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2023年3月の読書記録
読書にはいろんな種類があり、”どんな本を選ぶか”には、自分の心の成熟度や現在の自分が何を求めているかが反映されている。
ストーリーを味わう読書、言葉を味わう読書、世界観を味わう読書。
内、ストーリーと世界観は「体験を得る読書」で、言葉は「気づきを得る読書」。そして、読書の楽しみ方は自分の成長に応じてストーリーから世界観へ、読書から得られるものが体験から気づきへ、と変わっていき、自由にその間を行き来できるようになるな、と思う。
中学の頃の私は、圧倒的にストーリーを味わう読書派で、小説を好み、中でも現実と非現実の狭間のようなミステリーやスポーツ青春モノを求めた。その後、知識を求めてビジネス本や自己啓発本に走った。著者の思考によって生まれる「言葉」を味わっていた、と言ってもいいだろう。
そして、ここ数年はエッセイや小説に帰ってきた。
ストーリー的には何の変哲もない、日常を描写したような物語。だけど、作者ならではの表現によって生まれ、読み終わったときにいつの間にか自分の心が癒えているような世界観を、お守りのような言葉を、味わい、気づきを得るような読書を、自分も楽しめるようになった。
人が人に対して期待を抱き、”自分の望み通りになってほしい”と求めると、それが叶わなかったときに「裏切られた」と思ってしまう。傷ついてしまう。それによって”永遠”なんて意識しなくても”永遠”だったかもしれない絆が壊れてしまうことだってある。
一方で、本は自由であり、永遠だ。
本には期待したっていい。何を求めたっていい。
本に向けなければ人に向けていたかもしれない期待という名の刃を、本は静かに溶かしてくれる。
だから私は今日も本を開く。
本にしかない、自由と永遠と受容を求めて。
3月はこの16冊。
彩瀬まる『神様のケーキを頬ばるまで』
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カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
真面目さや一途さゆえに悩みや苦しみを抱えている主人公たちが小さな希望を見つけて少し前を向けるようになっていく物語たちの連作短編集。
「忘れるのも、忘れられるのも、悪いことばかりじゃないと思う。だってケンカ別れした人とも、もう一度新しく出会えるんだよ。お互いに変わって、もしかしたら前より仲良くなれるかも知れない」
「だからさ、もし売り場で大野さんを見つけてからかってくるような人がいたら、その人は、最後に別れた時からずっとおんなじ場所に立ってる、変化のない人だよ。そんな人の言葉に負けないで」
彩瀬まる『骨を彩る』
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カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
この小説は連作短編集で5つの作品が収録されている。どれも素敵だけど、私は圧倒的に最後の『やわらかい骨』が好きでした。
三浦しをん『きみはポラリス』
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カテゴリ:世界観を味わう、気づきを得る
ふと恋愛が読みたくなって、恋愛小説といえば、で思いつく未読作品として選んだ一冊。短編集でお気に入りがたくさんあるので、部門ごとに紹介すると、衝撃的で忘れられないのは『夜にあふれるもの』、好きだったのは『私たちがしたこと』、『森を歩く』、憧れる?のは『優雅な生活』、深くて素敵な言葉に溢れているのは『冬の一等星』。各作品、ちゃんと個性があってカラーがあって世界観があって、どんな話だったかをしっかり覚えておけるな、と思った。
原田マハ『独立記念日』(再読)
カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
凪良ゆう『わたしの美しい庭』(再読)
カテゴリ:言葉を味わう、世界観を味わう、気づきを得る
青山美智子『お探し物は図書室まで』
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カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
司書の小町さんの「何をお探し?」に対する訪問者の一言目の答えは"どういう本か"だけど、頭に浮かぶのは人生だったり仕事だったり。短編集で各話登場する人物は年齢も性別も立場も異なるけれど、彼らのどんな人生にも共感できる部分が必ずあって、ハッとさせられる言葉に出会えた一冊。
梨木香歩『西の魔女が死んだ』
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カテゴリ:言葉を味わう、世界観を味わう、体験を得る、気づきを得る
不朽の名著ということで存じてはいてずっと気になってはいたけれど、タイトルに「魔女」、帯に「魔女の手ほどき」、あらすじに「魔女修行」とあってファンタジー系なのかと尻込みして後回しにしてきた一冊。読み終えた今なら、文字通りではなくそれらが何を意味するのかわかるけれど、私が訳してはいけない気がする。
この物語は私が生まれる前からあって、私が生まれた年に文庫化されたもの。一昔前のもののように思えるけれど、時代関係なく生きていくためにほんとうに必要なことを教えてくれる一冊です。
小川糸『ツバキ文具店』
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カテゴリ:世界観を味わう、体験を得る
数年前に購入して積読行きしていた本。言葉というよりも、世界観を味わうことで心が温かくなるような物語。行ったことのない鎌倉の地がまぶたの裏に浮かぶと同時に、実在するツバキ文具店スポットを訪れたくなり『ツバキ文具店の鎌倉案内』も購入しました。『キラキラ共和国』も読み終えて、答え合わせをするように鎌倉巡りに行きたい。
主人公・ポッポちゃんが代筆を請け負うたびに、こだわり抜いて選ばれる紙と筆で文具の知識が増えます。なにより、代筆によって書かれた手紙がそのまんまこの本に印刷されていて味があって最高です。
三田紀房『インベスターZ』1〜21
カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
近所のTSUTAYAが閉店すると聞いて、父・妹・私で借りまくった中の1つ。
これを読む人は投資に興味があったり、そのための知識を得ることを目的にすると思うけど、投資に興味がなくても読んでほしい。投資的にみる企業や社会の見方は就活や起業(新規事業)にも役に立つし、ハッとさせられるような言葉が見つかったりもします。あまりに良すぎて社会人になった瞬間に全巻集めたいなと思ってます。
あだち充『MIX』1〜8(?)
カテゴリ:ストーリーを味わう、体験を得る
アニメで『タッチ』と『クロスゲーム』、漫画で『H2』、アプリでちょっとだけ『ラフ』と『みゆき』。あだち充作品が大好きで、やっぱり放って置けなかった『MIX』。TSUTAYAの閉店日に既刊までの全巻読破は間に合わなかったけど、やっぱりおもしろい。タッチ以来の明青学園が描かれているのもファン的にはアツいな〜〜〜と思う。
堀越耕平『僕のヒーローアカデミア』 32 ・ 33
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カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
ヒロアカはNetflix配信のアニメ派で、今のところ最新話まで全部見てます。
ここ最近、アニメの展開的に圧倒的に名言続きでハッとさせられることが多くて「この言葉たちを手元に残しておきたい…!!」と思ったので、その話が収録されている巻だけですが、ついにコミックを買ってしまいました。レディナガン、すき…。お茶子ちゃんの演説、最高…。
寺地はるな『今日のハチミツ、あしたの私』
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カテゴリ:言葉を味わう、気づきを得る
本屋で見かけるたびに気になっていて、『川のほとりに立つ者は』で寺地さんデビューしてから居ても立っても居られなくなって購入した一冊。読み始めたらとまらなくて、1日で読了。
とにかく名言だらけで付箋大量。蜜蜂の様子から得た気づきの部分も深い。
何かを失ったら、そのぶん隙間を埋めるかのようにより素晴らしい何かに出会える。一度失いはじめたらいつまで続くんだろうというくらい多くのものを失い続けることもあるけれど、きっと独りじゃない。見ていてくれる人はいるし、支えてくれるものがある。だけどそれに在りつけるかは自分次第、なのだと思う。
眞邊明人『もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』
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カテゴリ:言葉を味わう(知識)、気づきを得る
前作『もしも徳川家康が総理大臣になったら』がおもしろかった&母に頼まれたので迷わず購入。それ以上に、メタバース・究極のVR × 企画職女子 × 日本史 なんて我得でしかなくて、読むしかなかった。おかげさまで久々のビジネス本(正しくはエンタメ系ビジネス小説☺︎)。
分厚いし、いろんな要素が絡まっていて読み終わるのにかなり時間がかかったけど、後半になるにつれて加速していくおもしろさ。名言や気づきも多いしビジネス知識も増えるから、前半はグッと堪えつつ全人類に読んでほしい。作者・眞邊さんの才能に脱帽。
あと私は、どうする家康巡りに合わせて読んだのもよかったかもしれない。関ヶ原に行くときはより楽しめそうな気がする。
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標野凪『今宵は喫茶ドードーのキッチンで。』
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カテゴリ:言葉を味わう、世界観を味わう、気づきを得る
それぞれのお客さんの短編に、喫茶のマスター・そろりさんと、そろりさんの様子を御伽噺のように描写する天の声が織り混ぜられて進んでいく一冊。喫茶ドードーの世界観やたくさんの気づきある言葉が素敵で、すぐ続編を読みたくなって、発売したところの新刊を買いに行きました。
藤本ひとみ『探偵チームKZ事件ノート 君にキュンキュン♡は知っている』
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藤本ひとみ『KZU 君が残した贈り物』
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カテゴリ:ストーリーを味わう、気づきを得る
これまでKZの単行本シリーズの中では『数学者の夏』と『死にふさわしい罪』が好きだったけど、今回の『君が残した贈りもの』が断トツで好きになった。
高校生になった探偵チームKZのメンバーがちょくちょく出てきてくれるのも嬉しいけど、今回オリジナルの大木文武とその家族、それによって変わっていく上杉が本当に、いい。し、なにより登場人物たちが口にする言葉のひとつひとつが児童書出身と思えないくらい響く最高の贈り物。
『数学者の夏』は彼に貸したら読んでおもしろかった!って言ってたから、単行本KZは青い鳥文庫のKZを知らない人でも楽しめるようにできているのだろうけど、でもやっぱり知っていた方が何十倍も楽しめると思う。
ちなみに、この上の青い鳥KZの新刊『君のキュンキュン〜』と本作『君の残した贈りもの』は同じ登場人物・片山悠飛でリンクしてるんですが、苦しすぎて頭抱えたくなりましたね…(ぜひ読んでください)。
今月から、付箋読書と言葉ノートをはじめました。
とは言ってもかなり単純なことで、
好きだな、と思った言葉やハッとさせられた言葉に付箋を貼り、
付箋を貼った言葉を書き留める。ただそれだけです。
冒頭に語っておいてなんですが、ずっと本を読んできたのに言葉に目を光らせはじめたのは最近です。きっとこれまで取りこぼしてきたであろう言葉たちを今後は取りこぼさないようにしたいと思ってはじめました。
言葉ノートは、文具やレイアウトを模索中です。
今のところ、
本のタイトル/著者名
「言葉」
「言葉」
…
という形で本ごとにページを使い、タイトルはカラーで、言葉は黒で書き進めていますが、ただ羅列するだけだとパッと開いた時に見にくいな…と思いつつあるので、工夫して何度でも読み返したいと思えるようなノートにしていきたいなと思います。
ではまた4月の読書記録でお会いしましょう。
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