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【連載小説】僕と彼女の宇宙旅行【連載中】

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彼女との初の宇宙旅行は”ミステリーツアー”。 どこに着くかわからない旅の始まり。 しかし、予想もしない展開が待っていた。
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#SF小説

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#1】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#1】

#1 宇宙をお散歩していたら...
 無重力は楽しい。何でもぷかぷかと浮かぶ。
 だから、宇宙を散歩するのは大好きだ。今日も少しだけ散歩しよう。

「宇宙は綺麗だなぁ。」

 宇宙では大声で独り言を言っても、外に声が漏れることはない。外には誰もいないし、何てったって真空だから。

「また言ってる。よくもまぁ、毎度毎度感動出来るわね。」

 外に声が漏れる事はないけど、隣にいる人には丸聞こえだ。

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#2】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#2】

#2 ミステリーツアーへの門出 そろそろ出発か。

 レイニーはもうとっくに準備を終え、あとは僕の準備が整えば出れる。
 出れると言っても宇宙船でのツアーでだるから、ガイド船やツアー参加者と一緒に宇宙船で移動する。
 通常のツアーと違うのが、「ミステリーツアー」だという事だ。

 「宇宙渡航パスポート」と「宇宙船」があれば、誰でも参加できるという”ケビウス”ならではのツアーだ。

 僕たちはその「

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#3】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#3】

#3 辿りついた星系で「ねぇ、マーク。宇宙旅行だとどこまで行ったことあるの?」
「ちっちゃい頃の記憶だけど、”アイシー”と”モンタ”かな。」
「知らないなー。」
「家族旅行で行ったんだけど、”アイシー”は凄く寒くて”極寒の避暑地”って呼ばれてた。」
「うわぁ、寒そう。冷凍人間になりそう。」
「アイシー博物館に、冷凍人間が展示されてたよ。」
「えっ、うそ。気持ちわるー。ってか、そんなに寒くても人って

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#4】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#4】

#4 未知との遭遇? 偶然見つけた宇宙船を追いかけている。

「ねぇ、どんな人が乗ってると思う?」

 レイニーは突拍子も無い質問をした。マークを困らせるのに長けている彼女に、やはり困った表情を見せるマーク。

「わからないよ。」
「予想よ、予想。どんなのでもいいから。」
「んー、おじさん。」
「おじさんって...。」
「だって、あの宇宙船。かなり旧型だから。あんなのに好き好んで乗るのって、おじさ

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#5】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#5】

#5 惑星『大気圏突入まであと2分。椅子に体を固定して下さい。』

 大気のある星への突入時の衝撃は凄いものだ。
 大気の質によっても違うが、ミステリーツアーで訪れる環境の良い星たちは、しっかりとした大気が存在する。そして、宇宙空間と惑星の境目に突入した。

ー ごごごごごおおおお ー

 鼓膜が破れそうなほどの轟音を鳴らしながら、星の中心に向けて降下する数分間。宇宙空間へ脱出する瞬間よりも緊張感

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#6】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#6】

#6 牢屋とヒゲの男「ちょっと!出してくれよ!何もしてないじゃないか!」

 惑星に着き、宇宙船を降りて街に向かう最中に拘束され拘留されてしまった。

 なぜだ。そんなはずないじゃないか。ツアーなんだから通行許可は得られるはずなのに。許可が得られないどころか、ツアーの存在さえ知らないそぶりだったがどういう事だ。

 安心安全なミステリーツアーは一転。本当に未知の体験をするはめになった。こんな未知の

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#27】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#27】

#27 ピケ マークは、一歩一歩しっかりと歩いた。

 あと9m。あと8m。あと7m。

 着実に進んでいる。向かいにいるレイニーの顔も近づいて来た。
 しかし、ここで遂に起こって欲しくない事が起こってしまった。

『逃がさないよ。』

 さっきまで光がぶつかりあっていたはずだが、今では空洞の中に響いていた轟音もなくなっていた。
 そして、真横に紫の魔女が迫っていた。

『一歩でも進んだら、どうな

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#28完】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#28完】

#28 別れ 何分経っただろうか。
 わずかながら空が白んでいて夜明けが近いのがわかった。

 僕たちは必死に駆け上がった。

 地震は収まらず、洞窟がいつ崩れるかわからない恐怖の中、走り続けた。
 それでも、全員が洞窟から地上へ上がって来られた。

 地上の光が見え、やっとだと思った時。魔女が声なのか音なのかわからないような怒号を鳴らしながら上がって来るのが見えた時には、もうすぐなのにこれまでか

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