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写真の力。写真撮影と体験談


📖 文献情報 と 抄録和訳

「生命線」としての自然:記憶喪失や記憶の不安を抱える高齢者の経験を探る際の写真の力

📕Whitfield, Elenyd, et al. "Nature as a “lifeline”: The power of photography when exploring the experiences of older adults living with memory loss and memory concerns." The Gerontologist 63.10 (2023): 1672. https://doi.org/10.1093/geront/gnad126
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[背景・目的] 視覚は、高齢者の記憶喪失体験を調査する上で、十分に活用されていないモダリティである。我々は、主観的または客観的な記憶喪失を経験し、認知機能の低下と認知症を予防するためにデザインされた認知福祉グループ介入(APPLE-Treeプログラム)を受けている高齢者との視覚的エスノグラフィーについて述べる。我々は、記憶に不安を抱える人々の生活体験、参加者がこの写真撮影とコード・サイン・プロジェクトにどのように関わったか、アーティスト/写真家とのコラボレーションがこのプロセスをどのように高めたかを探ることを目的とした。

[方法] 19人の参加者が、日常生活で大切にしていること、記憶への不安の経験、介入を反映した写真を共有した。14人が質的な写真エリシテーション・インタビューに参加し、13人がプロのアーティスト/写真家と共同で展覧会を制作した。視覚と加齢をめぐる言説との関連において参加者が制作したイメージを文脈化し、写真、観察、インタビューデータを相互に関連付ける主題分析によって展開されたテーマとの関係を明らかにした。

[結果] テーマとして以下の3つが見えてきた。(1)ライフラインとしての自然とのつながりを讃える、(2)家族との関係の中で生活を固定する、(3)老い、記憶への懸念、パンデミック、老いのステレオタイプを通して、自己とアイデンティティを振り返る。

■ 写真と経験談①:郵便ポストと小川の写真

■ 写真と経験談②:イチョウの木の写真

■ 写真と経験談③:りんごの木の写真

[結論] 私たちは、認知機能の変化を経験した高齢者から有意義な証言を引き出し、高齢化研究の中で芸術と社会科学を結びつけるための強力なツールとして、視覚研究を探求している。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

写真とは、とても不思議なものだと思う。
一目見ると、当時の情景が、その写真の風景を超えたレベルで、頭の中に展開される。
視覚を皮切りに、その時に感じていた風や匂いなど他の感覚モダリティにも影響が波及してゆく。

当然、その中で脳も賦活されていくことだろうと思う。
それは、今回の体験談の中でも伺えるところだ。
時折、患者さんのご家族にいろんな写真を持ってこられる方がいらっしゃるが、これはとても効果的なことのように思う。
ベッドサイドにいるとき、しょっちゅうその写真を見ている患者さんも多い。

今回の文献の中で、「これはないのかな?」と思ったのが、人物写真だ。
これまでの生活の風景や、自然、そういった写真ももちろん尊いだろう。
だが、なんといっても、家族の写真や、お世話になった人々の写真、というものが脳に与える影響力は大きいと思う。
写真の力、偉大だと思う。

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