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(17)女子高生が同級生に将棋の駒の動かし方を教えたら、半年後に近畿3位になった話

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※記憶に基づいた実話だが、個人情報特定を避けてストーリーに影響がないところは改変するかもしれない。

※正確には8ヶ月後である。

5ヶ月後なう

月が替わって1999年8月1日、第35回全国高校将棋選手権の2日目。

前日の最終戦(準々決勝)で反則した私は、団体戦メンバー3人が観光に行くのを横目に、大会の会場に残っていた。
ベスト8でも表彰式で「4位」の表彰状が渡されるという事情があった。

3位が2人、4位が4人。
この表彰状が礼拝で読み上げられたせいで、高校では私はベスト4だと思われていた。実はベスト8です。

~~おまけ話~~

(2)のBOX引っ越しのくだりでもわかるように将棋部の「序列」は低かったので、学校に持っていくのはめんどくさかったが表彰状という表彰状を全て学校の礼拝で読み上げてもらっていた。
(申し出ればどんな表彰状も読んでもらえる)
中学(系列校)1年のときに「女のくせに将棋部に入った」のがきっかけで(まあ理由は何でもよかったのだろう)、長らくクラス内で無視されたり、男子たちの何かの罰ゲームで私に告白するという仕打ちを受けたりしていた。
いじめではないが、精神的暴力行為だと思っている。あいつら許さぬ。
中3がピークで、高校に入るとこっちが慣れて無反応になったので面白くなくなったらしくて下火になっていたが、2年生で初めて「全国大会の表彰状」を読み上げられてからはぴたりと収まった。
全国大会は偉大である。

~~以上、おまけ話~~

会場でGさんに会った。藤枝明誠高校は団体戦が2日目に勝ち残っていて、Gさんも他の部員とともにやってきた。(なお優勝した)

私はGさんを見るやいなやすっ飛んでいって、ひたすら「ごめん」と言った。
Gさんはすごく驚いていたが「いいよいいよ」と言ってくれた。そのあとは仲良くしゃべっていた気がする。

女子個人戦の準決勝では私が負けた群馬県代表の子が、山口県代表に勝って決勝進出。
それを見てようやく「どうせ実力でも負けていたわ」と納得した。

反対側の山は順当に大本命の研修会員さんが勝ち上がり、そして優勝した。
1学年下の研修会員さんとは数年間は年賀状のやり取りをしていたが、ある年に宛先不明で返ってきてそのままになっている。

決勝戦は確か、男子個人戦の大盤解説会があったのだと思う。ということはK島S介さんの将棋を見ていたのか。(何も覚えていない)

あとはこんな写真が残っている。

画像1

(上…北海道、北海道、陣屋の近く。この3人とは初めて全国大会に行ったときに仲良くなり、どこの大会に行ってもきゃっきゃと遊んでいた。私の隣の子だけ年賀状のやり取りをしている)

(下…私以外は全員北海道代表の写真。私の後ろは北海道の顧問)

恐らく北海道代表の子が現像したのを郵送してくれたんだと思う。

ところで全国大会で本当に驚いたのは、大学に行かない高校生が大勢いることだ。
大学付属の私立高にいるとそのまま推薦で大学に行く人が大半で、受験して他大学に行く人すら異端児だったので、まさか大学に行かない人がこんなにいると思わなかった。
(後年、将棋業界で仕事を始めたときは、さらに大学進学率が低くてまた驚いた)
自分が賢いとかそういうことではなくて、むしろ自分周辺の世界というのは、日本の中でもほんの一部分だと知ることができた。
大富豪のローカルルールもそう。
しかもそれでも「将棋を指す」という共通項があるのだから、日本は(世界も)全くひとくくりにできない。
そのときは知らなかった言葉だけど「多様性」を実感した2日間だった。

画像2

(表彰状。ほら、「4位」でしょう。あと、でかい。右下は比較用の将棋世界)

※高校選手権ではなく、(13)に書いた「全国高校総合文化祭」名義の表彰状なので「第23回」になっています。

で、表彰式が終わる頃にA・C・E(と顧問)が戻ってきて、またあの代替バスをえんやこらと乗り、京都に戻った。
代替バスはぎゅうぎゅう詰めで、ぎゅうぎゅう押されている間にGさんが真横になり、これまた山形までしゃべってた。

Gさんはその後は1回か2回会ったような気がするけど、よく覚えていない。

というわけで、(いろんな意味で)最大の目標であった夏の高校選手権が終わった。

……が、なぜか同級生3人(+E)の特訓は続いたのであった。

(18へ続く)

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