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両神山の岩稜に、日本創生の祖神様を祀る“ドラゴンロード”の姿を見た――奥秩父・両神山

両神山の岩稜に、日本創生の祖神様を祀る“ドラゴンロード”の姿を見た――奥秩父・両神山

奥秩父の北端、鋸歯状の岩稜が連なる険し山として知られる両神山。古くから山岳信仰の対象とされ、一般的には神犬信仰で知られるが、龍神信仰の史跡も残る。そして実際に登ってみると、そこはまるで山全体が龍の身体のように見えたのだった――。

美しい自然と険しく荒々しい岩稜が相対する両神山春先には山頂一帯にアカヤシオが咲き乱れ、秋には一面の紅葉が特に美しいと言われる――。山中に多くの自然林を残した御山が埼玉県

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なぜ縄文人はフォッサマグナ沿いに集まったのか?

なぜ縄文人はフォッサマグナ沿いに集まったのか?

結論:良質なヒスイ、黒曜石が採れたため、それらを求めて多くの人々が集まった1月4日は石の日。語呂合わせから誕生しました。2024年の石の日は、縄文時代、人々を魅了した石について取り上げます。

縄文人日本列島の先住民の一部で主に東日本に住んでいました。現在の日本人の多くは、朝鮮半島から西日本を中心にやってきた弥生人と東日本を中心に日本列島に住んでいた縄文人が交雑して誕生したと考えられています。

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神童

神童

私の職場は神社である。
お守りお札授与所の窓は、映画のスクリーンのように大きく開き、そのスクリーンの真ん中を参道が横に走っている。

その窓に対面する机で仕事をしているわけだが、仕事と言っても、祭りの前の静けさで、参道をゆく参拝者や、風に揺れる御神木や、そこに訪れる鳥やねこやたぬきやイタチの動くさまを借景にして、祭りの段取りをぼんやり考えている。大きなカレンダーの裏に手書きでタイムスケジュールを書

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極私的聖域の旅

極私的聖域の旅

東京から関西に引っ越したばかりのころ、奉職先の神社に、気の合う学生の巫女がいた。眼鏡をかけ、低めの声で話す彼女は、神社の近くにある小さな書店の娘で、小さい頃から本に親しんでいたせいか、独特の語彙を持っていた。「祈祷控え室」のことは「待合」と言っていたし、なぜ巫女の助勤をしているのか聞いたときには、「ここの土塀が好きなんですわ」と答えたし、書店を経営しているお母さんについて「あの人は近江商人やから」

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