マガジンのカバー画像

日記2

100
101〜
運営しているクリエイター

#読書感想文

世界の半分を怒らせる方法②

世界の半分を怒らせる方法②

 発熱で限界が来て失神したので二分割。内容は前回のほぼ続き。
 して、押井守のリアリストな面が一体何なのかというと、多分僕はこのリアリストの押井が好きなのだということだ。妄想を映像という形にする映画監督の押井よりもだ。
 あんだけ押井の作る映像は最高、素晴らしいとべた褒めしておいて今更それ?と自身でツッコミを行っているが、どちらも好きと断定したうえで、どちらかを選べと考えた上での選択だ。映像が好き

もっとみる
『平原の町』を読んだ

『平原の町』を読んだ

 『平原の町』を読み終えた。これで、コーマック・マッカーシーが手掛けるいわゆる「国境三部作」をすべて読み終えたことになる。前作の『越境』が人間の心根を探るような難しい物語であったので、最後はさらに難しい者仕上がるのだろうかと身構えていたが、そんなことはなくストレートなラブ・ストーリーに仕上がっていた。それ故に読みやすく一貫して楽しめるものであった。
 何度かマッカーシーの作品に付き合って朧気ながら

もっとみる
勉強とは

勉強とは

 なにも疑わずそのまま鵜呑みにしていた事柄が有る。それは勉強についてだ。勉強、歳を重ねれば重ねるほどに、勉強に対してありがたみを感じ、果てにおいては、また勉強がしたいなぁとか考えたりする。これが不思議でならない。
 学生時代の勉強といえば、かなりつまらないものだった。国語に数学、理科社会と、思い出すだけでやりたくないものばかりが浮かび上がってくるし、真面目に聞くつもりもさらさら無かったことを思い出

もっとみる
『入門 山頭火』について

『入門 山頭火』について

 自殺をしようと思ったことがある。つか、実行したことがある。今生きている生は虚偽であり、生きるに値しないと強く感じた際に生きている意味を感じることができなくなり実行した。記憶が正しければ、三十路の誕生日前後に実行した。何も成すことが出来ない三十路を迎えた心境はとても苦しかった。
 自らを殺すにしても苦しみを覚えずに終えたいと考えた僕は、焼酎を4リットル程を飲み干し、上下左右もわからない状態で野外で

もっとみる
『ザ ビデオ ゲーム ウィズ ノーネーム』を読んだ

『ザ ビデオ ゲーム ウィズ ノーネーム』を読んだ

 ゲームを語るには自分自身の人生を語る必要がある。それは何故か。ゲームを遊ぶことをゲーム体験と呼ぶことにほかならないからだ。
 体験とは自身の身を持ってなにか経験することを指す。勤務する前にその職場の仕事を体験するとか、外国で文化の違いを体験するとか、苦難を体験するとか。苦難という言葉は現実に即したもので使われることが多いが、それはゲームでも成り立つ。それは何故か。
 ゲームというのは、仮初ながら

もっとみる
『闇の精神史』を読んで候

『闇の精神史』を読んで候

 「私たちが手にしたのは空飛ぶ車ではなく、手のひらに収まる小型デバイスと百四十文字のプラットフォームだった」この言葉が鮮烈に頭に突き刺さり、脳に深々と食い込んでいった。今も頭蓋骨の中でこの言葉を反芻しているような状態だ。本当に未来はどうしてしまったというのだ。
 過去の人間たちが想像した未来というのは、空飛ぶクルマやテレポーテーションといった瞬間移動を可能にする未来的なガジェットが人々の生活を豊か

もっとみる
宿屋をめぐるは堂々堂々

宿屋をめぐるは堂々堂々

 例えばの話だ。こういった前置きから文章を始めると、このあとに続く文章がとんでもなく高尚で思慮が冴えわたる明晰な文章が続くのかと身構える事があると思うが、この場に関してはそうではない。今から続くのは、稚拙で幼稚で同仕様もない持論が連連と流れてゆくだけである。ぬらりぬらりと。
 それはさておき、例えばの話である。人は肉体と魂、この二つに分けられるという。それは、肉体のほうは器であり、魂のほうは中身と

もっとみる
『越境』は何を超えたのか

『越境』は何を超えたのか

 コーマック・マッカーシーの『越境』を読んだ。大変素晴らしい完成度で感嘆の声が漏れるばかりであった。しかし、この『越境』は以前に読んだマッカーシーのどの作品よりもかなり難解で、意図がつかみにくい場面に何度か出会った。はじめに読んだ『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』では、引用符を用いない会話の緊張感のことを書いた。『ブラッド・メリディアン』では、風景描写の美しさのことを書いた。『すべての美

もっとみる
酒を飲んでものを考えるには:『酒の穴 エクストラプレーン』を読んで

酒を飲んでものを考えるには:『酒の穴 エクストラプレーン』を読んで

 スーパーマーケットで酒を買う際、いつもの酒でいいのだろうか、と一瞬悩むことがある。何も考えずいつもの酒を選んでいる僕は選択の権利を放棄したつまらない人間なのではないのかとも。そんな酒一つで大げさかもしれないが、この選択のしなさをほったらかしにしていると、いつか訪れるであろう大きな選択の場面で何も考えず選択するのではないかと不安になったりする。おおげさ、大袈裟、大怪我。この小さき不安を積み重ねて大

もっとみる
『兵士の報酬』の感想を当時の感性で済ませるな

『兵士の報酬』の感想を当時の感性で済ませるな

なにか本を読んだあとに自身の考えをまとめ今こうやっているように文章を拵えたりしているのだが、他人の感想というのを全く目にすることがない。それもそのはずで、他人の感想により自身が考えた感想に何かしら影響を与えるのではないかと、一抹の不安を抱えている。僕の僕による僕のためだけに考え抜いた感想が、他人の秀逸な言葉遣いにより上塗りされてしまっては目も当てられない。極端な言い方をすると感想を凌辱されてい

もっとみる
タイトルは中身が簡潔にわかりやすく書いたほうが読まれると言われたがそんな気前の効いたことはできない話を書く。タイトルは「しんせかい」。

タイトルは中身が簡潔にわかりやすく書いたほうが読まれると言われたがそんな気前の効いたことはできない話を書く。タイトルは「しんせかい」。

タイトルのことは無視します。ムカつくから。
すっかり秋も深まり冷房もいらない気温になってきた。外出の機運も高まってきているし、ここいらでいっちょノーパンで外に出てみることにする。あぁ、今年も僕の下半身を守ってくれてありがとう下着。こういった日々の感謝を積もらせていくことで、人は極楽浄土への道を一歩、また一歩と踏みしめていくのだな。あぁ、ありがたいありがたい。南妙法蓮華でQ。
しかし、外

もっとみる
町田康の『告白』を読んだが感想が思い浮かばない

町田康の『告白』を読んだが感想が思い浮かばない

町田康の『告白』を読んだ。文庫版で総842頁。かなりの長編だが、飽きることなく通読し5日ほどで読めた。これだけの大作を投げ出すことなく短期間で読めたのだから、かなり集中・没頭していたと言っていいだろう。実際、かなり面白かったし今後な何かを書くと慣れば、大いに影響を受けることになるかもしれない。しかし、これだけ面白かったと思いながら何故か全く感想が思い浮かばない。何故だろうか、わからない。

もっとみる
獣たちの夜で踊るのか

獣たちの夜で踊るのか

押井守の話題に触れたので、押井守の話がしたい…。押井守の話をさせてくれ。
諸兄諸姉らはご存知かと思うが、押井は学生時代の青春を学生運動に捧げた人物であり、あまりにも熱を上げすぎたのか最終的にはどこかの山小屋に監禁された経験を持つ人物である。押井はその経験をもとに、手掛けた作品には、学生運動や革命のテイストを節々に感じる場面がある。大抵それはユーモアとして消費されることが多いのだが、パトレイ

もっとみる