[なるほど!] 目標管理ツール OKRs について

こんにちは、tacox です。本日は、Google の透明性の高い企業文化を象徴する OKRs について書いてみたいと思います。

OKRs とは

OKRs とは四半期ごとに全社員がボトムアップで設定する目標管理ツールです。Facebook でも Amazon でも採用していないため、おそらく Google が始めた特有のやり方でないかと思います。全社員が四半期に一回、所属する事業部やチームのゴールに貢献するため、個人目標を3個から5個ほど書き上げ、1on1 で上司とレビューをします。「もっとストレッチできないか?」や「数が多いので優先順位を決めましょう」など上司と複数回やりとりを行い、コンセンサスが取れたら、イントラネットにアップロードします。1on1 で業務やプロジェクトの進捗について会話するときには、OKRs ベースで行うとスムーズでした。Quarter の終わりに、掲げた目標の進捗を評価するため、0から1.0のレンジで、まず自分で rating をします。四半期のパフォーマンスを自分で振り返るというわけです。

Input/Output

OKRs は、Objective and Key Results の頭文字をとったものです。Objective は達成すべき目標、Key Results は達成度を示す指標のことです。たとえば、「1-3月期において、Google AdWors の新規の広告売上を1,000万円作る」ことを Objective に設定すると、(1) SMB マーケットにおいて Google AdWords の見込み顧客のリードを精査して100社選定する、(2) 100社に対してコンタクトを取り、20件を商談化する、(3) 月額予算 100万円で10社から契約をとり、 Google AdWords のアカウントを activate させる、などの Key Results が出てきます。

書いていて気づいたのですが、Amazon では、input/output と言ったりします。output はコントロールできない最終結果であり、営業職で言えば、売上などが該当します。広告売上の場合、広告のパフォーマンスによって広告主から獲得できる広告予算は大きく変わり、パフォーマンスを左右する要因は、必ずしもコントーラブルでありません(もちろん、コントロールできる部分もありますが)。一方、input は、output を生み出すための手前のアクションです。input ゴールを作るのは、それが先行指標になり、かつ、output に比べ、コントローラブルであり目標設定としてより適切だからです。Input/Output が時系列かつ関数的な概念に対し、OKRs は構造的な概念と言えます。

OKRs を用いる 5つのメリット

OKRs に話を戻しましょう。冒頭の中に、OKRs を説明する中でいくつかのキーワードが出てきました。四半期ベース、ボトムアップ、3から5個、ストレッチ、rating、アップロードなどです。これら全て OKRs の特徴を表しています。

(1)社員をストレッチさせる仕組みです。Google では、「素晴らしいでは足りない」というフレーズがあり、Goal は高く設定することを推奨されます。OKRs の rating が全ての目標において1.0であれば、上司から褒めらる以上に、「ゴールが低かったのでは?」と指摘を受けます笑。これを四半期ベースのサイクルで回して、bar を上げて行くことが求められるので、なかなか大変です。僕の経験では、Facebook や Amazon においても、野心的なゴール設定を尊びます。Facebook では、オフィスに corporate propaganda がたくさん掲示されているのですが、たとえば高い目標を意識するように、Be humble や Our journey just 1% finished (Facebook)というフレーズがあります。また、Amazon でも、リーダーシッププリンシプルの中に、Insist on the highest standards がきちんと明記されています。

(2)社員の主体性を促す仕組みです。上司からこれをやりなさい、というトップダウン型でなく、チームや組織の OKRs に照らし合わせ、自分や自分のチームがどう貢献するか考える力を求めます。自分に自分で嘘をつけないので、OKRs に書いたことはコミットメントになり、自分で立てた目標を目指して走ります。モチベーションの源泉にもなります。

(3)企業カルチャーの透明性を高める仕組みです。イントラネットにアップロードすることで、全社員が他の社員やチームの OKRs を自由に閲覧することができました。会社全体で何が行われているかや KPI などを把握できるので、コミュニケーションを促します。Quarter が締まれば、まず自分で評価するという点も、透明性が高いと思います。これまた自分で自分に嘘はつけないので、掲げた目標に対して正直に raiting し、パフォーマンスが芳しくなかった時やプロジェクトが進まなかった時は、静かに反省し、次のゴール設定に反映させます。

(4)定量化させる仕組みです。メジャメントできるゴールを設定することで客観的な振り返りを行い、PDCAを回します。パフォーマンスを定量化できるので評価に曖昧さが残りません。このように仕事を定量化せるクセが身につきます。

(5)フォーカスとインパクトを意識させる仕組みです。OKRs の作成とレビューを繰り返すと、自分の経験とスキルセットでこなせる範囲というのも肌感覚で分かってきます。何が重要な取り組みで、インパクトのあることか踏まえ、限られたリソースの中で優先順位をつけた目標設定を自然と行うようになります。GAFA 的な価値観は、決して残業時間や業務量によって評価されることがなく、それとは真逆の成果主義でありアウトプット志向なので、OKRs を書くときに特にその点をよく注意しました。

Facebook でも同様、Focus on the impact であったり、Stay focused and keep shipping であったり、Ruthless prioritization であったり、色々表現を変えて、優先順位付けについて口すっぱく言われてきました。日本社会が100%完璧を目指す価値観とはかなり異なるので、入社すると戸惑う人も多いのではないかと思います。インパクトを特定しそこに bet する考えは、GAFAに共通する考えで、生産性を高める要因の一つだと思いますので、成長率に低迷する日本企業も見習うべき点があると考えます。

本日は以上となります。次回は、営業という仕事について、書いてみたいと思います。よろしくお願いします。

コンテンツ
1. はじめに(キャリアの作り方連載します)
2. チャンスをつかむ必勝法とは
3. 検索連動型広告との出会い
4. Google 面接と転職
5. Google での英語の苦労と学習法
6. Google で学んだ仕事術
7. 目標管理ツール OKRs について
8. 35歳からの営業職への転身
9. GAFAはなぜ企業文化を大切にしているか?
9. Facebook への転職とモバイルシフト
10. Facebook は広告の強さとコマースへの進出!?
11. 決済とはマーケティングだ!
12. 変化とグロースの世界で生き抜く方法

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