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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#4】

#4 未知との遭遇?

 偶然見つけた宇宙船を追いかけている。

「ねぇ、どんな人が乗ってると思う?」

 レイニーは突拍子も無い質問をした。マークを困らせるのに長けている彼女に、やはり困った表情を見せるマーク。

「わからないよ。」
「予想よ、予想。どんなのでもいいから。」
「んー、おじさん。」
「おじさんって...。」
「だって、あの宇宙船。かなり旧型だから。あんなのに好き好んで乗るのって、おじさんじゃないのかな、と思って。」
「あー、あながち間違いじゃないかもね。聞いてみましょうか。」
「えっ!!!?」
「目の前の宇宙船にコンタクト!もしもーし!」

 彼女は勝手に通信を開始した。待ってくれー。

「こちら、マーク 03-34。船員のレイニーです。応答願います。」

 反応は無い。
 ちなみに《 マーク 03-34 》ってのは、ナンバープレートみたいなもの。

「こちら、マーク 03-34。船員のレイニーです。再度、応答願います。」

 もう一度、通信を送る。そうすると、少しだけ反応が返って来た。

『これ、こうでいいのかな。声、聞こえてるのかな。えーっと。』
「あのー、聞こえてますよー」
『わぁ!ほんとですか!?すいません、初めて通信したもので...。』

 初めて通信した、ってどんな嘘だよ。通信せずに宇宙空間に出たり渡航したり出来るわけないじゃないか、と思ったが、言葉を飲み込んだ。
 声の主に、レイニーは問いかけ続ける。

「ここで何してるんですかー?運送業の方?それとも、覆面警察?海賊じゃないよね...?」
『??? いや、その、ちょっと漂ってるだけですよ。』
「そっかそっか、わかった。もういいかな。」

 レイニーは明らかに飽き始めた。相手が何でもない存在だとわかったからだろう。

「レイニー、変わって。あの、すいません。僕たちちょっと旅行中なので、通りかかって、声掛けただけです。ご迷惑をお掛けしました。じゃあ、良い旅を。」
『え?!君たち旅行中!?じゃあ、ちょっと聞きたいことが!』

ー プツッ ー

 こっちから通信を切った。あっちはまだ何か話しをしていたが、触らぬ神に祟り無しというし、早くミステリーツアーに戻らないとね。

「なーんか、、、おじさんだったね。」

 声だけでおじさんと判断するのは、失礼ではなかろうか、と思わなくもないが、レイニーの言うとおりだ。恐らくおじさんと言われる年齢の方だろう。

「マーク、行こっか。」

 何はともあれ、ミステリーツアーはこれから。

 選択肢はどれにしようか、と選択画面に戻すと、

「あれ?」
「マーク?どうしたの?」
「決めたつもりないのに、行く星決まってしまってる...。」

『選択シークエンスが終了しました。』

「あちゃー。マークやっちゃったねぇ。」
「間違って押したつもりも無いんだけど...。」

 選ぶ楽しみがー...とガッカリしていたが、

「ま、それこそ、ミステリーじゃない。行こう行こう!」

 レイニーは前向きだ。どんな選択をしても前を向いている。そういうポジティブさに助けられる事は多い。今みたいにね。

『移動シークエンスを開始。13分後に着陸シークエンスに入ります。』

 アナウンスが到着を予告している。もうすぐ、未知の惑星に到着だ。

「さぁ、あとちょっとだね!」

つづく

T-Akagi

【 つづきはこちら(note内ページです) 】


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