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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#2】

#2 ミステリーツアーへの門出

 そろそろ出発か。

 レイニーはもうとっくに準備を終え、あとは僕の準備が整えば出れる。
 出れると言っても宇宙船でのツアーでだるから、ガイド船やツアー参加者と一緒に宇宙船で移動する。
 通常のツアーと違うのが、「ミステリーツアー」だという事だ。

 「宇宙渡航パスポート」と「宇宙船」があれば、誰でも参加できるという”ケビウス”ならではのツアーだ。

 僕たちはその「ミステリーツアー」の参加者として、旅の準備を整えた。さぁ、出発の時間だ。

――――――――――

『それでは、渡航確認作業が完了致しました。ツアー開始まで今しばらくお待ちください。』

 アナウンス通信は事務的ではあるけれど、刻一刻と迫るツアー開始へのカウントダウンのようで、気持ちが少しずつ昂るのがわかる。彼女もそうだろう。

「マーク!どこに着くのかな!?」
「わからないよ。未開拓地だから。でも、楽しみだね。」
 ”君と二人きりで旅行する事が”とは言わなかったが、内心それが一番だ。

「関係者や宇宙開発の人以外が立ち入る初めての星系かもしれないよね!」
「そうだね。稀にだけど、そういう事もあるみたいだし。」
「うわー楽しみ!」

 顔に”ワクワク”と書いてるかのような満面の笑みだ。”ニコ”というよりは”ニパァ~”って感じ。何か、表情見てるだけで面白い。

 10分ほどして、船内にBGMが流れ始めた。

「開始の合図かなぁ?」
「もうすぐっぽいね。」
「怖がってんじゃない?」
「そんな事ない。」
「ほんと~?」

 レイニーは僕をたびたびからかってくる。特に、楽しくてハイテンションになるといつもこうだ。そんな所がたまらなく愛らしい。直接は言ってないけど。

『ミステリーツアーへようこそ。これからあなたたちにとって、未知なる出会いが待っているかもしれません。』

 さきほどの事務的な声とは違い、声に抑揚をつけツアーへの盛り上がりを演出し始めた。少々芝居がかってはいるが、こういう演出は好きだ。

...って、レイニー。瞳孔が開いてるぞ。

「今からツアーガイドブックが配られます。旅の道中、そちらを読みながらお過ごしください。”6つの注意事項”は必ず目を通してくださいね!」

 急に現実的な”ツアーの説明”が始まった。こういうのも大事だよね。プリンターから冊子が出力されてくる。ガイドブックだな。
 それにしても、”6つの注意事項”とはどんものだろうか。後でしっかり読まなくちゃ。

『それでは、7日後の現時刻にまたここで会いましょう。』

 スタートを前に、宇宙船正面にワープホールが開く。エンジンが自動運転に切り替わる音と共に。

『いってらっしゃい!未知なる旅へ!』

【 1日目 AM9:00 】

つづく

T-Akagi

【 つづきはこちら(note内ページです) 】


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