙を流せない現状が
より、自分の情けなさを増幅させてゆく

悲しいだけでは渡ってゆけない世の中に産まれて
それなりに楽しいことも経験をして
今がある
君も宝石になって輝くかい
そうすれば大切にしてもらえるよ
そんな誘惑を受け入れられる程、強くない
笑いたいときに笑って
泣きたいときに泣いて
仕事に行って、ご飯を食べて、眠るだけの生活
それでも、自分の大切なことは自分で決めたいと
神様の優しさを突っぱねたこと
それ自体を後悔することは無かった、決して

僕にしか描けない色を塗っていく
あの子が描けなかった部分を捕捉しながら
一枚の絵を描くようにして
一日を終えられたら

その日は最高の一日になる
そう、信じている

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