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エンジェル

風のように去っていった
え、なにが
青春さ
青い春と書いて青春
僕等ももう若者気分ではいられないってこと
そうかなあ

胸を打つような太鼓の音
打ちあがる花火
縁日ですれ違う人々の汗の匂い
全てが懐かしいと感じる

僕は結果として歳をとってしまったけれど
あの頃に戻れるならば
いくら払っても構わないと思っている

そうかなあ、そうかなあ
今も青春の途中だと思うけど
それは君がまだ子供心を失っていないからだね
つまりは嘘吐きじゃないってこと
パレットに何も乗っていない状態のことを思い出す
いつから色を混ぜ合わせ始めただろう
今では見るも無残なありさまだ

それに比べて、君のパレットは綺麗だね
コバルトとセルリアンが上手に交じり合って
まるで空みたいだ

空は皆の憧れなんだよ
海から産まれて
空に帰っていくと
全員が全員、信じてる
僕の言う全員なんてたかが知れてるだろうけど
帰る場所を顕わせる君ってまるで神様みたいだね
君は少し照れたような表情で言った
神様は大げさだと思うよ、でもね
私は天使でいたいな
いたいというかもう既に天使なの
だから隣に座っている貴方もおのずと天使ということになるのよ
その理論はよくわからないなあ
そう言いながらも
僕も天使であれたら
どんなにいいだろうと想いを馳せた

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