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2021年1月の記事一覧

新たな「階級闘争」が始まったのか?:読書録「ブロークン・ブリテンに聞け」

新たな「階級闘争」が始まったのか?:読書録「ブロークン・ブリテンに聞け」

・ブロークン・ブリテンに聞け
著者:ブレイディみかこ
出版:講談社

新自由主義の進展によって中間層が没落し、格差と分断が拡大。
その上位層と下位層(労働者層でもある)の新たな「階級闘争」が始まりつつある。

…イギリスで20年以上生活し、イギリスとEUを見てきたブレイディさんの「見立て」はそんなところなのかもしれません。
コロナ禍がその分断をより鮮明にしている中、各国経済が一気に悪化し、そこから

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世界中で「ひとつの危機」に直面し、思索を巡らせている…:読書録「新しい世界」

世界中で「ひとつの危機」に直面し、思索を巡らせている…:読書録「新しい世界」

・新しい世界 世界の賢人16人が語る未来
編:クーリエ・ジャポン
出版:講談社現代新書(Kindle版)

コロナ以降、「コロナの影響」「コロナ後の世界の見通し」等について、世界の著名な思想人16人にインタビューした記事をまとめたもの。
企画として「まとめて」ではなくて、都度都度地元メディアに語ったものをクーリエが取り上げていて、それを集めた作品。
僕はクーリエ・ジャポンを購読してるんですが、半分

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この「コロナ禍」でこそ問われるべきことかも:読書録「そろそろ左派は<経済>を語ろう」

この「コロナ禍」でこそ問われるべきことかも:読書録「そろそろ左派は<経済>を語ろう」

・そろそろ左派は<経済>を語ろう レフト3.0の政治経済学
著者:ブレイディみかこ、松尾匡、北田暁大

衣食足りて礼節を知る

マジでそうだと思うんですよね。
加えて「尊厳」。
「衣食が足りない」ことを認めるのは辛いことでもありますから。
ここへの意識が重要。
そう言う観点から言えば、
「<お金>のこともキッチリ手当てできない奴らに政権なんか任せられるかい」
って話なわけです。

ブレイディさんと

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日本は、まあ「緩い」ですわな:読書録「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」

日本は、まあ「緩い」ですわな:読書録「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」

・コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿
著者:栗田路子、ブラド夏樹、田口理穂 ほか
出版:光文社新書

イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランド

この7カ国のコロナ対策について、リーダー(国のトップ)の対応を中心に、現地に移住している記者たちがまとめた作品。
コロナ対策についてはまだ「on the way」ですし、それぞれのまとめ方も統一感がなくて比較しづら

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コロナにとらわれず、本質的なところを語り合う(もうちょっとコロナについて語ってほしかった気もしますがw):読書録「何とかならない時代の幸福論」

コロナにとらわれず、本質的なところを語り合う(もうちょっとコロナについて語ってほしかった気もしますがw):読書録「何とかならない時代の幸福論」

・何とかならない時代の幸福論
著者:ブレイディみかこ、鴻上尚史
出版:朝日新聞出版

3月にEテレで放映された対談に、秋に新たに行った対談を加えた作品。
もともとは鴻上さんの人生相談に興味を覚えていたブレイディさんからのご指名で対談が決まったようです。

後半の対談は、もちろん「コロナ禍」の渦中での対談になるんですが、「日本・イギリスの状況」を超えて(もちろん「事象」としてはコロナ禍でのアレコレが

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「陰謀論」からはかなり遠い作品:読書録「陰謀の日本近現代史」

「陰謀論」からはかなり遠い作品:読書録「陰謀の日本近現代史」

・陰謀の日本近現代史 戦争と大事件の「闇」を照らす
著者:保阪正康
出版:朝日新書

「へえ、保阪さんが<陰謀論>の本を書くなんてな〜」
と珍しく思って手に取ったんですが…

全然違ってましたw。

なんか、ここら辺のことを取り上げると、
「日米開戦はルーズベルトの謀略だった」
みたいな話になって、「日本はハメられた」「日本は悪くない」みたいな主張が出てきそうなんですが、本書では「ルーズベルトが日

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仰々しい題名ですが、言ってることは割と常識的と思うんですがね:読書録「叩かれるから今まで黙っておいた『世の中の真実』」

仰々しい題名ですが、言ってることは割と常識的と思うんですがね:読書録「叩かれるから今まで黙っておいた『世の中の真実』」

・叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」
著者:ひろゆき(西村博之)
出版:三笠書房

個人的な印象では西村博之さん(ひろゆき)については、
「頭がいいのは分かるんだけど、神経を逆撫でするような言いっぷりが、ちょっと…」
って感じがありますw。
「2ちゃんねる」時代の運営スタンスも、あんまり好きじゃないですかね(じゃあ、どうすれば…ってのもありますが)。

ただこのコロナ騒動の最中、コメン

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いや、バズりたいわけじゃないんですが(むしろ避けたい):読書録「バズる書き方」

いや、バズりたいわけじゃないんですが(むしろ避けたい):読書録「バズる書き方」

・バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる
著者:成毛眞
出版:SB新書(Kindle版)

僕のブログやnoteの閲覧はだいたい20名くらい。
ほぼほぼリアル知人+αって感じです。

僕としてはこれくらいがちょうど良くて、ときどき200名くらいに跳ね上がった時にはオドオドしちゃいます。(僕が書いたことで増えたわけじゃなくて、取り上げた題材(本や映画)に引っ張られて閲覧数が増えるだけなんですけ

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コロナ禍の中、家庭料理を見なおす:読書録「料理と利他」

コロナ禍の中、家庭料理を見なおす:読書録「料理と利他」

・料理と利他
著者:土井善晴、中島岳志
出版:ミシマ社

料理研究家の土井善晴さんと、政治学者の中島岳志さんが、コロナ禍の6月と8月にオンライン対談したイベントを書籍化したもの。
妻が「面白そう」と買ったのを、僕も読ませてもらいました。

「土井善晴」さん、「土井勝」さんの息子さんなんですね。
テレビはじめ、色々なメディアに出てらっしゃって有名なそうなんですが(当然、妻は知ってました)、僕は全然知

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論理的に考えればこうなる…けど、それが「正解」とも、「その通りになる」とも限らない:読書録「自分の頭で考える日本の論点」

論理的に考えればこうなる…けど、それが「正解」とも、「その通りになる」とも限らない:読書録「自分の頭で考える日本の論点」

・自分の頭で考える日本の論点
著者:出口治明
出版:幻冬舎新書(Kindle版)

年頭の読書用に購入した一冊。
成毛さん同様、出口さんも「本、出し過ぎ」ですがw、コレは年始に頭を整理するのに良さそうだったので。
内容は2018年の連続講座をベースに、コロナ等の最新トピックも加えて整理したもの。
取り上げた時事問題について、概要を整理した上で、「タテ・ヨコ・算数」の視点から出口さんが「論理的」に考

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再読なんですが、今回の方がずっと面白かったです。(時間もかかりましたがw):読書録「小説イタリア・ルネサンス1  ヴェネツィア」

再読なんですが、今回の方がずっと面白かったです。(時間もかかりましたがw):読書録「小説イタリア・ルネサンス1  ヴェネツィア」

・小説イタリア・ルネサンス1 ヴェネツィア
著者:塩野七生
出版:新潮文庫

正月休みに一気読みしようと思って4巻をまとめ買いしたんですが、結局読めたのは1巻だけw。
まあ犬と遊んだり、ちょこちょこ用事したり、犬と遊んだり…と色々ありまして。

じゃあ「面白くなかったか」というと、そんなことはなくて、かなり楽しめました。
本書は93年に出版された「緋色のヴェネツィア 聖マルコ殺人事件」の再販に

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