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推理小説好きの人向き…なのかなぁ?:読書録「ポケミス読者よ信ずるなかれ」

推理小説好きの人向き…なのかなぁ?:読書録「ポケミス読者よ信ずるなかれ」

・ポケミス読者よ信ずるなかれ
著者:ダン・マクドーマン 訳:田村義進
出版:ハヤカワミステリ(Kindle版)

<時は一九七六年、独立記念日の頃。舞台はニューヨーク州の人里離れた七千エーカーの敷地〝ウェスト・ハート〟。そこに佇むリゾートホテル風の豪壮な建造物に、何組もの裕福な家族たちが、会員制コミュニティを作って滞在していた。狩猟などの余暇を楽しむ彼らの元に、私立探偵アダム・マカニスが訪れる。>

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実に読後感も良い小説でした。:読書録「リカバリー・カバヒコ」

実に読後感も良い小説でした。:読書録「リカバリー・カバヒコ」

・リカバリー・カバヒコ
著者:青山美智子 ナレーター:大原さやか
出版:光文社(audible版)

自分の体が悪いところと同じ場所をなぜると、そこが直ると言う言い伝えがある公園のアニマルライドの「カバ」
「人呼んで、リカバリーカバヒコ。
…カバだけに」

公園近くにできた新しいマンションの住人がその都市伝説を聞き、自分の体の悪いところをなぜ、その回復する過程を描いた連作短編小説です。
体の悪いと

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これはなかなか良い小説だと思いますよ:読書録「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」

これはなかなか良い小説だと思いますよ:読書録「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」

・ようこそ、ヒュナム洞書店へ
著者:ファン・ボルム 訳:牧野美加
出版:集英社

少し前からちょっと気になってたんですけども、ようやく購入、読了しました。
…と思ってたら、本屋大賞の翻訳部門で1位になってたんですね。
読み終えた後に知りました。

まぁ、本当に良い小説だと思います。
仕事と人生に曲り角を感じた女性が独立系の書店を開店するって言う話なんですけど、基本的には「お仕事小説」。
経営する独

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生成AIの話よりも発想法の方が面白い。:読書力「「超」創造法」

生成AIの話よりも発想法の方が面白い。:読書力「「超」創造法」

・「超」創造法 生成系AIで知的活動はどう変わる?
著者:野口悠紀雄 ナレーター:中村友紀
出版:幻冬舎新書(audible版)

野口悠紀雄さんの生成AI及びそれを活用した創造法に関する本
少し前に出版されてるものですが、Audibleにあるのも友人に教えてもらい、早速聞いてみました(甲谷くん、ありがとう)。

chatGPTとかの生成AIに関する知識は2022年の知識なので、まぁ少し古くなって

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ミステリーじゃないのねw。:読書録「ラブカは静かに弓を持つ」

ミステリーじゃないのねw。:読書録「ラブカは静かに弓を持つ」

・ラブカは静かに弓を持つ
著者:安檀美緒 ナレーター:斉藤壮馬、伊東健人 他
出版:集英社(audible版)

発表されたときに、
「面白そうだな」
とちょっと思ったんですが、そのまま忘れちゃって…。
audibleにあるのを見つけて、DLしました。

橘は少年時代の誘拐事件未遂の記憶から逃れられずにいる。
事件の影響でチェロを弾くのをやめ、今は著作権管理団体に勤務する橘に、著作権法違反の証拠の

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いやぁ、そういう見方、確かにな〜:読書録「ミライの源氏物語」

いやぁ、そういう見方、確かにな〜:読書録「ミライの源氏物語」

・ミライの源氏物語
著者:山崎ナオコーラ
出版:淡交社

大河ドラマ(光る君へ)の便乗本
…じゃないかな?出版は23年3月だし。
その頃には決まってたから、「狙った」って可能性もなきにしも…?
どっちでもいいんですが、僕が大河の「副読本」として読んだのは確かですw。

「千年も前の作品なんだし、そのころ書いた人/読んだ人の考え方や常識は今と違う。それを今の視点から批判するのは無意味」
…ってのは当

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連作短編ミステリーは大好物:読書録「ヒポクラテスの悔恨」

連作短編ミステリーは大好物:読書録「ヒポクラテスの悔恨」

・ヒポクラテスの悔恨
著者:中山七里
出版:祥伝社文庫

法医学者・光崎教授シリーズ第4作。
前作は「パンデミック」をテーマにした長編仕立ての作品でしたが、本作は連作短編集。
僕はやっぱり好きなんですよね、ミステリーの連作短編。
堪能させてもらいました。

テレビ番組に出演した光崎教授は
「遺体解剖に必要なのはカネ」
と言い切り、視聴者の反感を買う。
番組HPに
「1人だけ殺す。絶対に自然死にしか

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「乱歩」の世界が楽しめます:読書録「乱歩殺人事件ー「悪霊」ふたたび」

「乱歩」の世界が楽しめます:読書録「乱歩殺人事件ー「悪霊」ふたたび」

・乱歩殺人事件ー「悪霊」ふたたび
著者:芦辺拓 江戸川乱歩
出版:KADOKAWA(Kindle版)

江戸川乱歩の未完の長編「悪霊」を、パスティーシュものの名手・芦辺拓が完成させた作品。
「未完の小説」というと、作者が死去して…みたいなケースが多いんでしょうが、「悪霊」は1933年(昭和8年)、乱歩が40歳くらいの時に発表され、中断されたままになった作品です。
明智小五郎ものでは人気絶頂…だけど

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僕はいったい何を読まされてるんだろう…:読書録「ありえない仕事術 正しい“正義“の使い方」

僕はいったい何を読まされてるんだろう…:読書録「ありえない仕事術 正しい“正義“の使い方」

・ありえない仕事術 正しい“正義”の使い方
著者:上出遼平
出版:徳間書店

ドキュメンタリー「ハイパーハードボイルドグルメリポート」で有名なプロデューサー上出遼平さんの<仕事術>本。
僕自身は存じ上げてはいたものの、「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は見てないし、著作も読んでいないんですが、ネットで評判になってたので(星野源さんも褒めてた)、読んでみました。
「この歳で<仕事術>もねぇ〜」

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これは小説なのか、エッセイなのか…:読書録「水 本の小説」

これは小説なのか、エッセイなのか…:読書録「水 本の小説」

・水 本の小説
著者:北村薫
出版:新潮社

北村薫さんはものすごく好きな小説家なんですけど、あまり電子書籍はお好きじゃないようで、作品のほとんどがリアル本だけでの出版になっています。
なかなか本の整理が大変になってきて、できる限り本は持たないようにとここ数年はしているので、なんとなく北村薫さんの作品は買わなくなってしまっていました。
まぁ、ミステリーについては家族も読むので、引き続き買ってるんで

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文章でコンテンポラリーバレエを描く挑戦:読書録「spring」

文章でコンテンポラリーバレエを描く挑戦:読書録「spring」

・spring
著者:恩田陸
出版:筑摩書房

「蜜蜂と遠雷」でピアノ演奏の高みを文章で描いた作者が、バレエ、しかもコンテンポラリーを中心に描いた意欲作品。
クラシックならまだしも、コンテンポラリーの創作バレエを文章でどう表現すれば…ってところを力技で押し切ってる一作ですw。
日曜日の午後、一人(と一匹)で留守番する時間があって、午後いっぱいで読み上げてしまいました。
面白かったです。

構成とし

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組織として活用できるようになるかどうか、かな?:読書録「頭がいい人のChatGPT & Copilotの使い方」

組織として活用できるようになるかどうか、かな?:読書録「頭がいい人のChatGPT & Copilotの使い方」

・頭がいい人のChatGPT & Copilotの使い方
著者:橋本大也
出版:かんき出版(Kindle版)

生成AI(ChatGPT)については、少し前に読んだ「面倒なことはchatGPTにやらせよう」で概要は理解できたつもりだったので、
GPT5あたりが出るか、Appleが実装するまでは特に踏み込まなくていいかな
…と思ってたんですが、先日飲んで帰る途中で、勢いでAmazonをポチッとしてし

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結構前の作品なのね:読書録「星のダンスを見においで」

結構前の作品なのね:読書録「星のダンスを見においで」

・星のダンスを見においで 地球戦闘編
・星のダンスを見においで 宇宙海賊編
著者:笹本祐一 ナレーター:下山吉光、いけながあいみ
出版:創元SF文庫(audible 版)

「ARIEL」で有名な笹本祐一さんのスペースオペラ。
…って、僕は「ARIEL」しか読んでないんですけど(しかも1、2巻くらい)。
ちょっと硬めの本が続いたので、頭空っぽにしたくて、目についたコレをDLしました。
まあ、その目

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功罪半ばする…けど、日本じゃ嫌われすぎてる気もするかな:読書録「テクノ・リバタリアン」

功罪半ばする…けど、日本じゃ嫌われすぎてる気もするかな:読書録「テクノ・リバタリアン」

・テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想
著者:橘玲
出版:文春新書(Kindle版)

世界を変える<唯一の>思想
…なのかどうかは分かりませんが、「世界を変える」ことに強い意志を持った考え方だとは思います。
ま、見方を変えるとそれ以外の思想が「保守的」「既存権益確保的」になってる…ってことかもしれませんがw。(日本のリベラルとかねぇ)

<リバタリアンは「自由原理主義者」のことで、道徳的

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