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【読書録】カーテン / アガサ・クリスティ

2022年1月18日 読了

名探偵ポアロ最後の事件ということで、これまでポアロシリーズを読み漁ってきた締めくくりとして手に取った。ただ単にポアロが最後に登場する作品というわけではなく、ポアロという人物の顛末がしっかり描かれた内容。これがまた、ポアロシリーズの最後、そしてポアロという男の最期にふさわしい、素晴らしい内容だった。

ポアロ最後の作品という感傷的な要素もあるが、それ以上にミステリーとしてもとても斬新かつ挑戦的なトリックが用意されている。最後の最後までミスリードを連発し、ラストに語られる真相ではとてつもない衝撃を与えさせられた。最後の作品なのにしんみりしたエピローグは一才無く、衝撃の真相を叩きつけてすぐ終了する潔さも素晴らしい。読後ただただ放心させられることとなった。

かなり大胆な結末に賛否分かれそうではあるが、個人的には「ポアロ最後の事件」として、これ以上無いプロットだと感じた。最後にふさわしい犯人であり、ふさわしいトリックであり、ふさわしい結末である。名探偵ポアロという長期シリーズだからこそできた内容だとも思うし、このシリーズでしか描けない素晴らしい謎解きだった。

ポアロシリーズの結末にこの内容を持ってくるアガサ・クリスティの、娯楽小説家としての実力と才能に改めて脱帽させられた。この納得の最終回には本当に感動してしまい、今後もし「好きな作家は?」と聞かれたら、迷わず「アガサ・クリスティ」と答えようと決めた。


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