濱松哲朗
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国立国会図書館(NDL)デジタルコレクションの個人送信追加分を好き勝手に眺めてみた。(002・全集&「現代歌人文庫」篇)
前回に引き続き、国立国会図書館(NDL)の「国立国会図書館デジタルコレクション」(以下「デジコレ」と略記)の図書館向け/個人送信向け対象資料に新規追加された約26万点の資料を覗いていきます。個人の関心範囲でピックアップしているので、その辺はあしからず。あと今回は短歌以外の話題も出ます。
前回のはこちら。
3.「タイトル」を「全集」で検索5824件がヒット。この検索だと『○○集』『○○作品集』『
国立国会図書館(NDL)デジタルコレクションの個人送信追加分を好き勝手に眺めてみた。(001・全歌集篇)
はじめに2024年4月30日(火)、国立国会図書館(NDL)のデジタル化済み資料を閲覧できるサービス「国立国会図書館デジタルコレクション」(以下「デジコレ」と略記)の図書館向け/個人送信向け対象資料が新たに約26万点追加されたというお知らせがありました。
これはかなり嬉しいニュースです。特に「国内刊行図書(昭和44(1969)年から平成7(1995)年までに整理されたものの一部)」の追加は得る
「塔」2020年8月号(月詠)
落下するペットボトルの速度にて夢より戻るわがたましひは
護られてゐるうちはまだ良かつたが木香薔薇で息ができない
辛うじて私はわたしを騙しつつ砂糖をまはし入れるカフェオレ
適切な言ひ訳として金曜はお持ち帰りのやきとりを買ふ
吊り革が額をつつく 面倒な奴と思はれ出してうれしい
(p.117 山下洋選)
「塔」2020年7月号(月詠)
止まつてはいけないといふ心意気あるいは思ひ込みの春先
謝つたところで既におしまひにされてゐて絞りかけのオレンジ
段々と嫌はれ慣れてゆくことをアボカドに刃をきれいに入れる
通過するたびに高輪ゲートウェイふくらんでゐるからつぽの影
桜から葉桜へ呼び変へるときかすかにゆれる春の水嵩
在りし日と云へばそのぶん遠のいて汽笛のくづれゆく定期船
(p.97 花山多佳子選)
Profile(2020.07.01.ver.)
名前と略歴濱松哲朗(はままつ てつろう、Tetsuro Hamamatsu)
1988(昭和63)年、東京都生まれ。茨城県出身。立命館大学文学部卒業。大学在学中の2010(平成22)年に「塔」入会、のちに「立命短歌」(第5次)へ参加。2014年、塔創刊60周年記念評論賞受賞。2015年、第3回現代短歌社賞次席。現在、「塔」所属、「京都ジャンクション」「穀物」同人、短歌史プロジェクト「Tri」メン
「塔」2020年6月号(月詠)
あなたも、と初めて知りぬ 派遣には適用外のテレワークなり
いくらでも潰せるやうに指の骨鳴らして午後のオフィスに戻る
この先の人身事故に停まりたる電車より見上げる春の雨
迷走の夜は呼吸も錆びついて拒絶の言葉すら疎まれる
ここにきてやうやく合つてきたやうな身体、わたしの終の住処よ
いつもより空気多めにすれ違ふ電車わづかに窓を開けつつ
(p.51 山下泉選)
「塔」2020年5月号(月詠)
帰宅即寝落ちした日の翌朝は一本釣りのやうに目覚める
仕方なく朝のコンビニ 肉まんは買つたそばから口につめ込む
肝心なところで今日もやらかして声と呼吸がこなごなになる
突き放し尽くしたあとの感情はマーマレードのごとき夕映
蛸の足嚙み切るやうな顔をして病院行きのバスへ乗り込む
もう誰も嫌ひたくない週末の水辺に立ち尽くすフラミンゴ
空いてゐたはずの隣にカーテンを短く閉ざす夜のさざなみ
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