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(27・終)女子高生が同級生に将棋の駒の動かし方を教えたら、半年後に近畿3位になった話

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※記憶に基づいた実話だが、個人情報特定を避けてストーリーに影響がないところは改変するかもしれない。

※正確には8ヶ月後である。

8ヶ月後なう

近畿大会、女子個人戦決勝。

1回も勝てていないJさんと対戦した私は、この決勝戦も敗れた。

ただ、これまでで一番拮抗した内容で、しょうもないうっかりもなく、すごく充実した時間だった。
棋力の都合で棋譜が残せず、棋譜がないからきれいな記憶のままで残っている。

最後は私が自玉に5手詰くらいの詰めろがかかっているのを気づかず、詰まされてしまった。うっかりではあるけど、それに気づかないのは実力と納得できた。

一応、前年の3位より1つ順位が上がって2位になった。
今でも思うが、近畿大会のエリアに福井県が入っていなければ2連覇してたんだけどな……。

Jさんは大学では将棋部に入らなかったようで、このときを最後に対局する機会がない。
いま指せば私のほうが強いはずだと、しょうもないプライドがうずく。

さて男子の個人戦、団体戦も全て終わり、表彰式である。

もちろん、女子個人戦も女子団体戦も表彰状をもらう。

が。

あいつらがいない。

大会の進行が予定より早く、観光に出かけたB・C・Eが戻っていなかった。

運営の人に「連絡はできないのか」と言われた。
私は携帯電話を持っていなくて、Bは持っていて(確かPHSだった)、でも公衆電話からかけるのか?みたいなことになってかけなかったんだと思う。

そのまま表彰式は始まっちゃったけど、女子団体戦の表彰は最後なので、自分たちが受け取る分には間に合ったはず。

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(私がもらったほうの表彰状。団体戦の表彰状や盾はBOXに置いてきたが、今はどうなっているのやら)

女子団体戦は準決勝で敗れた相手が優勝したので、Bが「反則勝ちって言って決勝に行ってたら優勝してたかもしれへんやん」とぶーぶー言ってた。

そうなったら私も決勝で勝てたかもしれないなとひそかに思ったが、それは黙っていた。

夕方に徳島から京都に高速バスで戻り、解散となりました。

* * * * * * * * * * * *

実話なので特にオチはない。教訓もない。

卒業後はBもCも将棋は指していない。美濃囲いは覚えているそうだ。
Aはなぜか職場の将棋部に出入りしてたまに指していたが(その将棋部に行ったことがある)、相変わらず王手飛車取りで飛車を逃げていたに違いない。
当時高校1年生だったEは2年と3年のときに女子個人戦で全国大会に出たが、王手飛車取りをかけられてこちらはうっかり飛車を逃げてしまい、玉を取られたそうだ。

M高校の2人のうち、弱かったほうの子は大学でも将棋を続け、何度か対戦した。そんなに勝ててなかったけど4年間楽しく続けたみたい。

将棋部はその後、予算200円を使わずに学園祭を終えた。
卒業後の4月には顧問が代わり、囲碁部がないのに囲碁が強い生徒が入学し、名称が「将棋囲碁部」に変わった。
普通は「囲碁将棋部」だが、新顧問が「将棋部が先にあったから」と言って「将棋」を先にしたらしい。高校ホームページによれば、20年後のいまも名称はそのままだ。

11月に学園祭があり、12月初めには期末試験があり、月末には大学のどの学部・学科に推薦されるかが決まった。
1月に形ばかりの大学の面接があり、学年末試験があって、2月・3月は授業がなく、3年生向けに「パワーアップセミナー」という各分野で活躍している高校OBの講演会や社会見学が開かれ、できるだけ参加した。
その期間に暇だからとタグ打ちを勉強してホームページを作ったのが後に棋士との交流につながり、現在の仕事をするきっかけになっている。

大学の面接試験のときには履歴書のような書類を提出した。
部活の成績は書いていいので将棋大会の結果を全部書いて、清書する担任が困っていた。
バレエ女子のBはバレエの実績もあって欄に書ききれず、「清書のときに担任(別のクラス)が『優勝』を優先したから近畿大会が削られた!」とまた怒ってた。

私は将棋の実績があるからか卒業式でクラス代表に選ばれ(押しつけられ)、袴を履いたら落武者になって凹みつつ卒業式に出席したが、同じクラスの男子が白いタキシードに白いシルクハットで現れ、注目がそちらに集まったので凌いだ。
浮いていたはずなのに、集合写真は落武者が最前列の真ん中にいる。

20年前のことで、表彰状と全国大会結果が載った将棋年鑑しか資料がなく、記憶に頼っているので事実と異なる部分があるかもしれない。そのあたりはご了承ください。

長らくお読みいただきましてありがとうございました。

おしまい。もう続かないよ。

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