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読書日記

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自分が読んだ本の感想記録をまとめました
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#小説

【読書日記】最近読んで面白かった本をまとめて紹介する

【読書日記】最近読んで面白かった本をまとめて紹介する

もう2024年も半分に到達しようという今日、気づけばこのnoteを2024年になってから一度も更新していないことに気づく。

読書感想記録を書きたいときに書く目的で開設したnoteだったけれど、最近更新していなかったのは本を読んでいないわけではなく、むしろたくさん読んでいてアウトプットが追いついていないから。「この本面白かったからnoteに感想書くぞ!」と思っている間に、次から次へとそういう本が溜

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【読書日記】「ショーシャンクの空に」原作『刑務所のリタ・ヘイワース』を読んで

【読書日記】「ショーシャンクの空に」原作『刑務所のリタ・ヘイワース』を読んで

スティーヴン・キングの『ゴールデン・ボーイ -恐怖の四季 春夏編』を読んだ。春夏秋冬それぞれの中編小説からなる作品集『恐怖の四季』の春夏編にあたる文庫で、秋冬編は『スタンド・バイ・ミー』という副題を冠し、映画が有名な同名作品を収録している。本来の順番としては春夏編が先なのだが、日本では『スタンド・バイ・ミー』の映画公開に合わせて秋冬編が先に文庫化されていて、自分も秋冬編を先に読んでいた。

春編は

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【読書日記】スタンド・バイ・ミー ─恐怖の四季 秋冬編 / スティーヴン・キング

【読書日記】スタンド・バイ・ミー ─恐怖の四季 秋冬編 / スティーヴン・キング

2023年3月21日読了。

かの有名な映画『スタンド・バイ・ミー』の原作が収録された一冊。この本は本来『恐怖の四季』という春夏秋冬それぞれの季節からなる中編作品集で、そのうち秋冬の2篇をまとめた文庫版として日本で発売されたのが、この『スタンド・バイ・ミー』とのこと。
本来の順番としては春夏が先だけど、当時映画スタンドバイミーが日本で公開されたのをきっかけに、秋冬編から先に日本で原作が文庫化された

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【読書日記】薬指の標本 / 小川洋子

【読書日記】薬指の標本 / 小川洋子

2023年1月16日 読了

小川洋子作品の中では『博士の愛した数式』と並んで代表作のイメージがあるが、小川洋子ファンを自称しながらなぜか今まで読んでこなかった一冊。

読むきっかけになったのは、以前から気になっていた「おひとりさま専用の喫茶店」に行ったこと。
10席ほどの喫茶店で、一つ一つの席に特徴があり置いてある本の種類も席によって異なる、とても素敵な場所だった。

自分がなんとなく腰を掛けた

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【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

【読書日記】国境の南、太陽の西 / 村上春樹

2023年3月4日 読了

小説なり、映画なり、音楽なり、「この作品は自分のために作られた作品だ」と錯覚してしまうことほど気持ちの良い体験というのはなかなか無いと思う。ましてやそんな、中高生のときに体験するような錯覚を、まさか今になってさせてもらえるとは思いもしなかった。

村上春樹の長編(中編)の中では珍しく、精神世界や非現実的な現象が出てこない、リアル設定の恋愛小説(短編以外でファンタジー要素

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【読書日記】オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎

【読書日記】オーデュボンの祈り / 伊坂幸太郎

2022年11月14日読了。

伊坂幸太郎デビュー作。伊坂作品をほとんど読んだことがない自分に友人が「好きそう」と薦めてくれたので読んでみた。伊坂作品は『死神の精度』だけ読んだことがあるがそこまで印象に残らなかったし、『ゴールデンスランバー』は映画だけ見たことがあるが正直かなり微妙だったので、伊坂幸太郎に対してあまり良い印象を持っていなかった。

しかし、この『オーデュボンの祈り』はとても面白かっ

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2022年に読んだ中で特に面白かった本ベスト5

2022年に読んだ中で特に面白かった本ベスト5

皆様、あけましておめでとうございます。
普通こういう記事は年末に書くものだと思うので今更感がありますが、2022年も読んだ本の振り返りをしたいと思います。
2022年発表の作品ではなく、あくまで僕が2022年に読んだ、というだけの本当に個人的な振り返り記事です。

僕は基本的に小説しか読まないのでほぼ小説となりますが、40冊くらいの本を読んだと思うのでそのなかからお気に入りを挙げていきます。せっか

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【読書日記】ブランコのむこうで / 星新一

【読書日記】ブランコのむこうで / 星新一

2022年9月3日 読了

ブックオフの100円コーナーに見慣れない星新一の本があったので買ってみたら、星新一にしてはめずらしい長編で、しかもSFではなかった。

児童文学のような雰囲気の作品で、少年が夢の中の自分と入れ替わってしまい、いろんな人が見ている夢の世界を彷徨ってしまうという話。

夢の中でまぶたを閉じると現実の世界を覗けるのだが、夢を見ている主たちは、現実世界では病気だったり、子供を事

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【読書日記】幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

【読書日記】幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

2022年6月15日読了。

SFの古典的名作と名高い作品だけど初めて読んだ。まず、想像以上に読みやすいことに驚いた!
クラークの作品というと「2001年宇宙の旅」の印象があって、これは2回見て2回とも寝落ちして、しばらくしてからちゃんと見たけどやっぱりちんぷんかんぷんだったので、難解な話なのだろうと思っていた。

しかし「幼年期の終わり」はいざ読んでみると展開もわかりやすいし続きも気になって面白

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【読書日記】観光 / ラッタウット・ラープチャルーンサップ

【読書日記】観光 / ラッタウット・ラープチャルーンサップ

2022年5月29日読了。

タイ系アメリカ人作家の短編集で、この作品はTaknal(おすすめ本のすれ違いアプリ)で知った。「こんな素晴らしい文章を読んだことがない」と紹介されていて、Amazonレビューも絶賛の嵐だったので、ほーん、と思って読んでみたら、その期待を遥かに超えてきた。

間違いなく今まで読んだ短編集のなかでズバ抜けていた。収録されていた7編すべてが素晴らしい(短編集で全編素晴らしい

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【読書録】スプートニクの恋人 / 村上春樹

【読書録】スプートニクの恋人 / 村上春樹

2022年4月6日 読了

ここ最近、村上春樹が翻訳した作品を立て続けに読んでいたので、本人の小説もひさしぶりに読みたいなあと思って、未読のこの本をなんとなく手に取った。なんとなく選んだもののとても良い小説だった。

22歳で作家志望のパンクな女子大生(大学中退)が、アラフォーのバリバリキャリアウーマンな女性に恋をするという、あらすじだけ見たら漫画のようなストーリーが村上春樹お馴染みの「僕」からの

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【読書録】ゼロ時間へ / アガサ・クリスティ

【読書録】ゼロ時間へ / アガサ・クリスティ

2022年2月22日 読了

タイトルがSFみたいで前から気になっており、さらにクリスティ本人の選書でもファン投票でもベスト10内に入っていると知って手に取った。

通常の推理小説は殺人が起こってから推理が始まり犯人を見つけ出すが、この小説は殺人が計画された時間から始まり、犯行の瞬間である「ゼロ時間」へ向かっていく、ということが作品内でも冒頭で語られる。前情報としてその叙述法を聞いていたので、どん

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【読書録】大聖堂 / レイモンド・カーヴァー

【読書録】大聖堂 / レイモンド・カーヴァー

2022年1月31日 読了

漫画「バーナード嬢曰く。」6巻で取り上げられていて気になったため手に取った。村上春樹翻訳による短編集。

あとがきでも村上春樹が解説している通り、どの短編も「failure(敗者)」が登場する。人生において、何かの要素が欠けている人たち。そんな生々しい人物たちの、やるせなく、なんでもない日常の中で起こるちょっとした出来事を通して、喜怒哀楽では表すことができない絶妙な感

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【読書録】カーテン / アガサ・クリスティ

【読書録】カーテン / アガサ・クリスティ

2022年1月18日 読了

名探偵ポアロ最後の事件ということで、これまでポアロシリーズを読み漁ってきた締めくくりとして手に取った。ただ単にポアロが最後に登場する作品というわけではなく、ポアロという人物の顛末がしっかり描かれた内容。これがまた、ポアロシリーズの最後、そしてポアロという男の最期にふさわしい、素晴らしい内容だった。

ポアロ最後の作品という感傷的な要素もあるが、それ以上にミステリーとし

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