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コロナ禍の中、家庭料理を見なおす:読書録「料理と利他」

・料理と利他
著者:土井善晴、中島岳志
出版:ミシマ社

料理研究家の土井善晴さんと、政治学者の中島岳志さんが、コロナ禍の6月と8月にオンライン対談したイベントを書籍化したもの。
妻が「面白そう」と買ったのを、僕も読ませてもらいました。

「土井善晴」さん、「土井勝」さんの息子さんなんですね。
テレビはじめ、色々なメディアに出てらっしゃって有名なそうなんですが(当然、妻は知ってました)、僕は全然知りませんでした。
土井勝さんはもちろん知ってるんですけどw。

対談の内容としては「コロナ禍」のなかで、人間と自然のあり方を考えなおす視点として、「家庭料理」や「民藝」を取り上げる…って感じでしょうか。
「家庭料理」といっても、「和食の」です。
レシピのような「設計図」をベースに料理を作り上げる(クリエイトする)西洋料理ではなくて、素材を大切にしながら、天気や気分を重視して、「ええ加減」に作る(時には食べる人が手を加える)和食のあり方を、哲学的に見なおすって感じです。(実際の「家庭料理」では西洋料理でもレシピありき…ではないようですが)

土井さんって(こういったら失礼かもしれませんが)すごく色んなことを勉強されてるんですね。
こういう感じで「料理」のことを言語化されるのに、ちょっと驚かされました。

個人的には、「料理をする」ということを重視するスタンスは、人によっては「呪い」のようになって「圧」を感じるんじゃないかなぁ、なんてことも考えちゃったんですが、妻の意見は、
「人によるんじゃない?」
少なくとも、自分で料理を用意する妻にとっては土井さんの意見は「楽になる」そうです。
まあ、「ええ加減」でいいし、疲れてたら「味噌汁だけで良い」っておっしゃってますしね。
あ、「だからもっと料理に関与しろ」って無言の圧力?w

新型コロナウイルス対策の中で飲食業が苦境に立たされるなかで、「食」のあり方も考えなおすことを求められているのかもしれません。
そういう流れの中で「家庭料理」ってのも考えなおされるのかなぁ。
その場合は「中食」の部分に揺り戻しが来る感じ?(もともと「外食」にはハレの面があるので)
その読みは僕にはできませんが、こういう考え方は面白いなと思いながら読ませてもらいました。

「混ぜる」と「和える」とか。

なるほどねぇ。

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