見出し画像

[へぇ〜] GAFA はなぜ企業文化を大切にしているか?

こんにちは、tacox です。今日は、GAFA が共通に大切にしている企業文化について書いてみたいと思います。

ミッションと企業文化は会社の屋台骨

12年以上もの間、GAFA の中心で見てきた限り、彼らは、ミッションステートメントと、そのミッションを実現するための企業文化の構築と浸透が、非常に巧みです。Culture driven であることこそ GAFA の共通することです。インターネット業界は、日々新しいテクノロジーの台頭や競争環境に晒されています。組織が大きくなったとしても、創業当時のスタートアップ感覚、つまり、スピードと柔軟性が常に問われます。これは、おそらく GAFA に限った光景でないかもしれません。しかしながら、多くの日本企業や新興ベンチャーの場合、機動的な組織変更や方針変更は、上層部の気まぐれとして受け止められ、社員には置き去り感がないでしょうか。また、Re-organization 後、業務の引き継ぎや、細かい役割の建て付けや調整に、3ヶ月もかかり、一四半期丸ごと、それに使ってしまうことはないでしょうか。

これに対して、GAFA では各社員がダイナミックな状況変化の中で、機動的に動ける違いがあります。ミッションと企業文化が会社の屋台骨としてしっかり機能します。ビジネスの成長に合わせて、組織が拡大し、それを支える新しいタレントが続々と join したとしても、前職の background に関わらず、core の culuture がブレません。そもそも、採用プロセスが、企業価値観を反映させた企業文化をベースとして構築されます。また、GAFA のようなグローバルでビジネスを展開していると、チームが region にまたがったり、direct report がリモートにいて manage しなければいけなかったりするため、ミッションや企業文化をベースとした unity はここでも大切になります。

つまり、Culture Driven であることは、

・マーケットやビジネスの急激なグロースに合わせて人を採用しなければならない

・人の採用は社内外からのタレントベースあり、社内だけからの年功序列ベースでない

・ビジネスがグローバル規模のため、事業部門やチームが他国にまたがる

という状況に対して、organization の求心力を高めたり、維持したりするプロテクターの役割を果たします。会社のことを conmany (仲間)と言いますが、まさに同じカルチャーや価値観を共有する同志なのです。

企業文化の浸透のさせ方

企業文化やカルチャーというと、なんだかフワッとしています。日本企業では、長年その企業に務めることで身につく空気を指さないでしょうか。部門長のパーソナリティや価値観で形成される雰囲気をイメージしないでしょうか。先輩後輩や同僚の間で共有される不文律のようなものを想像する人もいるかもしれません。しかし、GAFA では、フワっとしないよう明文化されています。明文化されていないものもありますが、その場合、上層部からメッセージを発信する機械に繰り返し使われます。そのため社員間に浸透します。

企業文化やカルチャーとは、こういう服を着ようとか、挨拶はこうしようとか、こういう言葉づかいを使おうとか、そういうソフト面に関することではありません。愛社精神を醸成する訓戒じみたものでもありません。多くはリーダーシップや行動原理に関することで、ビジネスマンとして一流を目指す上で、汎用性の高い規律のようなものです。汎用性が高いということは、自分のマーケットバリューを上げるために、その規律を実践しようと努力します。

実例を見るのが早いと思いますので、Amazon の企業文化を象徴するリーダーシップ・プリンシプルを見ながら、Google や Facebook との共通点や違いにも触れて見たいと思います。

Customer Obsession

”リーダーはカスタマーを起点に考え行動します。カスタマーから信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合に注意を払いますが、何よりもカスタマーを中心に考えることにこだわります”

Customer Obsession は、地球上で最もお客様を大切にする企業であることをミッションとする Amazon が、最初に掲げるリーダーシップ・プリンシプルです。Amazon でお買い物して下さるカスタマーの信頼獲得とその維持に全力を注ぐことが、全社員に浸透しています。お客様を大切にすることは、至極当たり前のことですが、その当たり前のことも、時々、ついその視点が欠ける場合がないように、きちんと明文化されています。また、obsession (とり憑く)という強めの表現がされています。

Google にも同じようなものがあり、Google が掲げる10の事実では、「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」というものがあります。広告収益増大のため、ユーザー視点を忘れ、検索エンジンのトップページに広告を貼ったり、検索結果ページに関連性の低い広告を貼ったりしません。Faceook では、フェイスブック利用者のことを決して userとは表現しません。必ずpeople と呼ぶことを社員で共有しています。これは、Facebook が実名アカウントのコミュニティであり、一人一人顔のある血の通った人々が、Facebook のサービスを使って繋がっていることを肝に銘じるための工夫でした。

Bias for Action 

”ビジネスではスピードが重要です。多くの意思決定や行動はやり直すこともできるため、大がかりな分析や検討を必要としません。計算されたリスクをとることも大切です”

Bias for Action は、Amazon の9番目に出てくるリーダーシップ・プリンシプルです。ものごとを決め、行動を起こす場合、情報やデータの収集や分析に時間をかけ、誰しも慎重に進めたい衝動にかられます。しかしそれでは、タイミングを逸し、手を打つころにはその施策の有効性が薄れます。検討にエネルギーを使い過ぎてしまい、意味のない満足感でアクションすることを放置します。調べれば調べれるほど、判断に迷い、行動できないケースもあります。なので、やって見て失敗したらまたやめれば良い、というマインドセットで行動量を増やすのが、Bias for Action です。

簡単そうに見えて、軽いノリではできないのが Bias for Action です。「計算された」リスクの判断が非常に難しいと思います。また、計算できるのであれば、それは想定内のことでもはやリスクではなくなります。どの辺りまで計算したり試算したりするのか?なかなか勇気を持って行動していくのはハードルが高いです。個人的には、2 way door (双方向の意思決定)というコンセプトを教わり、少しだけスッキリしました。その決定が、一方通行(1 way door)かそうでないか(2 way door)、失敗しても後戻りできるか、それとも取り返しがつかないかで考えを巡らせます。

ビジネスではスピードが重要であることは、Facebook でも Google でも頻繁に強調されます。ただし、Amazon とはまた少しニュアンスが異なる点が興味深いです。Facebook では、Move Fast (素早く動け)、あるいは、Done is better than perfect (完璧よりも完了の方が良いこと)や Fortune favours the bolds(幸運は勇気を好む)と言ったりしました。Facebook の場合は、とにかくプロダクトをローンチし続けるため、まず世に出してから、利用者からのフィードバックをもらって、より良いものにしていくという考えが際立ちます。

Google にも 永遠のβ版という言い回しがあります。世に出しているものは正式版でなく、β版であり、feedback の余地を open にしています(Gmail はベータ版を2009年に卒業し、正式版になったことを補足しておきます)。Google の10の事実の一つに「遅いより速いい方がいい」という項目があります。検索結果を返す latency は、検索ボリューに非常にインパクト与えます。0.1秒だけ検索結果を返すのに遅れた場合、google を利用するユーザーは減ってしまいます。少しでも速くユーザーが探している検索結果を返す重要性を言っていますが、これは move fast や done is better than perfect のような社員の行動規範のメタファーにもなっています。

Bias for Action に関して、Google と Facebook 陣営が、どちらかというとエンジニア発想の用いられ方に対し、Amazon はビジネス的な視点のニュアンスが強いです。Facebook や Google のビジネスモデルは、B2B であり、プロダクトを利用する user や peope から課金しない一方で、Amazon のビジネスモデルは B2C であり、customer からお金を払っていただき物やサービスを届けます。この三社には、customer と user(people) の重みの違いがあります。これらの違いが、「スピードが大切」と一口に言っても、それぞれ異なるニュアンスを持つのだと思います。

Frugality

"私たちはより少ないリソースでより多くのことを実現します。倹約の精神は創意工夫、自立心、発明を育む源になります。スタッフの人数、予算、固定費は多ければよいというものではありません"

Frugality とは倹約のことです。Amazon に入社するまでこの単語を知りませんでした笑。「地球上で最もお客様を大切にする」という Amazon のミッションに直結する価値観だと思います。倹約の精神で予算や経費や自分のお財布と考え、本当にそれを使うことが顧客のためになるかという発想につながります。「さすが、Amazon!!」と思ったリーダーシップ・プリンシプルでした。しかし、よく読むと、「より少ないリソースで多くのことを実現」ということが書いてあり、英語では、Do more with less と表現されます。

倹約という意味に引っ張られると、お金の節約なのかと思いますが、もっと深い意味があり、時間やリソース全て含め、優先順位やインパクトを意識しましょうと理解できます。Facebook で用いられた Focus on the impact や Ruthless prioritizationとに近いのかなと思っています。Google も origin が検索技術であり、Google の10の事実で、「1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番」がというものがありますね(今では、自動運転やAIなど色々広げていますが)。

Hire and Develop the best 

”リーダーは全ての採用や昇進において、パフォーマンスの基準を引き上げます。優れた才能を持つ人材を見極め、組織全体のために進んで人材を活用します。リーダーはリーダーを育成し、コーチングに真剣に取り組みます。私たちは全てのメンバーのために新しい成長のメカニズム(例:Career Choice 参照)を創り出します”

Google では、Hire brighter people than yourself (自分より優秀な人を採用しなさい)という面接基準がありました。Develop が入っていないのが Google ならではで、優秀な人を採用したんだから、トレーニングや育成なんていらないでしょう、という暗黙知が当時の Goolge Japanにはありました。育成よりも採用にとても比重を置いていたので(現在は知りません)、特に新卒社員の方は苦労されたんじゃないかと思います。 

キリがないですが、そのほかの Amazon のリーダーシップ・プリンシプルには次のようなものがあり、Google や Facebook ではどう言っていたか参考までに掲載しておきます。Ownership(Amazon)は、Nothing here is someone else’s problem(Facebook)、Insist on the highest standards(Amazon)は、Be humble(Facebook)や Our journey just 1% finished(Facebook)、「すばらしい」では足りない(Google)となります。 Amazon には、リーダーシップ・プリンシプルにはないのですが、毎日は1日目(Still Day One)という言い回しもあります。これなんかは、先程の Our journey just 1% finished と似てますね。

本日は以上となります。次回は、Facebook への転職経緯や、Facebook がなぜ広告業界の二強になれたかなどを書いていきたいと思います。

コンテンツ
1. はじめに(キャリアの作り方連載します)
2. チャンスをつかむ必勝法とは
3. 検索連動型広告との出会い
4. Google 面接と転職
5. Google での英語の苦労と学習法
6. Google で学んだ仕事術
7. 目標管理ツール OKRs について
8. 35歳からの営業職への転身
9. GAFAはなぜ企業文化を大切にしているか?
9. Facebook への転職とモバイルシフト
10. Facebook は広告の強さとコマースへの進出!?
11. 決済とはマーケティングだ!
12. 変化とグロースの世界で生き抜く方法

もし記事を気に入っていただければ、サポートして下さると非常に嬉しいです。執筆活動の励みとさせて頂きます。