「暗がり」

暗い部屋の中、一人蹲って行った。外では吹き荒れる風の音と大きな雨音が聞こえる。

台風の影響で停電が起こったのだ。僕の住んでいるアパートだけではなく、周辺の家からの光がなくなっている。

 冷蔵後の中を確認したが、幸いなことに生ものは何もなかった。あると腐ってしまい腐臭が発生する恐れがあるのだ。

 こうして暗闇の中にいると色々と考えてしまう。人間関係。将来。現状。ありとあらゆる不確定要素が不安となり、僕を呑み込もうとしてくるのだ。

 ああ、恐ろしい。なんて怖い。暗闇が心に影響を与えるのか。光がどれだけありがたい存在なのか。この身をもって実感する。

 終わらない葛藤から逃げるように目を閉じた。

 次の日の朝、外は雲一つない晴天だった。電気も僕が寝ている間に使えるようになっていた。

 いつもの日常がとても尊く思えた。

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