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[丸分かり!] 検索連動型広告との出会い

こんにちは、tacox です。本日は、Google に興味を持つきっかけとなった検索連動型広告との出会いについて書いてみたいと思います。

コンサルティングファームすべてに振られる日々

前回の投稿「キャリア転換について」で触れたように、プログラムを書くことから逃げるため、転職先を探していました。大学に残って博士論文まで提出していれば、就職活動に時間をかけ、(可能性はかなり低かったと思いますが)大学の研究者かシンクタンクの研究員のポジションを得る夢がありました。そこで、第二新卒枠でシンクタンクのコサンルタント職を求めて、戦略系コンサルファームからシステム系まで何通も履歴書を送りました。プログラミングに適性がないと判断したにもかかわらず、システム系まで転職先候補としたのは、とにかくコンサル業界に入れば、コンサルタントから研究員(リサーチャーとも言います)へのパスも開けると考えたからです。ところが、研究員とコンサルタントは全く別の職能であり、志望動機を dive deep されると辻褄の合う応答ができず、さらにエンジニアとして実績もなく、自信がなかったので、面接では各社ことごとく見送りとなりました。

思いもかけぬ組織変更とウェブへの入り口

こうして、不本意ながらエンジニアとして就職したキャリアは、三年経ち、研究職への道へと二度と取り戻せない状態となりました。しかし、プログラムを書いたりバグを修正したりテストしたりする毎日をこれ以上続けるわけに行きませんでした。そう挫折と苦悩の毎日に、ちょうど 組織の reorg があり、新しいチームで、たまたま日立製作所のブランド戦略室の方達とユーザビリティやSEO、ログ解析の仕事をご一緒する機会が訪れました。その時のプロジェクトチームの方々が優秀で、この仕事なら自分にも合うのではないかと考えます。また、2005年当時は、ウェブの重要性が増し、個人がホームページを立ち上げるフェーズから、法人が企業の顔としてコーポレートサイトを立ち上げることが主流となりつつありました。企業の顔として機能しないといけないので、ホームページに毛の生えたようなコーポレートサイトでは、ブランド構築できるわけもなく、デザイン性、アクセシビリティ、ユーザビリティをコーポレートサイトに適用させる動きが活発でした。リニューアル案件もシステム構築と合わせて発注が多く、プログラムの仕事からウェブの仕事を少しずつするようになります。

コーポレートサイトはリニューアルしてもトラフィックがなければ誰にも目にしてらえません。http というインターネットの大海原でどのように存在に気づいてもらうのか?、ということを考えるようになります。また、ウェブでサイトを立ち上げるなら、コーポレートサイトでなく本丸のコマースサイトに携わりたいと考えるようなりました。そこで、ユーザビリティやログ解析の経験だけを頼りに、ウェブサイト構築とマーケティングを専門とするアイエムジェイという会社に転職します。コンサルファームへの転職活動で厳しい面接に、面接慣れしていたため、今までの転職活動の苦労が嘘かのように、すんなりと面接合格しました。こうして晴れてエンジニアの世界から抜け出すことになります。

アイエムジェイへの転職

アイエムジェイでは、ログ解析で可視化したデータに基づき、コマースサイトをどのようにリニューアルするべきかという提案を行ないます。隣のチームでは、ヤフー (当時は overture)や Google の検索連動型広告(Google AdWords)を売っていたり、SEO やクリエイティブや LP をセットで売っていたりしました。彼らの販売物の一つに、ログ解析やリニューアル提案を加え、顧客単価(Revenue per Account)を引き上げることが僕のポジションの役割でした。 検索連動型広告が非常に画期的だと考えたのは、広告にカテゴライズされながら広告の枠を超え、検索ユーザーが商品やサービスを proactive に探すモーメントを捉える素晴らしいマーケティング手法と直感的に気づいたからです。費用対効果が良いに決まっています。検索ユーザーがまさにその商品を探している案内を差し出すだけですから。

検索連動型広告のいろいろ

クリック課金というビジネスモデルも非常に画期的でした。もちろん、クリック課金モデルは、検索連動型広告で初めて採用されたわけでなく、それ以前からバナー広告で使われていました。クリック課金は、バナーも含め、ネット広告全体として、従来の4マス広告と比べて画期的だったのです。広告の料金体系は、よく不動産のそれにたとえられ、場所代を期間に応じて前払いするのが業界の慣習でした。「広く告げる」のが広告の役割であり、人通りが多く注目が集まる一等地は、掲載費用が高く、そうでない裏通りは割安になります。一方、クリック課金は、獲得したトラフィックの”おすそわけ”を意味します。掲載する・しないでは費用は発生しません。トラフィックを分けてもらって初めてお金を支払う成果報酬型と言えます。これは、インターネットのインタラクティブ性を利用した広告業界におけるイノベーションでした(インターネット広告にクリック課金モデルを採用する desicion は大変なものだったのではないかと想像します)。

加えて、trackable という合わせ技が入ります。それまでの広告は、「広く告げる」ことが広告の value proposition であり、たとえば、生茶のテレビコマーシャルで翌日、何人がコンピ二を訪れ生茶を買ってくれたか誰もわかりません。広告主から問われることもありません。しかし、検索連動型広告の場合、どの検索エンジンのどのキーワードで何個の商品がいつ売れたかまで赤裸々になります。ログ解析を行なっていた経験から、データが可視化されれば、改善の余地に終わりはなく、ネット広告のパフォーマンスは無限大であるかもしれないと直感しました(ネット広告がテレビ広告費を抜くのに、その後13年必要となります。電通が発表した2019年の日本の広告費調査で、ネット広告費が2兆1048億円となり、初めてテレビのそれを抜きました。ちなみに、新聞を抜いたのは、2009年でした)。

ロングテールという不思議な現象

検索連動型広告には、ロングテールという概念が存在することも非常に興味深かった記憶があります。人々の欲望は多様であり、検索ユーザーがどのようなキーワードで商品を検索するかは、無限にありました。そして、キーワードは一律同じ値付けでなく、オークション制だったため、他の広告主が気づかないテールのキーワードの方が、1クリックあたりの金額が大幅に安いカラクリがありました。誰も気づかない、しかし検索するユーザーは少なからず存在するような、キーワードをテールまで発掘することで、広告コストを下げ、ウェブサイト上での売上を引き上げることができることにエキサイティングしました。テールキーワードの欠点は、検索数が少ないことですが、販売機会の少ないテールのアイテムも足し合わせると売り上げインパクトがあることと同様、テールキーワードを足し合わせると、誰もが検索するようなヘッドのキーワードに負けないくらい、検索ボリュームを稼ぎ、全体パフォーマンスを最大化させるという現象が起こりました。ちょうど、Amazon のようなオンラインショッピングにおいて、ロングテールという概念が生まれて、話題になった時期でしたので、よく記憶しています。

さて、アイエムジェイでのマーケティングの仕事を1.5年ほど続けたあと、取引先である Google に転職します。次回は、「Google 面接と転職」と題して、なぜ Googleに着目したかや転職の経緯についてまとめたいと思いますので、よろしくお願いします。

コンテンツ
1. はじめに(キャリアの作り方連載します)
2. チャンスをつかむ必勝法とは
3. 検索連動型広告との出会い
4. Google 面接と転職
5. Google での英語の苦労と学習法
6. Google で学んだ仕事術
7. 目標管理ツール OKRs について
8. 35歳からの営業職への転身
9. GAFAはなぜ企業文化を大切にしているか?
9. Facebook への転職とモバイルシフト
10. Facebook は広告の強さとコマースへの進出!?
11. 決済とはマーケティングだ!
12. 変化とグロースの世界で生き抜く方法

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