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(10)女子高生が同級生に将棋の駒の動かし方を教えたら、半年後に近畿3位になった話

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※記憶に基づいた実話だが、個人情報特定を避けてストーリーに影響がないところは改変するかもしれない。

※正確には8ヶ月後である。

4ヶ月後なう

高校選手権、女子個人戦と団体戦のトーナメント表が送られてきた。

女子個人戦はたぶん81人がエントリー。(「たぶん」なのは、今回の執筆にあたり当時のトーナメント表を見て自分で数えたから)
私は1回戦シード。2回戦で当たる可能性が高い相手は……、あの藤枝明誠の子だった。面識はある、同じ3年生。

推定5級だったとは言え、私は高2の全国大会(高校選手権、高校新人戦、高校女子選抜)でいずれもベスト8だった。
さらに高校選手権では強豪校は団体戦に注力するため、個人戦の層は落ちる。

具体的に書くと、まず勝てない相手(有段者)がひとり、ちょっと強かったり、いい勝負であろう人は5人程度。あとは「学校のお金で全国大会に行けるぞ」と勧誘された人たちや、マイペースにのんびり将棋を指していた人。
私でも、全国ランキングなら10番以内に入っていたはずだ。

それが、初戦(ベスト64)で「ちょっと強い人」を引いてしまった。

こんなに大勢いるのに。

この人数で、これだけレベルが離れていると、本当にくじ運が大きい。
幸いにして有段者さんは決勝まで当たらない位置にいたが、この初戦だけはどうしようもない。

藤枝明誠は前年の女子団体戦で初優勝していて、この年も当然、団体戦でも全国出場している。(「この子、桃子ちゃんっていうの!」の友人=と言っても1学年下で、当初からタメ口だった=はこの年、団体戦メンバーに入っていた)

だから今回当たる相手のFさんは藤枝明誠の4番手なのだが、4番手でも強いものは強い。
団体戦メンバーの3番手争いがかなり熾烈だったと聞いていた。
(携帯電話を持っていない時代にどうやって聞いたのかは忘れた)

絶望しかなかった。

(きっと11へ)

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