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世界中で「ひとつの危機」に直面し、思索を巡らせている…:読書録「新しい世界」

・新しい世界 世界の賢人16人が語る未来
編:クーリエ・ジャポン
出版:講談社現代新書(Kindle版)


コロナ以降、「コロナの影響」「コロナ後の世界の見通し」等について、世界の著名な思想人16人にインタビューした記事をまとめたもの。
企画として「まとめて」ではなくて、都度都度地元メディアに語ったものをクーリエが取り上げていて、それを集めた作品。
僕はクーリエ・ジャポンを購読してるんですが、半分くらいは読んでたかな?
まあ、でもこのタイミング(北半球が冬季に入って、感染が再び猛威をふるっている)で読むのは、頭の整理としては良かったですよ。

記事そのものは第一派(20年の六月、七月くらいまでかな)に発表されたものが多いので、「情報」としては古いとも言えるんですが、「思索」としてはそれほど変わってくる感じもしないかなぁ、と。
ワクチン開発が想定よりも早かったので、社会を変革するインパクトは想定されたのよりも小さくなるかもしれませんが、それも今後どうなるか、分かりませんしね。

16人の名前と、記事の発表された時期は以下の通りです。

ユヴァル・ノア・ハラリ(歴史学者、哲学者)20年4月
エマニュエル・トッド(歴史人口学者、家族人類学者)20年5月
ジャレド・ダイアモンド(生理学者、進化生物学者、生物地理学者)20年9月
フランシス・フクヤマ(政治学者)20年4月
ジョゼフ・スティグリッツ(経済学者)20年4月
ナシーム・ニコラス・タレブ(投資家、著述家)20年10月
エフゲニー・モロゾフ(ジャーナリスト、テクノロジー評論家)20年5月
ナオミ・クライン(ジャーナリスト、作家、活動家)20年8月
ダニエル・コーエン(経済学者)時期不明
トマ・ピケティ(経済学者)19年11月*新書に関するインタビュー
エステル・デュフロ(経済学者)20年5月
マルクス・ガブリエル(哲学者)20年5月
マイケル・サンデル(政治哲学者)20年11月
スラヴォイ・ジジェク(哲学者、精神分析家)20年6月
ボリス・シリュルニク(精神科医)20年4月
アラン・ド・ボドン(哲学者、作家)20年4月


新型コロナへの影響は欧米の方が(今のところは)甚大ですからね。
それだけ「社会」や「政治」「経済」が変わっていく可能性は高いかもしれません。
相対的に被害の小さい「日本」の場合、それだけインパクトが少なくて、結果として世界全体の変革に遅れをとる可能性も…。
それは「思想」の面でも…ってのが、本書を読んでの感想でもあるかな?
もちろん、被害は少ないに越したことはないんですが…。


<つまり、私たちには「絞首刑の希望」が必要なのです。人間は皆、最終的には絞首台へと向かいます。
けれどそこに至るまでの道のりには、素敵な果樹園があるかもしれない。かわいらしい子供が幸せそうに美しいアヒルの絵を描いているかもしれない。たわわになったざくろの実が食べられるかもしれない。
眼前に広がる青い海を望むこともできるでしょう。こうしたことは、このコロナ危機の時代にあっても可能です。世界は、希望に満ちた美しい物にあふれています。今後はいままで以上に、絶望と隣り合わせのささやかな希望が私たちの人生に生きる価値を与えてくれるでしょう。>(アラン・ド・ボトン)


この感覚は、自粛生活が続く中でなんとなく共感を覚えるものはあります。
でももうちょい前向きな気持ちにもなりたいもんだな、ともw。
何やらおかしな感じになってきてた政治・経済・社会が、この機に少しでも真っ当な方向性を取り戻していくこともあり得るんじゃないか。
そういう期待も持ちたいし、そうあって欲しいとも思ってます。
(「清貧」じゃ格差は埋まらないし、弱者も救えませんから)


まあ、連日の報道を見てると、ちょっと気持ちが折れそうになることもありますけどねw。


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